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金樽鰯のあひーじょ
ポンポンポポンッ、と叩いてみれば 返事はないがたしかに とくと詰まっているようだ これはこれは金の樽、魚の群れが 切り取られ詰められている 天の橋立股のぞき、与謝か阿蘇かと いうのなら阿蘇の海原、悠遊と 群れは泳いでいたらしい いまは油のこの海で金の樽に息ひそめ いや、しかし、開いてみれば頭を 腑をどこに落としたというのだろう それでは返事も息も潜められやしない なんてことだ、わたしはお前たちの 身の上話しを聴きながら、舌鼓を 打とうとしていたというのに…… しかし、油の海のなか おまえ達はなんと、輝いているのだろう 涙でなく涎を拭いて生姜にニンニク 唐辛子もいいだろう、金の樽ごと 火にかけて、最後は醤油を数滴落とす あつ、あつ、ひぃひぃ、と わたしもおまえ達も 食うもの食われるもの 悲鳴をあげて食べるから アヒィージョ、あちぃーよ、と 言うらしいなんて出まかせを言ううちに ペロリと平らげたらば、もう眠い 食休みの夢のなか金樽鰯がわたしの 胃の内海を群れをなして泳いでゆき 大漁旗を掲げた船たちは 金の樽を鼓に打ち鳴らす ポンポンポポンッ、ポンポポン デッタラ、デッタラ、デデデデデ 天の橋立股のぞき、神さまたちに 鰯たち天の橋立さかのぼり 天へと消える阿蘇の海 ※阿蘇、与謝、天の橋立を境に内と外で海の呼び名が変わる。
金樽鰯のあひーじょ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1748.4
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 18
作成日時 2019-08-08
コメント日時 2019-08-09
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 9 | 9 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 6 | 6 |
総合ポイント | 18 | 18 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 2.3 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.3 | 0 |
エンタメ | 0.3 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0.3 | 0 |
構成 | 1.5 | 1 |
総合 | 4.5 | 3.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
仲程 様 はい、TANGOオイルサーディンがモチーフです。補足、ありがとうございます。金樽鰯という丹後の民話がありまして、あの辺りではそう呼ぶことがあります。勢いで書いたところもあり、わかりづらい作品を挙げてしまいました。書こうとしていることが全体でボヤけてますね。コメントありがとうございます。もうちぃ、と上手く調理出来るよう精進します。
0仲程 様 お気を使わせてしまい申し訳ありません。民話はなかなか風雅な?感じの逸話なのでぜひに。
0民話を知らなくても、十分に美味しくいただきました。 あひーじょ、とひらがなになっているところも、チャーミングです。 食する者も、食される者もいきいきしていて愉快だし、民話の要素もスパイスになっていて、こういう詩がもっとあってもよいのになあ、と思いました。構成もいいし、私は好きですね。そして、いつかその缶詰を入手してアヒージョにしたいですね。
0舞浜様 食べる楽しみを書きたいということがあるのでそのように言っていただくと嬉しく思います。ありがとうございます。
0とても楽しい気持ちになりますね。 音読したい詩です。 読んだだけで幸福を感じました。 とても好きです。
0ma さん 音読は意識しているところなので、お言葉嬉しいです。声に出して楽しい、というのはなかなか大事だと思っています。 ありがとうございます。
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