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秘法(第一巻)
Ⅰ 骰子蹴つて鍋に放り込む 万華鏡のアンチテーゼ 漆黒。 Ⅱ ばら瑠璃(月夜のトランプ) 「ペルシャンブルーの砂漠がですね、 象の骨を磨いてゐたのですよ。」 キャラバン隊のポスターを剥がす少女の初恋。 Ⅲ 薄荷ラッパのせいで桟橋落ちたのには困つた。 そこで 幽玄。 (宝船を解体してからこの旅を終はらせませう) ドビュッシーの蒔絵は未完成でしたが――気にしません、私。 Ⅳ (クレーの帽子) Ⅴ 虹の線形代数。 Ⅵ 蝶がプリズムの先端でゆれてゐる午後。 アテネの路傍では哲学の授業がつづいてゐます。 Ⅶ (まだ歌つてゐますね!) Einsatz! それからクレタ島に行つてきます。 鳩を取り返しに。 Ⅷ Ⅸ Ⅹ (ユピテル魔方陣でお別れします) 姉さんのリボンの裏に刺繍されてゐた秘法です。 「光あれ」と 二度と云つてはならない。
秘法(第一巻) ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 2844.1
お気に入り数: 2
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-12-08
コメント日時 2019-01-18
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
Ⅷ 硝子壜に詰めた匣 愛は天秤秤で量り売りしています Ⅸ 瑪瑙碧のしたたり 煮え立つ言葉を切り開いて供する
0拝見しました。 数字もそうですし、技術やアイデアが詰め込まれた作品です。 特に「虹の線形代数」は面白い。線形代数は普通直線(ベクトルなど)に使われるとうろ覚えしていますが、直線をいくつも繋げることによって円形にも使えます。円だろうと線だろうと、元は一つの点の集合体であり、ひいては我々も、虹も、原子という点の集合体であるということを想起させます。 古語も相まって、中世ヨーロッパのような独特の雰囲気がいい味を出しています。 空白、改行が多い作品は批判されがちですが、本作はむしろこの適度に多い改行が作品のビジュアル面での良さをうまい具合に引き出せています。
0んー。この作品ですが。空間なんです。他者様の作品だと、線と点が著しく多いです。作品の中で一定の技術以上を持っていないと短詩でここまでの空間は作れません。ちょっとしなければいけない事してますので、後から書いていきます。
0Ⅰ~Ⅹありますね。※「光あれ」と二度と云つてはならない。の部分に着目しないと、Ⅹで何かを消したと感じれません。蝋燭では無いと思っています。秘法ですが。Ⅹの陣形をご存知の方では無いと感じられるモノが少ないかもしれません。ユピテルの魔法陣が絶対的な位置付けをしています。ですが、私は生命の樹、セフィロトの樹を当てていきました。Ⅹだからです。 数字と並べられた言葉達が空間を構築していく。空間を構築していた。消えていく何か。最後にⅠに帰る。繰り返しですね。読んで残る感覚と、※「光あれ」と二度と云つてはならない。で消える感覚が残ります。構築していた≒(∞)構築していくでした。なので、圧倒的な存在感と洗練された言葉達です。浮遊と落下を味わっていて、落ちているのか登っているのか分からない感覚になります。並べられている言葉に集約された情報である知識(時代背景等)と込められたモノをどれだけ読み手が具体的に想像では無く、知性化できるか、試させられる作品かもしれないです。感嘆の吐息です。素敵です。
0Ⅹで消えて。Ⅰ~Ⅹがまた一斉にナニカを灯す感覚ですね。そして、消される。の繰り返しです。
0言葉のチョイス、そしてその感度は本当に素晴らしいと思う。ただ何を言っているのか、やりたいのか僕には一瞬分からなかった。最終節「『光あれ』と二度と云つてはならない」で辛うじて全体像が見えてきたかなという印象。ただし眺めているだけで美しい作品に違いはないので、そういう高度に抽象化された作品として読むならば、かなりクオリティなのではないかと感じました。
0何度か拝読したのですが、率直に申しますと私には難解でした。また、コメント欄を参考にもしたのですが、私の脳みそは更に迷宮入りした次第でして、一つ、思い切ってお訊きします。本作は読解するためには必要な何か、読む為に必要な知識があるとすれば。差し支えなければご教示いただけますと嬉しいです。いや、お答え不可でも大丈夫です。質問の理由の一つとして、「詩には前提知識が必要であるのか」ということについての石村さんのご意見を参考にしたい、というのがあります。
0すみません、句読点などがおかしなまま書き込みしてしまいました。 本作を読むにあたって、持っておかなければならない知識があれば教えて下さい。 という意でして。すみません。
0自分に訪れたものは、すべて啓示と思うことにしてるんですけど、同じ感じをこの詩から受け取りました。断片であるけれど、何かしらの印象を残しているものを、手のひらにおいて、時の流れがそこに何かの反映をしていくのを、秘法としている。 すべてでありつつ、わりとそっけないような断片で、と言うところが、愛おしく・・・。
0まりもさん、ふじりゅうさん、つきみさん、蛾兆ボルカさん、stereotype2085さん、みうらさん、fiorinaさん、ご高覧有難うございます。いずれもすぐれた書き手である方々からこんなにコメントをいただいたことに、作者自身ちょっと驚いています。というのも、本作は普段私が読みたい、書きたい種類の詩ではなく、抑え切れないインスピレーションに駆られてなかば已むに已まれず「かけてしまった」作品であり、読み手はもちろん書き手本人のことさえほとんど顧慮していないシロモノですから(笑) その上で、皆様の御評を非常に興味深く拝見しました。ことに、空白の連を補作するというまりもさんの試みには虚を突かれました。「そうきたか」と(笑) 皆様さすがに練達の書き手であるだけあって、それぞれに核心を突いた鋭いご指摘があり、結構ひやっとしましたww 具体的にどなたのどのご指摘が、とは申し上げられません。答えを明かすことになってしまいますのでね。何しろ「秘法」ですから(笑) みうらさんからは直接のご質問がありましたので、これには別にお答えしたいと思います。
0みうらさん、 拙作を何度もご高覧くださったとのこと、恐縮するとともに深く感謝申し上げます。 >読解するためには必要な何か、読む為に必要な知識 >本作を読むにあたって、持っておかなければならない知識 それは、ありません。作者は読み手に「期待」することはできても、「要求」することはできない、というのが小生のスタンスです。 以前に別の所で、自分の作品の受け手をある程度想定している、という趣旨のことをかきました。読書経験の量・質・種類、趣味嗜好、リテラシーの程度などなど、漠然としたものではありますが、仮想している読者のイメージは常に念頭に置いています。 ですが、それはあくまで仮の想定であって、実際の読者への要求ではありません。いったん作品を世に出せば、作品は読者のものであり、筆者の意図やメッセージが何であれ、読者の自由な読みを拘束することはできないという、しごく平凡な結論になります。 「詩には前提知識が必要であるのか」 難しい問いですね。あるといえばあるし、ないといえばない(笑)前提知識があることが読みを豊かにしてくれることもあれば、邪魔になる場合もあると思います。「前提知識」のレベルや範囲をどう設定するか、にもよるでしょう。端的に、まず「日本語の知識」は必要ですわな(笑)古語を知らないと読むことさえできない作品もあるでしょう。また、拙作のように衒学的な術語を使用する作品は、近・現代詩にいくつもあります。たとえば宮澤賢治の作品なんて、科学術語のオンパレードです。じゃあ、そうした術語を知っていれば賢治の詩が「わかり」、知らなければ「わからない」のか?私は、「詩っているからわかる」という人がいたら、その人は詩のことなんか何もわからない阿呆だと思いますね。 一方で、そうした個々の言葉が何を意味するのか知らなくても、やはり賢治の詩は読み手に「響き」、感動させてくれます。詩の力、ことばの力は「教養」よりも上位にある、というのが私の(いささか理想的な)信念です。詩の営みがペダンティズムに陥ることは厳に避けるべきであり、ことばの原初的な力、ものとしての実在性、存在感をいかに扱うかという工夫こそが、私たちの仕事なのではないか、と思うのです。お答えになっているでしょうか?
0上記の書き込み、誤植を訂正します。 「詩っているからわかる」(誤) →「知っているからわかる」(正) 失礼致しました。
0石村さん 丁寧に教えていただきありがとうございます。「詩のことなんか何もわからない阿保」と言われるところに、知りたかった答えを見いだせました。そもそも言葉には定義があったとしてもその定義通りに使われていないこともあるわけで、わかったような錯覚を、、私なんかは断定して語っていたりします。私は「人それぞれに考えや思うことがあっていい」という物言いが嫌いだったりします。それはお互いを尊重する一方で個別に持っている強度が薄い、なんと言いますか、緊張感が失われた場に出す要因にもなると思うのです。ビーレビは楽しい遊戯の域であるべきな一方で個が断定を持って参加してこそ有意義な遊びの場になると思うのです。その観点からすると先に挙げさせていただきました「詩のことなんか何もわからない阿保」という言葉に共感します。わくわくしてしまいます。話は逸れますが、時々見受けられる揚げ足取りのようなネット詩上のコメント。それは阿保と言葉をかけることもためらってしまうほどに残念な人にみえます。 不躾な質問にお答えいただきましてありがとうございました。
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