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愛するのは日常
午前2時を回る。丑三つ時ともいうけれど、僕は午前2時と言う。怖いから、昔怖い話で読んだことがあるような気がしたので、歯を磨き口をゆすぐのに鏡からほんの数秒目を離し起き上がると背後に殺気を感じるような、なんなら背後に見知らぬ女性が立っているような。そんなことが起こるのは大抵丑三つ時なのだ。怖いのは大嫌いな僕は午前2時を回っても起きてる時、楽しく、くだらないことを考えるようにしている。そうだ、今日食べた愛しいイチゴタルトに想いを馳せる。今夜のイチゴタルトは良かった。きらめくイチゴの重みでタルトは今にも崩れそうだった。僕は今この世で一番危うく美しい瞬間を目にしているのだと誇らしくも思えてきた程だった。最後の愛しい一口を食べる頃私は絶頂に達していた。私は最後の一口に全てをかける。肉まんでも、イチゴタルト、パンケーキであっても完璧な配分で美しく食べてみせる。とかっこよく呟く。誰も聞いてねーと少し笑えば気分はくだらないモードだ。ここからの僕は無敵だった。僕は今入浴中たが、視界の端に映っている壁からにょきっと生えているそれに手を伸ばし、乾いた爪に雫をのせる。これ久々にやったな、ぽよぽよと間抜けに揺れる雫はこれまた間抜けに私の中に溶けた。くだらなく間抜け、とても安心する。日々に刺激など要らない。平穏、平成、間抜け、くだらねー、何事もない日々を私は心から愛している。
愛するのは日常 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 998.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 1
作成日時 2019-03-08
コメント日時 2019-03-29
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 1 | 1 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 1 | 1 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
抉られない程度ではあるんですが、好きです。
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