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赤いタンバリン
ベッドの脇におかれていた おもちゃの赤いタンバリン カシャ…と手に取り 鳴らしたきみの揺れる髪 何度も聞いたことのある旋律 きみと読み合わせていた本は 175ページまで読み終わったところで お互い「子供の頃の話」になった キャンドルホルダーの 小さな光の粒が 僕たちの本の表紙を 頼りなく照らしている ふわりと香る シトラスの香り 瓶につめて 楽しむことも 忘れるほどに響く無邪気な声 「真実の生活をしてみたいね」 それは、生きてるってことを 2人きりで楽しんでいる生活 おもちゃの赤いタンバリン カシャ…とベッドの脇において 「…嫌なら捨ててもいいよ」 ときみは言う 何度も聞いた溜め息混じりの言葉 長く伸びた髪がきみの横顔を隠した 僕はきみの髪を解くように撫でる 何度も何度も撫でながら 心の中で思っていた せっかちなきみは いつも強引に結論づけるけど ほんの少し夢を見たいのだ 遠慮なく押し寄せる現実に 随分遠いところまで 流されたような気持ちだったから 「続き、読んでもいい?」 きみは伏せられた本を再び開き 176ページを朗読し始めた
赤いタンバリン ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1727.6
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 8
作成日時 2020-01-26
コメント日時 2020-02-01
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 5 | 5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 8 | 8 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0.3 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.3 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1.7 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0.3 | 0 |
総合 | 2.7 | 1 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
2人の言葉と、言葉じゃないやり取りとが好きです。
0ミリウェイズ様 コメントいただきありがとうございます。短い2人の言葉、言葉じゃないやりとりに注目していただけて光栄です。 現実的には、この不確かな二人にはもっと会話が必要なのかもしれませんが、言葉にしないことの美しさを表現したくてこのようなかたちとなりました。
0赤子が一度も登場しないのに、存在を感じさせます。合ってなかったらごめんなさい。 シトラスは現実の私生活を感じさせて、その一方で「赤いタンバリン」の赤は死をどことなく思わせます。 なぜなら、赤い必要性がないからです。 何かを気付かせたいような詩だと感じました。 主張が強くないところが、またいいですね。 とても良かったです。読めば読むほど良いです。
0せいろん様 コメントいただきありがとうございます。とても面白い発想、嬉しいです!読んでくださっている方に色々な想像をしてもらえるような余白を作ったつもりだったので、私もせいろんさんの感じたことを教えていただけて勉強になります。 赤いタンバリンの「赤」に死を思わせたとのこと、そうですね、そう言われるとこの二人の恋はとても危険なものであることから、誤れば死が近いともいえるかもしれませんね。それを「タンバリン」という少しお茶目なアイテムで目をつぶろうとしている、といいますか。。 主張を強く出さない、というのは意識していますので、そのように言っていただけるのは嬉しいです。 読めば読むほどいい…大変光栄です!ありがとうございます。
0どこかに隠された何かがありそうな気がしました。 単純な関係ではなさそうな二人でした。
0おもちゃの赤いタンバリン。「子供の頃の話」も興味をそそられるのですが敢えて外部描写に徹することで、却って読み手の想像力に委ねる手法かと思いました。夢を見たい詩作者。最後の連がいいと思いました。176ページは二人を繋ぐ紐帯なのでしょう。
0IHクッキングヒーター(2.5kW)様 コメントありがとうございます。どこかに隠された何かを感じていただけたことが大変嬉しいです。どういう状況なのかは読者に委ねているので、限定はしていないのですが、何か二人の間に障壁のあるストーリーを描いてみました。
0エイクピア様 コメントありがとうございます。 赤いタンバリンだったり、本だったりなど、2人の生活に何かしらのアイテムが無ければ、不安定になりそうな関係を描いてみました。 エイクピア様のおっしゃる通り、直接的な表現は避けつつも、2人の気持ちや関係性が読めるような外部描写に徹しました。 捨ててもいいよ、と強がりながらも、また176ページを読むことで「僕」となんとか繋がっていたいという「きみ」の心情を「紐帯」と表現していただけて光栄です。
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