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手のひらの宝石
今日、立ち尽くしている人に 声をかけることができないわたくしは 潤いで保護された黒目を震わすだけで あたたかな洋服を脱ぐことはできない しとやかに球面をきらめかす こんな自分が嫌になって 「せめて痛みを」と ぎゅっと手のひらの宝石を握りしめ あなたの痛みに、近づこうと/する 「どうぞこれを」 そう手放すことができない血まみれの宝石が染め上がる頃 通りすがりの神様が、指をさして笑って、る
手のひらの宝石 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 843.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-06-26
コメント日時 2017-06-29
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
通りすがりの神様が気に成りますね。指をさして笑って居るのは、実際現実ではあまりないシチュエーションなのかも知れません。指をさしているだけ、嗤っているだけなら無数にあるでしょうが。勿論立ち尽くしている人も気に成りました。宝石と痛みの相関関係なども思いました。
0なめらかな言葉、静かな筆致が、とても上質の叙情を奏でていると思いました。 手放すことのできない宝石、とはなんだろう。自らの魂、だろうか。 己の魂を握りつぶして、血まみれのまま差し出す、そんな思いのまっすぐさ、に対して・・・おいおいおい、生き生きと輝いている魂をそのまんま見せてくれる方が、どれだけ美しいか・・・と苦笑している神様・・・そんな景色が浮かびました。 わたくし、という言葉がまとう、宮沢賢治的なまっすぐさに想いを馳せつつ。
0誰しもが誰しもなりに、他人には譲れない宝石(のようなもの)を自分の中に孕んでおり、それは大切なものです。その宝石は大切なものでありながらも、イメージとして、角ばっています。宝石は大抵眺めるものとして在るのですが、ぎゅっと握りしめることで、その角で人を痛めつける道具にもなりうるのです。 なぜ、その宝石を握りしめる必要があったのか。それは、立ち尽くしている人に対しての罪悪感をごまかすためです。「黒目を震わす」「球面をきらめかす」と、目が潤んでいる様子がわかります。それは、心が作用させたことですが、内的な要因で生じた目の潤みを、外的な要因=宝石を握りしめることによる痛みに変換することで、やり場のない罪悪感をごまかそうとしているのではないかと捉えました。 最終行は、神様がそんなごまかしに気づいているからこそ、指をさして笑うことができるのではないでしょうか。 そもそもこんな罪悪感が生まれたのは、「わたくし」と「立ち尽くしている人」との関係性が重要になるのでしょう。その関係性を解きほぐすことはできませんが、立ち尽くしているのは、街中で通りすがりの知らない人なのか、大学のキャンパスで見かけた知り合いなのか、何かを喪失した恋人なのか。そのいずれかはわかりませんが、「わたくし」は、その立ち尽くしている人の立ち尽くしている理由を思うことができる存在であることは間違いありません。そして、それに痛みを感じられる人であり、勝手な推測がそこにはあるかもしれませんが、人の気持ちを読み取ろうとする意思を感じられました。
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