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猫の恋
Ⅰ 水面をのた打つ唐草の鳴き声に、呼び鈴を鳴らして、猫の恋に八つ当たりをしてやろう。 どうせ波紋を打ち消しても懲りずに鳴くんだ。 それじゃあ、僕も歌ってみよう。 少し早い季節だけれど、誰も恨む人はいないから。 さあ、白い吐息に咬み付き、人生を引き伸ばして行こう。 憂いていいんだ。 セカンドバックに肖像を詰めて、愛もまとめて燃やしてしまおう。 曲がった背骨も、一生分のチョコレートを食べて、精一杯に伸ばしてみよう。 君と僕という関係が、何者にも決めることができない契約で、二項対立を成立させている。 だから僕らに、一つに、一緒に、繋がり、重なり、交わり、そんな言葉は必要無い。最初からある感情と感情に飾りなんていらないんだ。 嘆いたっていいんだ。 伸びてきた爪も切ってしまおう。 切った長さの分だけ抱き締めてみよう。 オタマジャクシみたいに弱くて暖かいんだろう。 ささやかな表情なんて見なくとも、目の裏側を焼き付けるほど僕が見つめれば、教えてくれるよね。 Ⅱ 猫が恋をするときみたいに、いつか声が地下鉄に乗ってどこかへ行けばいい。 誰かが死んで、誰かが生まれて、 銀色の髭をはやして。 人混みの中で見かけて、ああ、きっと生まれ変わったんだ、そう思っても結局は空似で。 死んで居なくなったことと、恋に焦がれるとき。 顔が熱くなって、胸が締め付けられた。雪上を歩いたときに、ありふれた表現のうちの2つが同時に起きた。 降る雪一つ一つの結晶を誰も気にしていないかと思えば、たまに思い出したようにたった一つを取り出して覗いてみたり。 もっと深層の、ずっとずっと奥の奥にあるものを伝えたくても、溶けちゃって。 声を乗せた地下鉄の電車が駅を通る度、思い出す。忘れたくないからなのだろうか。 どんな気持ちで改札をくぐって、階段を降りて線路に降りるのか。 とある日常、突然机に花瓶が置かれて、気の利かない言葉ばかりが並び、さしあたって俯いた顔達が所々に置かれて。 環境が変わって、サヨナラをするのとは違う。きっとこの人達ともう二度と会うことは無いだろうという予感とも違う。助動詞 cannot . ただの悲劇として扱うならデウス・エクス・マキナで収束させてくれ。 浅ましい目付きが丸分かりだよ。そんな目で見ないで欲しい。 Ⅲ 風が吹けば体が揺れる。揺れる。 野良も一緒に体が揺れる。揺れる。 愛も至福も腕の中で消化したい。 この鳴き声はどこまで猫の恋なのだろうか
猫の恋 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1216.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 4
作成日時 2019-03-20
コメント日時 2019-03-29
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 4 | 4 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0.7 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.3 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.3 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 1.3 | 1 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
詩を書かないといけなかったんだな、という感じがして好感を覚えました。 色々整理されてないのと、かるべの読解の浅さで、しっかりしたコメントは残せないんですが、学校ってライフのシェア率高かったの勝手に共感、って思いました。
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