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うつしみ うつせみ
わけもなく悲しくなることはもうあんまりない。 最小にちかい生活ではわけを見定めることは容易だ。 だいたいのことにはわけがある。 例外はわけがあると信じない精神の内側だけ。 誰かをいじめてみたくなるのも、 壁に穴があくことも、 腐った死体みたいなあなたの愛情。 町の本屋で料理本を買って順番を鬻ぐ。 神棚のように広い舌、わたしは何を載せよう。 道路の模様をつたう幼い規則を世界中で。 返事をするたびにはい、と捲れる吻と犬歯を たとえてみました。遮光布と街灯に。 星にたとえられなかったのはわたしの弱さ。それから あなたのおうちを知っていたせいです露台から見えるあの四つ辻、宇宙ステーションの部品みたいな自販機。 形相が花にまけている 記憶の蠢く片田舎の脳裡で。 いったい幾度すれちがったんだろう? たったひとつの景色が寒天みたいに、じょじょに固まってゆくまでに、 何度ことばを交わさなかったのだろう? たちのぼる農道に絡まった右手を振ったら 空にはじかれたたらを踏む。
うつしみ うつせみ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1452.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 5
作成日時 2020-01-26
コメント日時 2020-01-28
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 3 | 3 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 5 | 5 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.3 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0.3 | 0 |
総合 | 1.7 | 1 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
第二連になんとなく他とは違うように感じられる不思議な雰囲気があるように思えます。
0”腐った死体みたいなあなたの愛情”、それから”あなたのおうちを知っていたせいです”に行き着くまでの流れに酷く惹かれるものを感じました。ふたつが繋がるまでの、淡い関係性どうしを繋ぎ合わせた一連も好きですが、”腐った死体みたいな愛情”を誰か(”わたし”かもしれない。そうじゃないかもしれない。そのあやふやさすら恋しい)に与えていた”あなた”、そのひとの”おうちを知っていたせいです”から垣間見える僅かな甘え、幼児性。それまで、そしてそれ以降も巧みな語彙で綴っていた”わたし”が唯一使った”おうち”という言葉と甘えをひた隠すような、一息で綴るような一行だけ長い”あなたのおうちを知っていたせいです露台から見えるあの四つ辻、宇宙ステーションの部品みたいな自販機。”。 漢字のひらき具合が絶妙で、やわらかく、けれども飲み込んだ棘のように何処か引っ掛かるものがある(「鬻ぐ」など)、甘美な詩でした。はじめてのコメント故、不作法などございましたら申し訳ありません。うつくしいことばを読ませていただきありがとうございました。
0ミリウェイズさん 言及されるとしたらやはりそこですか。参考にさせていただきます。 コメントを下さり、ありがとうございました。
0少女屋さん 読んで下さりありがとうございました。 コメントを読ませていただいて、気に入って下さったであろうことが心底わかりました。 挙げていただいた箇所はどれも、もしこの作品が自作でなかったら私自身挙げるであろう箇所です。気に入っております。 漢字とひらがなの使い方による印象は、私自身拘りたいと常々感じるところです。少女屋さんには刺さったようで嬉しい限りです。 うつくしいことばとの評、ありがたいです。このようなコメントを頂けて、光栄に思います。このコメントを抜粋して、ポップにして、本屋に置いて欲しいくらいです。 とはいえ自作の粗もわかるので、書き続けてもっといいものが書けたらと思います。 ありがとうございました。
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