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一作品選評 「癒ゆ」渚鳥
作成日時 2018-10-20 https://www.breview.org/keijiban/?id=2476 一読、私は死への解放を思った。 終行の「もう歩かなくてもいいのだった。」を痛ましい気持ちで見つめた。 そして、それを書き、詩として発表した作者がこちら側にいることに安堵した。 黄泉を思わせる水の流れる場所に、ふたりいたのであろう。 このふたりのうち一人(あるいは「馬鹿げた願い」の半身)が、「赤錆に飲まれて、ぶくりと沈」み、そこで息絶えたのである。 半身を父母の地に残してきたからこそ、癒えることができたのではないか。 >疲れ果てたのなら、夢の地を、汚れた目のまま、転げ回って喪った親を探し、追いつきたかった、 この「転げ回って」を誰か書けるだろうか。私には書けない。 ここには、喪った親を慕う生き物の業のような姿が描き出されている。 渚鳥さんの詩に触れるとき、多くあるどうしても泣いてしまう行。(この詩にはそれがいくつかある。) 作者は、お涙ちょうだいだからと自分で決めて封印している作品にも、それはあるだろう。 詩の表情を暗いと感じる人もいて当然と思いつつ、私にはそれが全くなかった。 ただ、懐かしく、自分が小さい子どもになったように心地よいのである。 一見絶望的な描写が、知の明るさ、五感の明るさ、ひいては生命の明るさ、に到達し得ないとしたら、 文学なんて読まないわ、と思う。 このゆき届いた描写は、作者がこの世に足を踏みしめ、生きた証をあらわそうとした作為のたまもの。 将棋の板に駒を置くように、漢詩のルールに則った文字の配置に脳を絞るように、 人間だけが持つ創造の場所に、純粋な歓びを見いだしていくまでに治癒したのだ。
一作品選評 「癒ゆ」渚鳥 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1208.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
作成日時 2018-11-15
コメント日時 2018-11-15
何故か二回分になってしまいました。お手数ですが、2度目の「一作品選評 「癒ゆ」渚鳥」以降を削除訂正お願いいたします。
0fiorinaさん、了解しました。
0ステレオ様、ありがとうございます。毎度お手数おかけします!
0fiorinaさん、ありがとうございます。 あぁ、許された。そんな気持ちになりました。 私たちが知り合ってもう2年は確実に過ぎたと記憶しております。現代詩フォーラムでもfiorinaさんは、お友達ポイントなど関係なく私の詩を読んでいてくださる貴重なお方です。 私は、書き続けてきてよかったと、今思いました。ありがとうございます。
0弓庭夜話の自薦作品に、この詩があげられましたね。 選評で言い残したことがあったので、よかったです。 作者を交え、「癒ゆ」を語りたい。 あの水の流れる場所にまで行った人は、こうしてかえっておいで、と言われてるような気もしました。かえってきたら、後は漢詩に任せませうw
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