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馬が逃げた
馬が一頭も残らず逃げてしまったんだ とジョセフは言った どこにだ? と俺が問うと 馬鹿! とジョセフは怒鳴った もしそれがここにいなければ 俺には知る由もないだろう 煙草がうまい寒い夜だった 村人たちは広場で立ち往生したり 遠くで松明の灯りが踊ったり 誰かが怒鳴ったりしていて 月がいつもより近いことも気にしない おい!いくぞ! とジョセフが呼んでいる 草原に出かけるのなら 急いだほうがいい 原はとても広いのだし 馬の脚はとても早い 山峰から 銀細工が 空いっぱいに ばら撒かれている 時折 口笛が聴こえる 徒なことだ それ以外は 俺たちは 息の切れるまで どこかも わからない 場所を 走っている これも 徒なことだ ジョセフが おい!止まれ! と言う 見ろ!蹄のあとだ! 俺たちは 泥の中に クッキリと 型のように残された蹄のあとを見ながら ただただ呼吸をしていた 美しい原に 美しい馬が逃げて 美しい馬が美しい場所に逃げて 俺たちは嬉しくなって 美しい馬を追っていって 俺たちも馬になっていくような気がした おい!止まれ! とジョセフが怒鳴る そしてしばらくして 口笛を高く吹きはじめた 何だ と俺は言う 馬鹿! お前も口笛を吹け! とジョセフは言った
馬が逃げた ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1830.4
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 16
作成日時 2020-02-06
コメント日時 2020-02-13
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 5 | 5 |
エンタメ | 3 | 3 |
技巧 | 3 | 3 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 2 | 2 |
総合ポイント | 16 | 16 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0.4 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0.6 | 1 |
技巧 | 0.6 | 0 |
音韻 | 0.2 | 0 |
構成 | 0.4 | 0 |
総合 | 3.2 | 3 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
いい忘れてたけどこれ即興ゴルコンダ(http://golconda.bbs.fc2.com/)のやつなのでみんなもやるといいよ楽しいよ
0不思議と楽しくなりますね。軽快な感じが出てるからでしょうか。 牧場なら馬は大切な財産のはずですが、逃げてしまった事にそこまでの悲壮感がなく、どこか楽し気。 >美しい原に >美しい馬が逃げて >美しい馬が美しい場所に逃げて >俺たちは嬉しくなって >美しい馬を追っていって >俺たちも馬になっていくような気がした ここ好きです。 ホルスタインを日々世話する牧場従業員としても、共感できる作品でした。 牛がたくさん逃げると、ものすごく必死ですけども。
0馬逃げた 美しい世に 口笛を (雛祭イベントで、五七五調でコメントしてます。) https://www.breview.org/forum_blog/archives/668
0すいません。先ほどの五七五を書き直します。 馬駆ける 美しい世に 口笛を
0これは楽しい。軽快な気分でよめました。 ひな祭りイベント 口笛を 馬駆けるとき 口笛を
0なんでしょう。何処か馬鹿騒ぎの様な愉しさがあります。
0爽快。私のようにいつも憂いにとらわれている人間に『馬鹿!』というジョセフの言葉がぴったりきました。
0最初の他愛のない会話から、いきなり 山峰から 銀細工が 空いっぱいに と、詩的表現が出てくるのが面白かったです。 この「銀細工」とは、火山灰のことでしょうか??
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