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チャトラは嗤う
それは瑠璃を転がしたような碧さの空で きっと、死ぬにはいい日だった 鎖に繋がれた茶縞の猫に翡翠のあめ玉をひとつぶあげた 盲いの猫は口に含んだものを知りはしないようだ さなぎの中に潜り込み、この体はドロドロと溶けていく さなぎは象に踏まれ、中身が外に垂れていく 中身は〈だまり〉となってリコリスの朱の華を咲かす リコリスを食いちぎった蝶は胃の花の重さのために飛べずに地を這いずりまわる ああ、世界の割れ目から奈落へと落ちていく それを受け止めた隻眼の少年が胃の中のリコリスを取り出し蝶は宙に舞う 少年はリコリスを塗りたくり、笑いながら陽の当る友人たちのもとへ行く 或る小説家がこんな夢を見たそうな そして、ジェノアルを飲んで眠ったらしい
チャトラは嗤う ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1426.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 8
作成日時 2020-02-12
コメント日時 2020-02-21
項目 | 全期間(2024/11/22現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 3 | 3 |
前衛性 | 2 | 2 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 8 | 8 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 0 |
前衛性 | 0.7 | 1 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.7 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0.3 | 0 |
総合 | 2.7 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
蝶になり損なった故に咲いたコリコスを、別の蝶が食べて飛べなくなってしまう様は、 なにか怨念めいたものを感じました。 しかし、蝶が抱えていた苦痛(コリコス)を、少年が平然と取り出す様を見て、 自分が感じていた怨念は、実は、大したことのない代物だったんだと思いました。 独特な世界観に引き込まれる作品です。
0S_Ujiieさん コメントありがとうございます。 誰かに見てもらって、批評をいただくのは初めてのことなので、ここまで読解してくれるのかと感動しました。 これからもがんばりたいと思います。
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