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親父は暴走する列車に乗って
拝啓、親父さま。 貴殿の乗り合わせた列車が はみだしてしまわぬように、 羽虫を殺すのをやめました。 透明な蜻蛉の四枚の羽根が 貴殿の乗り合わせた列車の、 翼となってくれますように。 拝啓、お袋さま。 貴女の寄り添うたおとこが ふりおちてしまわぬように、 羊を殺すのをやめました。 繊細な羊毛が幾重にも重なって、 おとこの骨身を包み込み 貴女の艶やかな髪の毛を、 おもいだしますように。 拝啓、親父さま。 暴走する列車の中で 貴殿のその哀しみを 切符とするのもいいでしょう。 拝啓、お袋さま。 貴女の忘却したおとこが 暴走する列車に乗って 記憶の果てを迷走しているのでしょう。 貴女もまた、 貴女の哀しみを綱として 暴走する列車に乗り込んでみるのもいい。 歎願、いたします。 私の手に入れた 透明な翼と、 繊細な羊毛も、 どうか持って行ってください。 きっと力になれるでしょう。 わたしは、 お二人の帰るただ一つの駅として、 いつまでも待っておりましょう。 暴走する列車の、懐かしい汽笛を。
親父は暴走する列車に乗って ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1735.0
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 49
作成日時 2019-05-27
コメント日時 2019-05-28
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 16 | 15 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 15 | 15 |
音韻 | 2 | 2 |
構成 | 13 | 13 |
総合ポイント | 49 | 48 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 3.2 | 3 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.4 | 0 |
エンタメ | 0.2 | 0 |
技巧 | 3 | 1 |
音韻 | 0.4 | 0 |
構成 | 2.6 | 0 |
総合 | 9.8 | 7 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
タイトルにて、損をしていると思いまして。 個人的感覚ではございますが。 而して 内容の技巧性、独自性には眼を瞠るモノがございますから、 是非ともこの路線や外の路線にて突き抜けて戴きたいと。申し上げる次第でございます。
0鷹枕可 様 私はタイトル気に入ったので残念ですが、ご批判をありがとうございます。 重ねて、コメントをありがとうございました。
0何度も読みました。感じることはいろいろあるのですが、それをしばらくは外に出さずに自分の中で熟成させておきたいような詩でした。とても魅力的でまた読ませていただくと思います。
0舞浜様 お読みいただいてありがとうございます。コメントも、ありがとうございました。
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