365日 - B-REVIEW
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PICK UP - REVIEW

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。

硬派な作品

萩原朔太郎や中原中也のエッセンスを感じます。

千治

体験記『呆気ない宣告』

それはあなたの現実かもしれない。

大概のことは呆気なくドラマティックではない。そうした現実の丁寧な模写が作品に厚みを増している。

ほば

世界は自由だ━不死━

わかるということ

あなたにとっては何が、その理解が起きるピースになるだろうか?

ほば

ふたつの鐘がなるころは

鐘は明くる日に鳴る! いつでもそうだ!

運営在任中に出会った多くの作品の中のベスト。決して忘れない。

yasu.na

良い

シンプルに好き

あっす

パパの日曜日

パパの日曜日

いい

明林

終着点

生きる、その先に死地はない!

美しくさわやか、そして深い意味が込められたシーン、均衡の取れた心情と思想、強い意志で最終連へと迫る引き締まった展開、我が胸にこの詩文を抱いて!

yasu.na

九月の終わりを生きる

呼び覚ます声

夏の名残の暑さが去ろうとする頃、九月の終わりになると必ずこの作品のことを思い出す。

afterglow

こっちにおいで

たれかある

たそがれに たれかある さくらのかおりがする

るる

詩人の生きざま

言葉と詩に、導かれ救われ、時に誤りながらも、糧にしていく。 赤裸々に描写した生きざまは、素晴らしいとしか言いようがない。

羽田恭

喘息の少年の世界

酔おう。この言葉に。

正直意味は判然としない。 だが、じんわりあぶり出される情景は、良い! 言葉に酔おう!

羽田恭

誰かがドアをノックしたから

久しぶりにビーレビ来たんだけどさ

この作品、私はとても良いと思うんだけど、まさかの無反応で勿体ない。文にスピードとパワーがある。押してくる感じが良いね。そしてコミカル。面白いってそうそう出来ないじゃん。この画面見てるおまえとか、そこんとこ足りないから読んどけ。

カオティクルConverge!!貴音さん

あなたへ

最高です^ ^ありがとうございます!

この詩は心に響きました。とても美しく清らかな作品ですね。素晴らしいと思いました。心から感謝申し上げます。これからも良い詩を書いて下さい。私も良い詩が書ける様に頑張りたいと思います。ありがとうございました。

きょこち(久遠恭子)

これ大好き♡

読み込むと味が出ます。素晴らしいと思います。

きょこち(久遠恭子)

輝き

海の中を照らしているのですね。素晴らしいと思います☆

きょこち(久遠恭子)

アオゾラの約束

憧れ

こんなに良い詩を書いているのに、気付かなくてごめんね。北斗七星は君だよ。いつも見守ってくれてありがとう。

きょこち(久遠恭子)

紫の香り

少し歩くと川の音が大きくなる、からがこの作品の醍醐味かと思います。むせかえる藤の花の匂い。落ちた花や枝が足に絡みつく。素敵ですね。

きょこち(久遠恭子)

冬の手紙

居場所をありがとう。

暖かくて、心から感謝申し上げます。 この詩は誰にでも開かれています。読んでいるあなたにも、ほら、あなたにも、 そうして、私自身にも。 素晴らしいと思います。 ありがとうございます。みんなに読んでもらいたいです。

きょこち(久遠恭子)

カッパは黄色いのだから

良く目立ちます。 尻尾だけ見えているという事ですが、カッパには手足を出す穴がありますよね。 フードは、普通は顔が見えなくなるのであまり被せません。 それを見て、僕はきっと嬉しかったのでしょう。健気な可愛い姿に。ありがとうございました。

きょこち(久遠恭子)

永訣の詩

あなたが出発していく 光あれ

羽田恭

あなたには「十月」が足りていますか?

もし、あなたが「今年は、十月が足りてない」と お感じでしたら、それは『十月の質』が原因です。 詩の中に身を置くことで『短時間で十分な十月』を得ることができます。この十月の主成分は、百パーセント自然由

るる

だれのせいですか

どんな身体でも

どんな自分であっても愛してくれるか、抱きしめてくれるか、生きてくれるか SNSできらきらした自分だけを見せてそんな見た目や上辺で物事を判断しやすいこんな世の中だからこそ響くものがありました。例えばの例も斬新でとても魅力的です。

sorano

衝撃を受けました

ベテルギウス。まずそれに注目する感性もですが、詩の内容が衝撃。 猫。木。家族。犬(のようなもの)。女の子……。など、身近にあふれている極めて馴染み深いものベテルギウスというスケールの大きいものと対比されているように感じられました。

二酸化窒素

ずっと待っていた

渇いた心を満たす雨に満たされていく

afterglow



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365日    

【1月】 1日 太陽が死んだ未来の日の出は 海流を作る装置である心臓を 人口の太陽としてアトム達が持ち上げる 何百万体に及ぶアトムの灰は 遠目で金粉の様に美しい 2日 月に向かって飛ばすのはロケットだけで良いのか? お前ん中で膨らんでいる想像を電波にすれば 今夜の月はテレビジョン チャンネルでお前の全てを色んな角度で見せる 3日 あなたとの愛を貫こうと 叶わぬ日常から駆け落ちてみたけど 代償は常に付き纏っていて この世じゃ無理だと思わせるくらいの有様 あなたの瞳に住めたならずっと一緒なのに 4日 石を蹴ったら、人に当たった 人はよろけて、車に撥ねられた 轢いた車は、古い家に突っ込んで 古い家は、燃え上がった 燃え上がった末に、広がる焼野原 5日 小さい頃、いちごシロップの味がする風邪薬をよく飲んだ 時々、オレンジ味だったけどね 寝てる時は退屈でシンデレラのビデオを掛けてた 何時の間にか寝ていて、記憶は魔女に会う前で止まっている 6日 色取り取りのショートケーキがずらりと並んでいる こうしてみると明るい色も甘い香りも不健康そうだわ ねぇ、このお菓子の国から抜け出そうよ 歯から全身に虫歯が広がりそうだわ 7日 親の死に目なんて見たくないから爪を切る 伸びた弧状の爪は畳に堕ちると尾が生えて カブトガニになって泳いだ 廊下へ出て行ったきり帰って来ない 8日 あなたは賭ける事を止められない 私はそれに賭けたって良いと言いたい所だけど それじゃ、私が必ず買って面白くないわね ねぇ、私を賭けて勝負してよ? 9日 くしゅんとすれば鼻水が出るので 病院に行けば、風邪ですと言われる あの人の事を考えると熱が出るので 病院に行けば、自律神経失調症と言われる 医者は恋の病なんて診断は出来ない 10日 私が上手に喋れないのを薬中と間違えて お腹が痛いのに呼び止めて失禁させ しても無い交通違反を誇らしげに捕まえる そんな警察官を裁けないのだろうか 11日 ごめんね、あなたはこれから遠くへ行かなきゃいけないの 川を渡る為の通貨も、寂しくない様に人形も持たせたから大丈夫 それに向こうにお父さんとお母さんが待っているからね心配しないで そう言って私は玄関に塩を撒いた 12日 桜島が噴火している 雪崩よりも緩やかに山を下る溶岩に 追われる形でスキーをしてみたいもんだ 13日 昔吸っていたチェリーが恋しくて ハイライトで誤魔化しているこの頃 文豪の煙草も今じゃフィルターが付いてしまって 気難しい味が楽しめなくなってしまったなぁ 14日 置き去りにされた僕らはまた こうやって同じ姿で巡り合えたら良かった きっと人で熱い所だったら 僕らはジャミラにでもなっていたのだろう 15日 首筋から濡れた舌が下り 二つの山頂の果実を啄む 左足を上へ歩行する右手は 茂みに入り握る動作を繰り返し 私の知性を掻き乱す 16日 辛い事ばかりで逃げてた毎日に とうとう体が悲鳴をあげちゃったね どうして私に皆甘えちゃって 誰も私に手を差し伸べないのだろう こんなになるまで頑張った筈なのに 17日 おむすびをエベレストから転がせば 雪だるま式で大きくなって 地球の半分を引っぺがすくらいにはなるかな だからこれからエベレストに行こうぜ 18日 晴れが続いてるこの季節 私達の街に振袖を靡かせる女の子が表れる 目撃の多い地域には大量の水が撒かれる じゃないとあの子は全てを持って行く 19日 のど自慢で知っている曲が流れた 何処か拙くて、鐘は一つしか鳴らなかったけれど 懸命で力強い、魂で歌う姿は あの歌姫の焼けが野原 20日 良い男は良い環境で生まれ育ち 良い女と当然の様に出会い結ばれる そこに私の入る隙間なんてない 孤独で仕事漬けで死ぬだけの一生 21日 料理番組で出てきた品に 私は食べたいと思った事が無いの 放送時間が悪いのよきっと お腹いっぱいなんだもん何時も 22日 大きな飛行船に乗って 優雅にジャズでも聴きながら カレーを舌に馴染ませる様に食す とてもゆっくりとした墜落は 上昇してる様に思わせる 23日 アーモンドの小さな苦味 ドライフルーツの甘みの類は 電子メールに貼り付けられない 私だけの感覚 24日 空も土も海も知らない子供達に 保管された領域で手に入れた砂金を 小さな瓶に詰めてあげる 今はこれだけで精一杯 25日 刺激の強い夜が過ぎた朝には 優しさに包まれたくて ホットケーキに蜂蜜 砂糖とクリープの入れたコーヒー 26日 こんな田舎にはパーキングメーターなんて無いわ 公衆電話はあるけど電気が通ってないの コンビニまで徒歩で一時間も掛かる場所 こんな場所だけど好きで離れられない 27日 今夜は月が綺麗ですね あなたにはそれで通じた 指輪を買えない貧しい僕の これからは糸を結んでいたいは通じるだろうか 28日 セレン、たまには出かけてみようよ ふとした偶然をきっかけに世界は変わるのさ 別に土砂降りだって良いじゃないか 買ったばかりの乾燥機もあるし 29日 タウン情報みたいに街の全てを凝縮したい 私の書いて来た詩を使って街を作り その中を独り歩きしたい 30日 案外、3分ってのは長いもんだね カップラーメンに騙されてたよ もうこの世に居ない君に 一方的にだったけど全部言えたから 31日 愛妻家が秘密結社みたいにバーに集い 妻にしてあげてる事、もらった事 大好きな妻について話し合う 彼らの最終目標は、最後まで愛されながら 生命保険を渡す事である テレビは付けないで朝食 【2月】 1日 テレビ放送の向こうでは ノンフィクションでプリキュアが戦っている 血と汗と甘い香りがブラウン管を通して デジタルでお届けされるのを 固唾を飲み見守る 2日 軋轢される様な頭痛を誤魔化す為に ツインテールを振り回す彼女は空に旅立ちそう 誰か唇にキスをして時めかせてあげな きっと収まる筈さ 3日 君から届いた手紙には言葉は無くて 山頂から見下ろした町の絵が広がる 僕は君の住む町へ行ってみたい きっと言葉に出来ないくらいに綺麗なんだろうな 4日 今日は西を目指している途中で 銀箔を塗っている銀閣寺を見た そしてその夜に放火犯に焼かれた 青白い炎は絡み合う恋人の姿をしていた 5日 野球で放たれたホームランボールは 屋外に飛んで行ったきり誰もその行方を知らない きっと約束されていない手術を迎える子供にでも 届いていたりするのだろうか 6日 侍が私の家に居候して三日 味付け海苔を巻いたおにぎりと 高級な抹茶を口にしながら ブログという伝法にのめり込んでる 7日 その土地で生まれた人達からすれば 私達はもう侵略者になってしまうのかな? 帰る場所が無いのは寂しいよ 誰のもでも無い事には出来ないのか? 8日 ウッドベースを奏でるより 弾いた音を鳴らす方が心を動かすさ 忘却に支配された鶏達も 忘れる事を忘れて躍り出す 9日 お気に入りの服の名は幸福 それを着ていれば幸せを撒き散らして歩けるのさ だけど汚くご飯を食べなきゃいけない この服は生きている 特に肉が大好きだ 10日 柔らかさを失った布団が お日様の匂いを吸って膨らみを取り戻す 観劇した夜に倒れ込む 劇中の彼女とポーズを重ねてみる 11日 建国された二人だけの世界 その記念に万歳三唱でもしよう 国民はきっとこれから増えるよ 外交もこれからは楽しくなるよ 12日 ブラジャーを外す後姿 姿見の鏡が油断している君の表を映し出す 此処から更に閉じた下唇を開いて 僕は溶けない君の飴を舐め回す 13日 本当に大丈夫か?なんて気遣いはもう要らない これからは追われながら遊ぶ毎日を選んだんだ 大丈夫さ、計画に狂いは無いさ 有るとしたら俺達の事だろうな 14日 食べて良いよとお姉ちゃんが持って来たチョコレートには 伝えられなかった気持ちが箱の中に入ったままだった 口に広がるのはほろ苦い味と思い出 15日 強く吹いた風に春一番と名付けた この風は放流された稚魚の様に 再びこの地に戻る頃には 立派な龍となっているだろう 16日 新聞の天気図から明日の歩き方を考える あんまり当てにはならないけれど テルテル坊主にでもなってみようかな? 例え降ったとしても濡れる事が無いように 17日 話す事が無い時は天使が横切り 考え込む時にはそっと囁く お迎えの近いあなたの笑みが 天使に見えて来るこの頃 18日 嫌煙運動が活発で、喫煙所が冥王星になった 煙草を吸いに行った友人からのメールは 地球に届くまでに文を脱ぎ捨て 空っぽだった 19日 ジャイアントスイングで振り回して 私に技を掛けて痛めつけて もう立ち上がれないほど強く この辛い毎日から逃れさせて 20日 鉄の獣を撃ち殺せと 血化粧した民族が街を走り回る その多くは噛み殺されて アスファルトに赤い線で絵を描く 21日 吾輩は猫である 草枕に横になり見る 夢十夜に夢中である 行人のこゝろを道草から覗いてたぞ 22日 最近、私は猫の忍者に狙われている 食器洗い乾燥機を買ったのは 拭いている時に音も無く忍び寄り ビックリさせて食器を落とすのを待っているからだ 23日 風呂敷で包まれた富士山を担いで何処に行く ちょっと、水平線に面白味がないもんで 急にでっぱた物が欲しくなったんです 24日 月光仮面の月影が走る頃 僕の知らない遠くの街では 狼から救いを求めている 月夜を明るく照らし出せ 25日 帰ると夕刊を届けに来た新聞屋のバイクがまだ止まっていた 玄関には人が居なくて、静まり返った台所に行くと 母を刺した新聞屋がこちらに引き攣った笑みを浮かべる ヤカンの沸騰する音が空気を動かす 26日 血液銀行から多くの血液が溢れ出し 封鎖したパナマ運河を抉じ開ける様に開通させる 真っ赤な染まる前の血管に見立てて 脱出経路を探り出そう 27日 端と端を握った糸は 同じ方へ向かって走った筈なのに いつの間にかプツンと切れていた それに気付くのは手遅れになった頃だった 28日 ポケットを叩いたら ビスケットが割れるのは 当たり前田のクラッカーだバカヤローと どっちつかずの織部が言った 29日 跳躍するには調度良い日 そういって君がジャンプしてから四年の月が経った そろそろ君が帰って来る なんて声を掛けたら良いのだろう 【3月】 1日 ビキニを着た労働者達の無抵抗なマーチが開かれる 行進曲は奴隷天国、家畜扱いを表す為に皆が豚の悲鳴を上げる 2日 火星に移住とかそんな事よりも 私達が小さくなる事を選んだ方がよっぽど楽だと思うの ミニチュアになった街で国で小さな一生を終えるの 3日 民放ラジオからは「今日から世界は平和になりました」と耳に入って来た 私が桃を食べながら過ごしている深夜の事だった 植木鉢の金魚は細かく切った桃の皮を食べている 金魚は告げられる前から平和そうだった 4日 雑誌で裁縫の特集をやっていて 私は母もろくに使わないミシンを取り出し使っている 冬までには時間がまだある それまでには上手なの作れたら良いな 5日 昔ミスコンにも選ばれたというベテランのスチュワーデスさんは美人だ これから巨大な私は巨大な珊瑚の上に出来た南の島に行くのだけれど 彼女は私と一緒にこの島に残らずに帰ってしまう 6日 スポーツ新聞ではうちの弟が世界一周したと大々的に載っていた 船の移動はずっとランニングマシーンを使っていたらしい 彼はこれからエステサロンに行く 足の乳酸がとんでもないらしい 7日 少し前は職権乱用している感じの警察もすっかりと真面になった 私は散歩している時に交番のお巡りさんに挨拶をしたくなる 昔はこんな気持ちは無かった お巡りさんも気のせいか昔より顔が穏やかだ 8日 世界の女性が、光のエスカレーターに乗って太陽に導かれていく 下る者は誰も無く、土産話は誰も持って来ない 地球からどんどん居なくなってしまった だけどミツバチが増えた、辺り一面蜂蜜塗れだ 9日 レコード針が「ありがとう」と回転しながらメッセージを発信する 忘れ去られた記念切手は、漁業の盛んな港でまだ使われていた 10日 サボテンの朝露を小瓶に集めて日光に当ててると ミントの香りがする砂糖が出来上がる 私はこれを食パンに塗って食べるのが日課だ 11日 大地が揺れ、国が転覆しそうな天災の日 動物園のパンダ達は檻の中から一斉に居なくなった 数日後、竹藪の中でパンダは見付かった かぐや姫を探していた 12日 財布を飼っている こいつはお金やポイントカードばかり食べて レシートを食べてくれない偏食に私はまいっている 13日 トンネルが開業したその日に汽車は走った 誰も居ないからと私は窓を開けて煙草を吹かす 汽笛の様な口笛を吹きながら 置き去りにされる煙を見ていた 14日 チョコのお返しに溶けないキャンディー マシュマロデイズ、グローバル規模に縁を結ぶ 幾多の数学でも導けない答えに辿り着く 15日 オリーブオイルの川が流れる街では 滑って転ばない靴が売られている 受験生を持つ家庭ではバカ売れしている 16日 国立公園で指定された場所に人々が集められる これから合図が鳴ったら此処は戦場になるそうだ 騒がしいサイレンが鳴り響くと同時に レベル1、猿の襲来が始まった 17日 とある漫画週刊誌には僕達の未来が連載されていた だけど皆どうでも良いみたいで、打ち切りの展開を迎えている 僕達死んじゃうのかな 18日 精霊が私の周りをフワフワと漂う 冷たい霧が掛かった森へと導かれて 忘れられた教会には生き場を無くした言霊が体を寄せ合っていた 19日 ミュージックが形となって飛び出して 空を高密度の音で埋め尽くす 私達は耳を塞ぎながら見上げると 天を割り大きな産声を上げる赤子が舞い降りて来た 20日 電卓を打つような足踏みをして 動物愛護のデモ行進が始まった 宇宙人とか妖怪が顔を出せる環境をと叫んでいる こっちはそんな事をされたら怖くてたまらないのに 21日 世界の詩歌は子供達にとって催眠術の様になっていて 効果は書いた詩人ですら知らない ランドセルの裏にヒッソリと書かれたそれは 一度読んだら後戻り出来ない 22日 誰かの混ぜ込まれた思考がテレビで放送されている サイケデリックな景色の中で、生やしては千切れてく想像 その中で会話だけが形を崩していなかった 23日 世界の気象がおかしくなって来ているこの頃 何だか私達まで気性どうにかなってしまいそうで 温度を崩さない部屋を蛇みたいに広げて 念の為、精神安定剤なんかも服用している 24日 誰も使わなくなった結核病棟には 用済みになったマネキン達が住み着いていて 人間の真似事をしている 悪い所まで真似しなくたって良いのに 25日 感電してしまう様な恋が出来たなら それを刺激の無い日々を生きていそうな人に分けてあげたい 電線の中を電流が駆け巡る様な そんな恋を分けてあげたい 26日 カチューシャが似合う女の子は 隣の町に引っ越してしまった たまたまその町に用があって出かけた時に 君は僕にとって一番じゃなくなっていた 27日 春一番がせっかく咲いた桜を散らしてしまう どうしてこうも別れと言うのは 浸かる間もなく過ぎ去ってしまうのだろう 28日 シルクロードにアクセスした時に 笑顔の描かれたクローバーがアップされていて それを長時間見ていると顔を剥がない限り ニヤケタ顔が止まらなくなるらしい 29日 野生のマリモが森の中で手足を生やし 湖で泳いでいたりするのを見かけた 私は彼らを高級の苔で釣ろうとしたけど 天然物じゃないと受け入れられなかった 30日 マフィアが今日も夜を騒がしくなるのだろうな 近くのホテルでは、とあるファミリーが密造酒の味見をしている そこに敵がやって来てたから 多分、もうじき騒がしくなる 31日 エッフェル塔のオーケストラは 崩れるまでその音を止めはしなかった 学校教育がそうさせたんだと 経理をしている男が疑問にそう答えた 【4月】 1日 「私達は決して春を売っていません」と 児童福祉の人は嘘を付く だけど♂♀のストラップを付けて 濁った眼をした子供達はしている 2日 週刊誌ではこの間 野生動物の歯列矯正をしていた歯医者さんが 噛み殺された事件が計画的犯行だったと記していた 3日 うちのシーサーはいんげん豆が大好きだ むしゃぶりつく姿は可愛いが その間に不幸は家に上がり込む 4日 健康を考えて朝食のアンパンを止め 脂肪0%ヨーグルトを食べている 整調しながら今日もピアノの調律をする 詩誌がその様子を優しく見守る 5日 伸ばした髪を大胆にヘアカットして 私は根暗な自分にさようならをした 新しい世界へデビューするのだ 6日 北極のど真ん中に聳え立つ 真っ白なお城の中には白熊の王様が一匹住んでいる 私は王様が好物のコンビーフを届けに 橇を滑らせている最中だ 7日 スーチーパイをしている環境が悪いという事で 世界保健機構は末病管理のシステムを導入し 健康マージャンとして再出発させた 8日 忠犬ハチ公を折り紙供養している時 貝を踏み割るタイヤが砂浜を駆ける ヴィーナスは参考書の中だけで笑った 9日 左官が山の様な大仏を作るのに 多くの意思が世代を跨いだ フォークは無駄な機能が付いていて 暗闇でスイッチを押せばチカチカト光る 10日 女性がヨットに乗り四万十川から 海の果てにある国を目指す 標識は無いから交通事故ゼロをモットーに安全運転 風の吹くままに 11日 僅かであるが確実に あなたとの心のメートルを縮められて 僕は表に出さず心の中でガッツポーズをした 12日 世界が初めて宇宙旅行をしたその日 何だか久しぶりに誰かが居なくなる間隔を思い出しながら 地上から見えない宇宙を見上げた 13日 喫茶店でコーヒーを飲みながら煙草を吸い彼を待つ 隣町と明日から合併を巡って、市民同士で争わなければならない きっと多くの血が流れ死人も出る 隣町に住んでいる彼とは別れの挨拶を今のうちにしたいのだ 14日 オレンジ―の夕方は何時もより 何だか柑橘類特有の甘くて酸っぱい香りがしていた 私と君は丘でタイタニックの名シーンの真似事 15日 布団の上で黒いシミの塊になった人は 遺言を遺す事も出来ず 最後まで孤独なままだった 16日 女子マラソンに紛れ込んでいたオカマは 完走出来ずに逮捕されてしまった 心は誰よりも乙女なのだから 別に走ったって好いじゃないかと思った 17日 恐竜も騒ぐだけでは食べていけないから ハローワークに並んでいる 時々だけど警備員をしているティラノサウルスを見掛ける 18日 お香が発明された日に 街の至る所で焚かれ出した ドギツイ香りと煙に呑まれた街は幻となり 煙と共に消え去った 19日 古い紙に月光を吸わせると 1つの地図が浮かび上がる それを頼りに山の頂上へ行くと 月明かりを加工して出来た石が沢山転がっている 20日 女子大ではフェミニストが占領していて 「これからは女性優位時代だ」と拡声器で叫んでいた それを下らないとアイドルがテレビで言った 21日 民が解放された 皆、喜んで毎日お祭りを開いている これからどうしたら良いか分からなくて 誤魔化しているのだ 22日 今日は地球を清掃する日 粗大ゴミみたいな老人や 不良品の子供、汚い大人は全て この地球から追い払おう 23日 世界の図書館で子供達が読書している ある子供が世界の地ビール図鑑を読んでいた 私はふと昔の事を思い出す こうやって私も大人になりたがっていたんだと 24日 植物からは多くの事を学んだ 外に出て陽の光を浴びる大切さ 踏まれても負けない強さを持つ事 だけどなりたいとは思わない 25日 歩道橋の上に置かれたギロチンで 今日も誰かが首を刎ねられた それは確かに車道に落ちた筈なのだけど 何時も首は何処にも転がっていない 26日 老廃物を吸って空が夜には真っ黒になる様に 疲れた私がお風呂に入ってウトウトしていると 身体中から苦い汁が溢れだし 私は湯船の中に溶けてしまったのだ 27日 悪妻は私に哲学というものを教えてくれた どうして私は一緒に居るのだろうかとか 普段は最悪なのにどうして時々優しいのだろうとか 色々と考えさせてくれるのだ 28日 シニア割引きを効かせて 500円で象の背中に乗り徘徊する 何だかこの象の歩みの様に 時が大きくゆっくりと動いているようだった 29日 羊の肉が売られている肉屋で 私は贅肉を売りたいと頼む 店主は世の中に無駄な肉は無いと涙し 私は解体され商品棚に並べられた 30日 図書館の中は誰も居なくて 私の本を捲る音だけが館内に響いていた この本はまだ誰も借りた事が無いらしい とても良い本だと思えるのだけれどなと思いながらも 私も借りもせず後にした 【5月】 1日 語彙の少ないメーデーは叶わない 扇を扇ぐ時、スズランの毒は空気の束に閉じ込められ 青洲を赤い十字の下で過ごす事となる 2日 交通広告には鉛筆でひっそりと 「社会のレールから飛び出し注意」と書かれていた 歯医者はそれをドリルで削って銀で埋めた 3日 世界の報道が自由になってからは テレビは段々と鍵さを増していった 残酷なまでにリアルを見せつけるけど フィクションを求めている我々はテレビを見るのを止めてしまった 4日 ノストラダムスの大予言を信じて生きて来た人達は エメラルドのラムネを飲みながらその時が来るのを待っている 昔はあれほど来るなと言っていたのに 5日  薬ばかり飲んでいても健康になれないから 自転車に乗っておもちゃの国へ 私も人形みたいに心が無ければ 病む事なんて無かったのにね 6日 ゴムの中には1億の人擬き 辿り着けない先を目指してもがいている 男はゴムをきつく縛り窒息させ それをゴミ箱へ投げ入れる 7日 博士が開発した粉は依存性も無く 楽しい精神世界にトリップ出来る代物だが 世界はそれを規制したのだった 覚めた時の現実が余りにもつまらないと知られてしまうから 8日 ゴーヤを食べれるようになった時 少しだけ大人になれたのかなと思ったけど 味に慣れただけで私は大人に慣れていなかった 牢屋の中で胎児の頃から抜けない 丸まった大勢で私は眠る 9日 黒板には落書きのアイスクリームが描かれていた トイレに行って再び教室に戻って来ると メイクを決めた女の子がそのアイスクリームを食べていた 10日 コットンで作った巣に愛鳥はお気に召さなかったみたいで 今はコットンと姿形がそっくりな 綿埃が乗っかってしまっている 11日 長良川鵜飼開きは夜に行われた 舟の灯りはまるで遠ざかる過去に居場所を求めている 霊魂のように揺れていた 12日 看護師さんは病室に置いた花を毎日交換してくれる 私は右腕の点滴が空になったので交換して欲しいと伝えたが もうその必要はないと出て行ってしまった 私は後、幾つ花の種類を知れるのだろう 13日 2文字の言葉がふんだんに入れられたカクテルは 色んな言葉が混ざり真っ黒になっていた 口にした瞬間、愛憎、憂鬱、破壊などが体中を駆け巡ったが 美味を入れたおかげで飲み干せた 14日 温度計の容器を突き破り水銀が飛び出す 猛暑の中で、こんな所には居られないと その後、水銀は海に飛び込み死んでしまったが それを食べた魚が数日の間問題になった 15日沖に置かれていた縄が返還されたから 家族でJリーグでも観戦しに行こう 途中で牧場によってヨーグルトを食べて ストッキングを脱ぎ捨て草原を私は走りたい 16日 旅をしている私は古い友人と会った 故郷の様子はどうだいと私が訪ねると とっくの昔に滅んだよと友人は言った 終わらせる為に故郷へ向かう途中の話だった 17日 パックに詰められた旅行は8畳をビーチに変えた 遊び疲れたのか、日ごろの不摂生で高血圧が悪化したのか 私は電気通信機で母に助けを求めた 18日 博物館には人類の歴史が保存されている 肌、文化、習慣、伝統、宗教 そして言葉すら違う私達だけど こうやって親善するには良い場所だ 19日 ボクシングのチャンピオンが今夜勝利の拳を上げた それに影響された私は常に何かを競うようになり 勝つたびに拳を上げる戦闘狂となった 20日 森林の入り口にはローマ字で名前が彫られた石があるが 風化が酷くて読めなかった 名前の分からないその先へ 価値の重さを計る機械を持ち踏み入る 21日 リンドバーグの翼を手に入れられたなら 恐れを置き去りにして飛び立てたのかな ビリーヴインラブを聴いた時に 私はふとそう思った 22日 女の子達は生物多様性研究所に連れ込まれ 結びつかない染色体を強引に結ばされ 神様を出産させる実験が行われた 23日 難病に侵されたガールフレンドは 今隔離病棟に閉じ込められて泣いている 僕は予告上みたいなラブレターを届ける 必ず此処から連れ出すとだけ書いてある 24日 ゴルフ場には忘れられたボールが転がっている 本当はもっと空高く打ち上がりたかったのに そんな願いも叶えられず 林の中で色褪せている 25日 有名になりたい訳じゃないが 広辞苑に乗るような言葉を生みたいと あなたは目の前の出来事に対して造語を付けて行く そしてあなたは誰とも話の通じない異邦人となった 26日 ラッキーゾーンに着いた私は これからどんな幸福が待っているのだろうと 期待に胸を膨らませていたけれど何も起こらなかった がっかりして次の場所へ行くと殺戮が行われた後だった 27日 ドラゴンクエストをやるのが下手だ 謎もろくに解けず雑魚狩りをしている状態になるから 圧倒的レベルの差でボスを倒す羽目になる そして世界を救う頃には何時も次回作が発売されている 28日 懲役2000年の男が犯した罪を 最早誰も覚えている者は居なく彼は釈放された 憎まれ続ける事が生きて行く希望であり償いだった彼は その後間も無くして自殺したのだった 29日 蒟蒻畑で採れたフルーツを二人で仲良く食べる 柔らかく、弾力のある時間が二人を包み込む 昔は色々と言われたけれど これからも二人で栽培して行きたいね 30日 消費者が使って出来たゴミを無くす為に この掃除機で街へ出掛けよう 最初は直ぐにまた捨てられちゃうけれど 次第に心も街も綺麗になると願って 31日 世界的に煙草が禁止されてから数年 私は今日ものんびりと煙草を吹かしていた 最初から煙草を吸わない人も皆イライラした時間を過ごしている 一本恵んであげたいけれど没収されてしまうからそれは出来ない 【6月】 1日 怪電波が人権擁護をしなさいと頭の中に飛び込んで来る その電波の影響により天気は歪み、写真はずっとネガのまま 氷はずっと解けなく、真珠は何時までも黒いまま 2日 路地に落ちていた悲しみは 誰かの誰かに対する裏切りによるものだった それを掻き集めて出来た人は 表の無い黒い影の塊で、誰にも心を開けないでいた 3日 雲仙普賢岳にムーミンは住んでいると聞いて 私は山登りの仕度を始めた 測量機を持ってなるべく楽な傾斜を歩いて目指そう 4日 虫の知らせが届く、それはザワザワとした音ではなく 鳴き始める蜩の様な音だった 私は気配のする方角に体を剥けると 虫が唾を垂らしながらその先へ疾走していた 5日 私の住んでいる環境は大きく分けで三色に分けられる 空と海の青、森林の緑、そして街の灰色 熱気球に乗って見下したこの場所に もう一色加えられるなら、何が良いだろう 6日 男が田んぼで爆音ギターを鳴らすと 蛙のケロケロした歓声が巻き起こる だけど補聴器を付け忘れた兄の中では 何時までも静寂のままだった 7日 母親大会ではそれぞれ自慢の母親を競わせる 料理、掃除、洗濯、裁縫と幾つか種目がある中 四つん這いになった母親に鞭を打ち走らせる そんな畜生みたいなのもある 8日 バイキングで好きに盛った皿を国や地図に例える スクランブルエッグの砂漠、から揚げの岩石、サラダの森 巨人の私はそれを豪快に頬張った 9日 ロックスターになりたかった彼は夢を語るが 現実味の無い話ばかりしていた 未だに目も出ずにバイトをしている彼の眼には 一体どんな風に現実が見えているのだろう 10日 脱線した路面電車が 歩行者天国に突っ込む 血の香りはミルクやラメルの味 轢かれた人々は衝撃で時が巻き戻る 11日 空が破けて雨漏りみたいに 宇宙が地表に、流星の速度で零れる そんな終末を逃げ場を無くした酸素を吸いながら見ていた 12日 恋人との思い出は バザーで殆ど売れてしまった 唯一値段を下げても売れなかったのは 過ごした日々を綴った日記だけだった 13日 鉄人の心臓が小さな親切から熱を持ち出す頃 FMのラジオの周波よりも早く はやぶさはあなたの元へ思いを届ける 14日 旗がポンポンと建っている 病院の中には死亡フラグが幾つも出来ている 私は辛くなって街に出ると恋愛フラグが建っているのに 私の頭には何のフラグも無かった 15日 暑中見舞いを申し上げます はーいと玄関を覗いてもそこに姿は無かった 暑中見舞いを申し上げます 再び玄関を覗くと、線香の香りがした 16日 無重力の中を漂うと案外、酔いが出て来てしまうから 酔い止めに和菓子が流行している ケーブルテレビは訳の分からない シャボン色の銀河を映していた 17日 薩摩隼人のお巡りさんは警棒の拳銃も持たない ただ、懐には細長く鋭い刀をしている 皆、死を恐れないその姿と 示現流の試し切り位にしか悪を思わない思想に悪い事が出来ない 18日 此処はなんて貧しいのだろう 未来が何処にも芽生えない そんな所で生きてなんていけない 海の外へ移り住みたい 19日 遺跡の様になったベースボール会場で 元号を朗読すると その時代の映像が打ち上げ花火みたいに 空を色鮮やかにする 20日 ペパーミントを口にして飢えと渇きを誤魔化す 難民は新天地を目指す間に多くの命が散る その先に着く頃には2種類の人間が出来る ペパーミントが好きな奴と大嫌いになる奴だ 21日 無理矢理スナックに連れ込まれて 話したくもない女と話しをしなければいけない そして無くなる頃に酒を継ぎ足されてしまい 帰る時に5000円も下らない時間に払わなきゃいけない 22日 蟹をボーリング玉代わりに投げる ツーと蟹は勢い良く滑りピンを全て薙ぎ倒す その後ピンと一緒に飲み込まれた時 バギバキと砕かれる甲羅の音が耳に入って来た 23日 オリンピックは沖縄慰霊の日に合わせて行われた 幽霊も会場に集まって写真にはオーブが沢山映っていた 日本は金メダルが最多だった時に 米軍撤退をアメリカと約束しているらしい 24日 ドレミと音階を踏みながらUFOが空を飛ぶ ハーモニーとメタリックが空を埋め尽くす 今日は地球外生命体との記念すべき交流会 地表はミステリーサークルのアートだらけ 25日 この住宅は誰も住んでいない たまに誰かが入って行くが数日後には失踪している 私はこの家には怪物が住んでいて 人間を食っているんじゃないかと思っている 26日 露天風呂には多くの麻薬が乱用されている 肌から吸収された薬物はゆっくりと体に染み渡り 私の重くなった身体から精神を解き放つ 27日 我々は日照時間を多く得るべきだと 空を覆い隠された地下で演説をしていた政治家が 女性雑誌でフリフリの衣装で表紙を飾っていた 何をしようと勝手なのだが、主張が安っぽくみえた 28日 貿易としてパフェを配るのがブームだ 美味しいパフェを出されると 何だか多少難しい事も上手く行ってしまうのだ 私の見解だと食べ飽きるのは後、一週間と見てる 29日 ビートルズが解散するまでに作った音楽を 私達や他のアーティストが全て形を変えてやっているだけ そんな事を言われた時にオリジナルは紛い物になって 全ての思考は全て誰かの物になってしまう 30日 トランジスタを脳に差し込むそこに電流が流れて 私は初恋の衝撃を永遠に味わっている それを人工的だと悪く言う人が居るけれど 天然の愛なんてあるの? 【7月】 1日 国民安全は童謡の中に刷り込まれている 更生保護の象徴は建築物の柱の中にある ナビは全てを知っているけど教えてくれない 2日 高級たわしを古びた匂いのする商店街で見つけた それは毛が無く亀の甲羅の様であるが 多くの人が住んで重ねたこの部屋の汚れを あっという間にピカピカした 3日 波に乗ったままサーファーは その勢いで通天閣を潜り抜ける 塩の飛沫はスパイスとなって ソフトクリームに降りかかる 4日 瑞々しい梨の誘惑に負けて 下品に口を開いて齧る 果肉が歯で砕かれ咀嚼される音が 私の耳から脳に入り込む 5日 穴に入ったまま出てこない子供に 江戸切手を貼った手紙を落とした 数日後ポストにはあの子からの返事があった どうやら灯りを持っていたみたいで、悪口を書いてるのがばれたらしい 6日 今日は戦う事は止めましょう そう決めた日はとても静かだ お店でクレームを言っていた客は ゼロ戦部隊に問答無用で射殺された 7日 カルピスの皮は味が薄いね そんな事を言いながら冷やし中華を食べている 浴衣にポニーテールの彼女は この夏だけの生き物なんだろうな 8日 ナンパされて気分が良くなって飲んだ後 頭痛で目覚めた朝には ホテルで裸の男女がポツリ 私は生きていて、相手は死んでいた 9日 ジェットコースターの様に 一生が過ぎて行く 立ち止まってみたくても止まれなくて それが何だったのか分からないまま通り過ぎてしまう 10日 私がウルトラマンになったとしたら 3分の間に怪獣から人々を救えるのかな? 自分の事で精一杯なのに ハヤタさん、どうして私なんですか? 11日 世界の人口が増えている まるで手を付けられる事の無いラーメンみたい でも、敢えてそうされているのかもね 何時か箸が空を割り、ずるずると私達は啜られるのかも 12日 人間ドックの結果は γ―GTPと高血圧がちょっと悪いだけだった だけど先生、何だか具合が悪いんです それに不安な気持ちが何時までも晴れないんです 13日 オカルトな話は人から人へ伝染し 引き寄せの法則により形となる 嘘は真になった後 再びまことしやかに囁かれる 14日 求人広告には1か月で100万稼げると書いてあった どうやらとある部屋に住んでれば良いらしい 何だそんな事かと思っていたけど 突如借金を背負う事になり地獄の1か月を過ごす事になった 15日 ファミコンでやった筈なんだ 猫がUFOに乗って来るゲーム 皆で燥いでやったのに、誰も覚えていないし 物置にカセットも無いんだ 16日 駅弁をのんびり食べている間に 私の体は肥えながら幾つもの県を跨いだ 変わる景色を窓から見る事も無く 私は宮城に到着した 17日 君の住んでいる東京は人が多過ぎて 何だか息苦しくて見上げるけど 今度は見下すビルに圧迫感を感じて 私は逃げる様に田舎に帰った 18日 光化学は空を明るくして 七色の雲が七色の夜に浮かんでいる 公害も悪い事ばかりではない 不覚にもそう思ってしまった 19日 女性大臣が女性の為の政治を行った レディーファーストを履き違えた様な政治 男は本当に人間ATMの様になり数年が経った日 政治は瞬く間に感情的で腐敗した 20日 働く青年は、修学旅行に来ている学生の姿を見ていた 自由行動を取らされているのだろうか 食べなれた味が置いてあるハンバーガーショップで きつい政府を脱いでTシャツ姿で寛いでいた 21日 自然公園はジャングルとサファリパーク 迷子になった人々に捜索願が出されるが 先住民族に襲われて殺されたり 猛獣に噛み殺されたりしている 22日 円周率が完結する日には 1繋ぎの大秘宝が見付かったりするのかな? 下駄を履いて歩いてそんな事を考えていると 誰かが散らかしたナッツを踏みつけてしまった 23日 矢文が沢山飛んで来た 私はそれを読まずに避け続ける 書いて有る事は読まずとも分かっている 米騒動を引き起こした果たし状だろう 24日 劇画みたいになった私達は 大した事ない動作にもオーバーリアクションが求められる こんな日々が続くのと思うと私は疲れてしまいそうだが 最近顔を動かしてなかったから良い機会とも考えている 25日 最高気温がこのかき氷を美味くする調味料だ この焼け爛れ、焦げ付いて、溶けだしそうなこの身体 原型を留めさせようとするリレーが堪らない 26日 幽霊になって此処を彷徨うのはもう疲れた 誰にも相手にされず触れる事が出来ない 私は過去の人だからいい加減この時代を来世に 次へ向かうべきなのかも知れない 27日 口から土に向かって吐き捨てたスイカの種 いつの間にか芽を覗かせていた 誰にも手をかけられず育ったスイカは とても逞しくなりそうだ 28日 冷蔵庫には死んでしまった恋人を凍らせている 地名がフルネームの彼女だった 朝起きてたら冷たくなっていた だけど温められないから更にこうした 29日 電話が無いから始めた無線 金曜日の夜八時だったのに 今日は君からの声が入らなかった あれからずっと入らない 30日 とても酸っぱいという梅干しは かなり真っ赤な色をしていた 口にすると顔が凝縮して やがてそれはブラックホールを発生させる 31日 かつて放った木霊が帰って来た 蓄音機で音を食べていたらしく その体は大きく喧しい音を出していた 【8月】 1日 水面に浮かぶ都を観光 パイン味の煙草で肺を染めて 水底トンネルから魚の泳ぐ空を見上げた 2日 博多人形はパンツの中にハーブを隠し持っていた 人形ハラスメントを受けていた時に 偶然薬の売人と出会ったそうだ 3日 蜂蜜を照り焼いた黄色い砂浜は 風の香りが甘ったるく ビーチサンダルで蹴る様に掘ると 濃厚な蜂蜜が湧き出る 4日 深い霧の掛かった橋の向こうへ渡る人はいるが 此方へやって来る人はいない きっと向こうは楽しい事だらけなのかな 何れにせよ、帰らぬ人が増えている 5日 小さな箱の中はハードコアに満たされる 割れた音をかき鳴らし 公転を忘れた惑星の様に暴れ 傷つきながらぶつかり合う 6日 ハムを食べている これは何かの肉を加工したものではなくて 最初からこういう生き物らしい 最近、魚の切り身って生物も発見されたらしい 7日 バナナの花が咲いている 自力で開く事は出来ず 動物の力を借りて開花するそうだ なんとも他人任せな生存戦略だろう 8日 屋根の上で寝転がっていると 近くに生えている樹の葉っぱが取れた それはヒラヒラ私の口元に落ちて来て 緑の髭を生やさせた 9日 野球で疲れた体を癒す為に マッサージ店で解すことにした 店はツンとする液体に塗れていた どうやら老廃物が沢山取れたそうだ 10日 この細い道の先には 小さな宿がある そこに住んでいる娘の ハートの付いた帽子が風に乗る 11日 スポーツ中継で野次馬が カメラに向かってピースサインを送った 全国にそいつの顔が流れたが あれがどんな奴だったか誰も思い出せなかった 12日 私達に刻まれたこの国の歌は 純粋な日本人が居なくなったら 誰かが代わりに歌ってくれるだろうか 13日 大した事は無いのだけれど 何かがあると深読みしたくなった すると世界はくるりと裏返って 怪奇を覗かせた 14日 思い付いた事が誰かの物にならない様に 私が何もにもならない様に これからの人生は特許を取っておこうと思う 15日 世界中の争い事が無くなった 怒りと悲しみと血と爆発の日々は この先は再生するだけ 跡形も残さず 16日 ずっとずっと忘れられない女子大生が居る 禁煙された施設では常にココアシガレットを口に咥えていた あの甘く、薄いミントの香りを漂わせる彼女の名前は… 17日 パイナップランチャーで撃墜する 木っ端微塵の人の臓物に砕けたパイナップル 俺はそれを見てから酢豚にパイナップルがあると食べれない 18日 避難警報みたいなサイレンが球場から鳴る 蝉の声よりも大きな音だ これから青春に捧げた想いと時間をぶつけ合う そんな高校野球が始まる 19日 バイクに乗って旅に出た 日本には美しい場所が幾つもある 私は小さなメモ帳を携帯して そう感じた場面で立ち止まり詩を作る 20日 剥げた頭に蚊を乗せて血を吸わせてもらう 古い血を吸ってもらい、新しい血を体内から生み出す 更に痒くて頭をゴリゴリ掻く事で 発毛を促進させるのだ 21日 献血の流れた噴水は 動脈の出血の様に見える どんどん色濃くなるその中で 目的を無くした酸素と栄養の運搬が行われる 22日 卑猥なちんちん電車が 勃起しながら走行している レールの上でまんまん電車と出会い ドラマを作る事も無く連結し子供を作った 23日 燃える城の幻を見て 互いに斬り合って死んだ白虎 その時の意思は時代と共に薄れ 千円の木刀となって売り捌かれる 24日 大噴火して逃げ惑う群衆の中 私は山頂に龍の頭を見た 生命も同時に溢れ返り 新興宗教が幾つも出来た 25日 即席ラーメンを食べていると 頭の中がくすぐったくなる 髪を切っている時には背中がくすぐったくなる こんな人、私以外に居ないだろうか 26日 友達のやっているパワプロを観戦している こうやって酒を飲み煙草を吸っていると 父親が何故野球を見る時にそうしていたのか 何となく分かる気がして来た 27日 寅さんは男は辛いと言うけれど 女だって辛いんです 男女がどうってより人生が辛いんです 1匙の幸を何処で舐めるかなんです 28日 バイオリンを弾く貴女の手首 横に流れる真っすぐな切り傷 その手首はどんな音が鳴るのだい 血の調べを教えてくれないだろうか 29日 焼肉を皆で囲んで食べている 網目を潜り抜け溶け出す脂 見捨てられた肉は救いの手を差し伸べられ 黒焦げになるまで横たわっていた 30日 冒険家になって色んな所に行って 絶景とか財宝とか沢山見て来た そんな俺だけどお前が一番そそるんだ お前の中を冒険して命を落としたい 31日 野菜が足を生やして繰り広げる逃走劇 村人は包丁を持って追いかける 逃げ延びたある一組の野菜は ヒッソリと山の奥で暮らした 【9月】 1日 良く分からないまま何かにサイレンが鳴り 良く分からないまま防災訓練が始まった 良く分からないまま点呼して、お疲れ様の豚汁を食べて 良く分からないままその日の午前は終わった 2日 宝くじで高額当選するお呪いとして 腐った牛乳を沢山飲んだけれど 私のお腹はかなり丈夫に出来ているようで当たらなかった そのせいか結局、くじもさっぱりだった 3日 ベッドで寝たきりの弟が今度手術を受ける 自信を持って貰う為にホームランを打つ約束をする プロ野球じゃなくて草野球だけど 4日 クラシックを聴いて心を落ち着かせようとしたけど こんなにまったりしてて良いのかと焦燥に駆られた 私は最後まで聴くのを止めて ハードコアパンクで自身を鼓舞した 5日 国民栄誉賞を貰った 私の書いて来た詩が評価されたのだ だけど彼等は私の詩の価値は分からない だって私ですら分からないのだから 6日 黒い人影が家に住み着いてる それは廊下を渡り、階段を上る そして妹の部屋へ入って来る ノックもせず擦り抜けて行くように 7日 クリーナーで剥された汚れは 此処に俺達は居るんだって存在証明だ 殺戮のブラシで擦られて 零の歴史にまた戻る 8日 ニューヨークへ旅立ったあいつは ビッグになれず小さくなって帰って来た あいつは常に人の視線に怯えていて 何があったかは教えてくれなかった 9日 温泉でくつろいでいると 救急車みたいなチョロQがやって来た 倒れた老人の意識を確認する為 九九を言わせてる途中で死んでしまった 10日 自殺をするには丁度良い朝だ だけど君の後を追うのは止めたんだ もし僕がこの先死にたくなったら 僕をぼろ糞に叱ってくれないか 11日 公衆電話を使って今、警察に相談している 私はストーカーの被害に遭っていて 自宅の至る所に盗聴器を見付けてしまったのだ もしもし?と私が訪ねると、やっとお話出来るねと返って来た 12日 宇宙は子供描いた架空の地図 宇宙は何処かで風が吹いている 宇宙は母親の羊水と似ている 宇宙は私達をちっぽけにし、繋がっていると錯覚させる 13日 法は私達を守ると同時に裁くものである それは何処へ行っても同じ事 法から外れたアウトローだって その中に掟が有って、守れなきゃ裁かれる 14日 男の子が今日はチョコを配る日だなんて 誰に聞いても知っていなかった そんな事より、この先のハロウィンで どんな格好をしようか頭でいっぱいだ 15日 生まれた時に老人の姿だった人が、青年の風貌の時に言った 僕はどんどんこれから若返っていくだろう そして、色んな事が出来なくなって死ぬ 置いて死ぬ人と何ら変わらないだろうと 16日 馬の走る姿が好きだ 力強く前に進むことは 生命力の象徴だ 私は元気が無い時、競馬場で元気を貰う 17日 モノレールに乗って都会の景色を見ていると 何だか近未来を感じる そのうち車も空を走ったりするんだろうけど 私はそれまで生きていられるかな 18日 しまくとぅばって言葉が私の生活を蝕む 至る所でこの言葉は使われていて 皆は意味を知っている 私だけが知らなくて、聞いても誰も教えてくれない 19日 あなたの苗字になったら占いだと最低ね あなたの苗字になったらちょっと揶揄われそう あなたの苗字になったら運命が変わる それは確かな事 20日 巨人が私の乗っているバスを掴んで お手玉みたいにクルクル回す 車内で空と地上が混ざり合って 曖昧に満たされてく 21日 ファッションショーで未来人、古代人 そんな格好の人達が向こうからやって来て 思うがままにポーズを決めて帰っていく 私はそれより煙草の箱のデザインが変わったのが気になってた 22日 孤児院の子供達は 何れ私の元から去っていく 私は本当の母親ではないけれど その時まで本当に愛情を込めて育てたい 23日 大事にしていた万年筆は 使わずじまいで一万年の時が経っていた 君に再び手紙を書こうと思った時 インクは中で化石になっていた 24日 何度目の清掃になるのだろう 埃1つ転がっていない世界は 潔癖で神経質になっている 常に気を使った日々を私達は過ごしている 25日 10円で食べられるカレーは スプーンの上に盛られていた 私はそれをペロリと平らげる うん、安くてもカレーはカレーだ 26日 ワープロ50段の私は詩を書く時 光の様な指さばきを披露する その音は一本の線のように聞こえるが 細かく言葉を刻んでいる 27日 世界中を観光してみたけど 何処もテレビで見ている時と変わらなかった 最初は少し感動するけど 直ぐに別の場所に行きたくなった 28日 パソコンという世界がある限り 私という情報は保存されている 私はネットのシーランカンスになって 忘れられた、誰も検索しない海を泳いでいる 29日 招き猫に付いて行くと 車が泥を撥ねて行きコートを汚した 近くにあったクリーニング屋を利用しようとした時 あなたと巡り合えた 30日 クレーンで誰かが今日も連れ去られる 正体不明のそいつは相当の凄腕で 一度も捕らえた人を落とした事は無いし 狙いを外した事も無い 【10月】 1日 コーヒーでも飲もうかと思うと 香水のきつい女がそれを嫌がった 私はそれから逃げる様に 眼鏡を外しぼやけたデザインを眺めた 2日 望遠鏡で覗いた月は その中にスッポリ納まってしまって 何時もよりも何だか小さくなっている様だった 私はガッカリしながら望遠鏡から目を離した 3日 登山していると今まで背負って来た物 全て下ろして楽になりたいなと思う そして山頂に着いた時 転げ落ちる様に下山したいと思う 4日 天使の里親を探している だけどこの奇妙な生き物を誰も飼いたがらない 羽が黒くなり角が生えだしている 悪魔化が始まろうとしている 5日 レモンプールでビタミンCに溶けたい 時刻表を確認して隣町へ向かう 町は堅苦しい音楽が流れていた 6日 あなたの国はやり方を教えて物を与えても 何もせずに売ってしまって苦しいと言っている もうそんな国は滅んでしまえばいい どれだけ協力しても形にする事が出来ないのなら 7日 死んだ筈のあなたが居るミステリー 意識が戻ったら家庭を築いていたミステリー 身の回りが違和感で包囲され 私は謎に身を置く事になる 8日 木漏れ日を避けながら歩く彼女は まるで踊っているかのよう 骨と骨を連結する関節が滑らかに動く 僕は怪我をしないか心配な目で見守る 9日 トラックの中には利用方法が不明な道具ばかり それを明日の朝までにそれを各地へ届ける サンタにでもなった気分だ 10日 ドラムを打ち鳴らしたみたいな星空 何だかんだ眩し過ぎてサングラスが必要さ 缶詰に幾つか入れたら 明かりの少ない所に放ってあげるんだ 11日 去り際にウィンクされた それは僕の胸に飛んで来たから 銀河鉄道に乗る事になってしまった 12日 オール電化の家は停電に弱い 今夜はとても冷えているから 物置から石油ストーブを取り出した 壊れてないかちょっと心配だけど 13日 君と過ごしたこの部屋ともお別れ 今は綺麗に片付いているけど 何処に何があったか鮮明に覚えている その中で君がさようならと言った 14日 鉄道に乗る事を勧めている 写真を撮る為にに車で移動して 花を潰して居る様な奴は 脱線した電車に轢かれて死んで終えばいいのだ 15日 今日も生きてられるのは 誰かに助けてもらえているから その事を忘れずに感謝して過ごして行きたい 16日 この灰だけの世界からもう抜け出せそうにない 食料もとうとうこの飴だけになってしまった これを最後まで残したのは 自分でも分からない 17日 カラオケでお気に入りの歌 誰にも気を遣わずに一人で歌えるのは とても心地の良い事だ もう喉が潰れてもそれすら快感だ 18日 輪廻みたいなフラフープは土星の環 ミニスカートの中にある秘密 統計学で導かれる今後 19日 バーゲンセールで大安売り 私は自分の値段を下げた すると多くの男が私に群がり 私を嬲り、貪り、しゃぶり尽くすのだった 20日 髪が抜けたのを集めて 筆や箒にしていました 新聞広告には関心の無い物ばかり 大きく載っていました 21日 小さな灯りが集まる それは大きな蛍となって飛行する あれは戦争で命を落とした人達の魂だ 22日 スカイダイビングしながらの結婚式 パラシュートは開かないまま アニメだったら此処で奇跡が起こるのに もう地上まで後僅か、間に合わない 23日 電話先の男は何かを必死に伝えようとしたけれど 私は全て繋がって聞こえていた 彼は青森出身の未来人で 私に起きる出来事を知らせようとしているのだ 24日 書いていた文が取りになって空を飛ぶ それは誰かの元へ届くのだろうか それとも雨が降って流されてしまうのだろうか 25日 私がリクエストしたのは チェリーを復刻させる事 ホープを存続させる事 栄養満点の煙草にする、それだけだ 26日 サーカスがやって来た 子供達は中に入ったきり帰って来ない 皆、ピエロにされてしまったのさ 27日 読書をするには良い雰囲気だ 私は世界一長い葉巻を吸いながら 一日中、活字を追いかけて行った 28日 彼は何度言っても速記をする様な汚い字は直らなかった 甲骨文字を眺めているようである だけど人類の歴史よりも不快感を感じる 29日 ホームビデオには幼い私が居た 今の私からは想像の付かない燥ぎぶり どうしてこうなってしまったのだろうと 見ているのが辛くなり止めた 30日 初恋はとても辛い物だった 胸のドキドキ、上手く喋れない 一喜一憂の情緒、天邪鬼な態度 まるで精神病だった 31日 日本茶には詫び寂が入っているそうだ 私はそんなのお構いなしにがぶ飲みし 飲み飽きたら捨てた 作法なんて知らない 【11月】 1日 寿司屋で玄米茶を飲みながら、時々泡盛を飲んだりもした そして灯台には点字で古典の一文が隠されている 犬だけがそれを知っている 2日 蛇と薔薇の入れ墨は足首から太腿へと延びる 昔の過ちは動脈をなぞっているから消せない 私は黒タイツを履いてそれを隠す 3日 ゴジラが産まれたこの国の未来は レコードの中に組み込まれている 私はそこから流れて来たメッセージを聴き 変身ペンシルを輝かせた 4日 不良品や紛い物に溢れ返って 本当の価値って何なのかなとなって来た 消費者センターはそんな私を見るなり サンプル品だと言った 5日 電報が雷になって私は届いた それは私の体を激しく流れた 感覚で何をしなきゃいけないか伝わった 急いで雑誌広告の連絡先に電話した 6日 アパートの中でお見合いパーティ 405号の彼が素敵だった だけどまだまだ部屋はある 一緒に住みませんかは早過ぎる 7日 鍋には脳味噌が詰め込まれ 知恵が出汁となって溢れている 食べると知識がぐっと入り込む 8日 レントゲンで世界がX線を浴びている 歩いている人は皆骸骨ばかり 通り魔が刃物を振り回したけど それは肋骨の間をスカスカ擦り抜けるだけだ 9日 数日ぶりに帰ったこの部屋は 窓も開けていなかったから 空気が死んでいた 喚起して外の空気を入れる事で蘇生させる 10日 エレベーターの中に地球一個分の広さ これから最上階へと向かうらしいのだが 扉の向こうにはどんな未来が待ち受けているのだろう 11日 下駄を履いてサッカー、靴下をちゃんと履いている ポッキープリッツの様に接近する唇 鮭、チーズ、もやし、ピーナッツ、きりたんぽを煮込んだ鍋 鏡の裏の煙突は一本足りなかった 12日 皮膚の傷や皺はその人の歴史 苦労の無い幸せな人は潤いが有って 無駄や徒労が多かった人生だと渇いている そんな風に思いたいだけ 13日 別れの挨拶を済ませた これから遠くへ行くのだ 部屋の物は片付けた 多分、もう帰って来ない 14日 パチンコに溺れて、一文無しになり 消費者金融からお金を借りて追われる日々 そんな私をとある医師は救ってくれた 今、私の体は集金マシーンとなっている 15日 着物を着たあの子、夜空を舞う天女みたい かまぼこや昆布の香りがする町 潮風が鉄の飾りを錆び付かせる 言い残すには丁度良い日 16日 幼稚園の頃の記憶が無い 自分も経験した筈なのに どうして忘れてし


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作成日時 2018-12-13
コメント日時 2018-12-21
#受賞作
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渡辺八畳
(2018-12-13)

うわぁ、エグい……やべぇ……しかし、なんならちゃんと一年やってから1月に投稿したほうがよかったんじゃないだろうか

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カオティクルConverge!!貴音さん
(2018-12-13)

16日 幼稚園の頃の記憶が無い 自分も経験した筈なのに どうして忘れてしまったのだろう 楽しかった思い出の筈なのに 17日 将棋からは色んな事を学んだ 一歩一歩、意味を持って行動する事 失くしたもの手に入れたものをどうすべきか そして何より考える事を学んだ 18日 ジャスラックが支配した近未来 口するもの、書いたもの全てが違法に当たる だから肉体言語が流暢になった 19日 緑のおばあさんが徘徊する 保護者が起こりながら連れ戻す あなたにはこの世はどんな風に移っているのだろう 聞いた所で返事は無い 20日 ホテルムーンサイド ホログラムの光彩で月が浮かぶ 外は冷たいけれど 毛布は必要としない 21日 インターネットで動画鑑賞 フライドチキン食べながら こってりとまったりとした休日 これでいいの?と私の中で誰かが問う 22日 寂しいと感じないのは きっと動物たちが必要としてくれるから きっと夫婦でいられるから 命に囲まれているから 23日 実はこの世界はゲームである そのことを僕以外は知らない 僕はバグで偶然知る事になった 不幸なNPCである 24日 これ以上の進化は望めなかった 果ては存在していたし 限界はとうの昔に通り過ぎた 人類は神になってしまった 25日 ハイビジョンの情報が 五感を刺激して 眠りこけた六感を呼び起こす 26日 このペンで描いたものは動き出す これから沢山の動物を壁に描いて サファリパークを創る 27日 ノーベル賞を貰いたい ただ貰うんじゃなくて 何かを成し遂げて 出来る事なら文学賞 28日 太平洋を鯨に乗って渡る 水色の街はずっと向こう 君を連れ戻す為 私は向かう 29日 議会では下らない事を話している その間も社会は回っている 服装がどうとか野次を飛ばしている間も 私達が社会を回している 30日 カメラには若い頃の君が閉じ込められている 奥の無い、狭いその中で 絵画をのまま拘束されている 【12月】 1日 カイロの中の鉄が熱を持ち出すのを感じながら 野外で上映している映画を車内の中で見ていた 車の中でカップルがいちゃついている 私はホープを吹かしている 2日 カミソリソングがお前の感性をズタズタにする 鋭い刃が私の体を裂いた時に 内側から散文を撒き散らした 3日 奇術で各国の妻と呼ばれる人たちが 身体の一部を切断されて障害者になった 夫婦の愛が試される 乗り越えられない夫婦はそのまんま 4日 とある砂漠でE.Tが掘り起こされた どうやって遊んだら良いか分からない 聖夜の子供達を傷付けたゲーム 自転車で空を飛ぶ事も無い 5日 バミューダトライアングルに飛び込んで 跡形なんて残さないで死んじまいたい 海中に沈んで、やがて溶けだして 私は海の一部になりたい 6日 外は乾いた音がしていた 生命の潤いは何処へ行ったのだろう どれも老いて朽ちようとしている 色もすっかり褪せている 7日 クリスマスツリーにはキラキラは飾らない 色彩に溢れた臓物、骨、筋肉を装飾する これは君達で作ったんだ 8日 太平洋戦争で行方不明になった戦闘機が 何十年という時が経ち不時着した 操縦士は既に白骨化していた 9日 障害者に生まれて来た時に 私は自分自身に負けないでいられるだろうか 偏見、不便、嫌でも来る毎日に 笑って過ごす事が出来るのかな 10日 ごめんね…と謝った時 やっぱり返事は帰って来なかった もう許して貰えないんだろうね まぁ、それでも良いんだけど 11日 心を脳で感じ取るよりも先に 胃腸は素早く行動を起こす ほら、段々お腹が痛くなって来た 負荷が私を押し潰そうとしているの 12日 この漢字は良い感じ この漢字は悪い感じ バッテリーは馬通照利だと思うの どんな感じ 13日 離れ離れの双子がまた巡り合うには どれ位の時間が掛かるのだろう 再び出会った時に傷は一緒なのかな 14日 直ぐ食べるつもりだったのに 原因不明のモタモタで何時の間にか伸びていた 出汁を吸っている筈なのに 何だか味がぼやけてしまっている 15日 観光バスに乗っての長旅 何も無ければ景色を楽しめたのだろうけど 腹痛や、車酔い、便意、尿意が遅い 阿鼻叫喚のバスはパーキングを目指す 16日 もしもし、あー私だけど この間の紙細工のお城なんだけど やっぱり雨が降ったせいで ふにゃふにゃになっちゃったんだけど 17日 なんでだろうね確率は低いというけれど 飛行機や雷はそうなりそうで怖いんだ 人に殺されるのは0.03% それよりもずっと低いのに 18日 東京に出て来たのは良いのだけれど 何処へ向かえば良いのか誰も教えてくれない 心も触れていないから通じ合えない 皆が私を空気の様に扱う 19日 日本から初めて独りで宇宙へ 賛成や期待よりは反対や失敗 そんなのを望む人が多かったなぁ さぁ、月に文明を作るとしますか 20日 シーランカンスになった ネットの海を泳いでいる 肉体はとうの昔に死んでしまった ここでは後何年生きてられるかな 21日 遠距離恋愛をしていると バスケットボールの距離が遠くなった 続いている内に3Pの名手になったけど 会えないのが辛いんだ 22日 労働組合に駆け込んだ だけど目の前では鞭を撃たれ 暴言を吐かれながら働く職員が居た 助けて下さいと言えず引き返した 23日 一億円のテレホンカードをもらったけど 私は全く嬉しくない 公衆電話で誰かと話す事なんて無いから この先もずっと…ずっと… 24日 学校給食が懐かしい 昔此処でベラベラ喋りながら食べてたんだよな 最近は給食を食べれるサービスが出来てるらしいけど あの時を超える味は無い 25日 スケートの楽しさが分からない 曲に合わせてクネクネして 回転ジャンプが沢山出来れば良いんでしょ? 此処に書いた事は人前では言えない 26日 プロ野球で応援する人達が羨ましく思う 私はそこまで誰かに期待を掛けられない 自分の事だけで精一杯だから 27日 ピーターパンは大人になっても返してくれなかった 子供とは子供が作れないからだそうだ どうして私が良いのかを聴いたら なんか、好きだからだってさ 28日 身体検査をしたら私はどうやら宇宙人で サイボーグで、幽霊で、ついでに男だった そんでもって神様だったし、概念だった、世界だった 29日 シャンソン歌手が歌っている あの曲の歌詞は出鱈目だった だけど多くの人を魅了して泣かせた メッセージは要らない 30日 地下鉄の風を切る匂い 人工の灯りが冷たい視覚を照らす この車両は私だけが乗るみたい そして私だけが次の駅で降りる 31日 私は日付が変わる頃にまた振出しに戻る だけどそれまでに培ったものは変わらないと信じてる いつか王子様がそんな私を見付けてくれて 本当のお姫様に変えてくれると信じてみる 何故か載らなかった後半の部分です

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渡辺八畳
(2018-12-13)

管理画面見てみても投稿の場所で切れてますね。 予想外の長さだと全部反映できないのかもしれません。

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かるべまさひろ
(2018-12-13)

これは、そうですね。今まで判明してなかったシステム面のエラーです。 申し訳ありません。 コメント欄と併用していただいて、幸い全文掲載できているでしょうか…? システム上の最大文字数がはからずも判明したので、いったん参考にさせていただきます。 取り急ぎ。

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༺❦柿原 凛☂༻
(2018-12-13)

1月 21日の料理番組は、そういう視点もあるんだなって面白いなって思いました。 2月 9日の幸福はダジャレから入って、しっかりオチがある。落語みたいで好き。 3月 26日のカチューシャの女の子、環境が変わったからかカチューシャをしなくなったんですかね。木綿のハンカチーフみたいですね。 4月 21日の毎日お祭りのは読んでいてなるほどなと思いました。とりあえず騒いで、またエライ人がどうにかしてくれるのを待っているわけですね。結局解放されてもどうしようもできないのが一般市民なのだと。 5月 25日の造語、面白いですね。研究者がやってしまいがちなんですよね。僕にとっては身近なのですごく頷いちゃいました。 6月 26日の風呂の麻薬、デトックスされるのではなくて、注入されているっていう考え方はなかったなぁと感心させられました。それで、それがきれたらまた風呂に入りたくなるんですもんね。 7月 24日の劇画、クスッとしました。劇画の中の住人はそう思ってるんだろうなと。 8月 11日の野次馬、あんまり関係ないかもしれませんが、甲子園のラガーマンを思い出しました。今はもう次世代の甲子園のスターのためにいなくなっちゃいましたけど。 9月 9日、99で九九とチョロQなのですね。内容もくすっとできて面白いです。 11日、オチがストンと決まっていて良いですね。 10月 31日の侘び寂び茶、詫びになってるってことは、お詫びしてんのかなーと思いつつ全然してなかったっていう勢いが良いですね。 日めくりカレンダーみたいだなと思いました。長い詩だけど、短く区切っているから読みやすいし、読もうと思わせられましたね。 季節感がある作品もそうでない作品もまぜこぜになっていて、グラデーションと言うより雑貨屋さんみたいだと思いました。 こういうのって僕みたいな初心者はテーマとか掲げて統一感を出してしまいがちですが、そうじゃないのが良いところ。意外と1年って色々思うことがあって、仕事先と家の往復でしか無いなんてことはないのかなと思いました。

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カオティクルConverge!!貴音さん
(2018-12-17)

渡辺さん まぁ… 年の始めでも良かったんですけど 煩悩に打ち勝ちたい願望がありまして 間に合わせました かるべさん コメント欄と組み合わせました でも直さなくても良いのかもしれません 自分も周りも 20000字を書くことって多分 この先無いと思うんです 字数制限なしをガッツリ活かしたい欲はこれで解放されました。 柿原さん 記念日をテーマに書いてるので 季節感は少ないかもしれません 気に入った物が多ければ幸いです

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さかさまほうびん
(2018-12-18)

最近私は、曜日や12か月など生活上の区切りに興味を持って、それをテーマにした詩を書いていたのですが、この作品も、一日ごとの詩として大変興味深く読ませていただきました。あと誕生花や誕生石ならぬ、誕生詩みたいだなと思いました。

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ほば
(2018-12-18)

何、これ面白い。自分の日々も不意に頭に浮かんできて、こういう見方もあるなぁ、この日は何してたっけ? ぼくは日記はつけないのですが、ツイッターやり始めてからたまに、見返してみるんですがそんなことを考えながら楽しくスクロールしました。 11月五日の雷が電報に、や料理番組なんかが好きですね。いや、上げだすときりがないです。

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カオティクルConverge!!貴音さん
(2018-12-21)

3名様、お読みくださりありがとうございます。 念入りにチェックしたのですがやっぱり誤字脱字がありましたね… 一年って振り替えると 色んな事があって 同じことの繰り返しじゃないんだなと 最近思ってました この詩が振り返りになればと思います 個人的には思いでを振り返るってよりは修行記録ですがね

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