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藍色ドライ・シロップ
粘度のかぎりなく高い泥の中を泳いで,シンとした警告とともに20歳になった。確かに言ったさ、過ぎ去った諸々はいつか魚になるって。でも振り返ると記憶とノウハウは列をなして、海と同化していた。青い地球なんてインテリアの化石さ、ぼろぼろの宇宙船さ。打ちあがった手紙を採りに、調査員が派遣されていくんだよ。 俺の匂いは腐った調味料。冬の熱っぽい日には恐竜の影がたしかに生きているんだ。無味無臭の影がまたそこで生まれては姿を消していく。この気持ちなんだろう、俺死にてえのかな。 良いことひとつも無かったくせに,しみったれた反省会なんてしたくなるから冬はきらいだ。 すべてがふざけたタイム・ラプスであったなら。AM2:00の空に願う。 ときおり息のつまる夢を見て目を覚ます。でもカウンセリングなんて。だって俺も皆もとことん薄まったコンクリートだから。人ごみが分からなくなるようなショッピングモールの中,即興でしゃべった音階がすぐ答えに祀り上げられて、嫌になる。嫌になる。 これは夢だ。無人駅だ。「終点……『百葉箱……百葉箱……』」俺たちは感動した。 千の弱音で 千の弱音で 千の弱音で 鼓膜を刺す森林だ! 夏の音を探そうとあてなくバスに乗る。終点は知らなくていい。スピッツが「言葉ははかない」と歌うのがよくわかって悔しい。ありとあらゆる雑草に水をやった後は,どうにか目に入るものだけを片付けよう。どろどろの冷や汗,もう悩むことはないだろうシロップの味。「助けてくれてありがとうございます」と言葉少な,乾ききった僕はリターンする。――不発音とともに落日。 「すべてはイエスもノーもなく、ただ黙っている」 誰かが言っただろう一番黒い夜には、あてもなくシュルレアリスムを考える。そしてまた日が昇り……
藍色ドライ・シロップ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1207.4
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 3
作成日時 2019-03-01
コメント日時 2019-03-29
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 3 | 3 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.5 | 0.5 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 1.5 | 1.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
読点の不統一が気になりますが、鈴木歯車さんはどこかで中庸を探している理系脳と闘っているような印象です。 前半の揶揄が新鮮味にかけるので、 後半を膨らませたら面白い気がしました。
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