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きみの焼け野へ
振り向くときみの住む街が燃えていた。 まばたくごとに鉄塔が、家屋が、ターミナル駅が、断末魔をあげて死んでいく。 ぼくらはお互いのぼろぼろの部分をやさしく守りあっていた。それでもどうしようもなくはがれ落ちてしまったときは、ふたりのそれをない交ぜにして結びあった。 ぼくがだれかの心配などできないことをわかっていてきみは、無事も最期も伝えずにいる。 夕映えにこともなく飲みこまれる。 ひとたびもとの方向へ進もうとすればきっと、ぼくの街も燃えはじめるだろう。なにかが終わったり、消えたり、失われたりというのはいつだってなだらかな連鎖として立ち現れる。 ならばぼくはきみの街へ、きみの焼け野へ行きたい。 すすけた夜風。燃えさしの切符。頭蓋の焼けただれた列車。鈍行。みぎへひだりへ体躯をゆらし、ぼくをはこんでくれる。 巨大な灯火に生まれかわった街。 一等星ひとつ残してほかのひかりを射落とした。 ほかの無数の星々は、端から端までぜんぶかみさまにくれてやった。薄暮れにさんざめく、ほろびの閃光がはねまわっては消えていく。 たったひとつ、 あの星が、きみのいのちになる。
きみの焼け野へ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1531.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 42
作成日時 2019-03-03
コメント日時 2019-04-11
項目 | 全期間(2024/12/04現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 22 | 22 |
前衛性 | 2 | 2 |
可読性 | 9 | 9 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 3 | 3 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 5 | 5 |
総合ポイント | 42 | 42 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 5.5 | 1.5 |
前衛性 | 0.5 | 0.5 |
可読性 | 2.3 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.8 | 0.5 |
音韻 | 0.3 | 0 |
構成 | 1.3 | 1 |
総合 | 10.5 | 3.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
(無意識のうちに片目で読むくせがあるのですが)途中から両目で読みました。 びっくりするぐらい上手で、「ひとたびもとの方向へ進もうとすればきっと、ぼくの街も燃えはじめるだろう。」などは王道に響きました。 最後の2連が推敲対象かな、と感じますが、それは光と夜が唐突だからで、詩集だったらカバーできていそうな気もしました。 好きな詩です。ありがとうございます。
02019年にセカイ系ポエムを読むことになるとは思っていなかった。「それらしく見せる技術」だけ備えているのを薄気味悪く感じた。
0優しい世界、二人の世界。文章がめちゃくちゃうまいと思います。構成(順序)にうなりました。
0優しい世界、二人の世界。文章がめちゃくちゃうまいと思います。構成(順序)にうなりました。
0優しい世界、二人の世界。文章がめちゃくちゃうまいと思います。構成(順序)にうなりました。
0すみません、一瞬の何らかのトラブルで、いくつか同じのを書いてしまいました。
0すぐ上のコメント、フォーラムに投稿するべきだったかもしれません。教えていただければ嬉しいです。
0かるべまさひろ様 確かにご指摘の通り最後が唐突になってしまいました。時間の経過を描いたり、最後二連に繋がっていく要素を前半に入れられたら良かったです。違う着地にしても良かったかなと思います。 少しでも響く言葉があったのであれば大変幸いです…! 完備様 恐らく完備様の仰るところの『セカイ系ポエム』が私は好きで、この詩は趣味全開で書きました。こちらのサイトに投稿するのに適した、現代詩としての読みに耐えうるものではなかったなと思います。 黒髪様 文を追加してみたり順番を入れ替えてみたり構成に悩んだので、結果うまくいったようであれば嬉しいです! 皆様コメントありがとうございました。
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