初恋文
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眩しい光
ほとんど機械化した私と出自のわからない彼が望んだ、待ち望んだ命があなた 長い長い、命の旅を越えて、こんなに待ち望まれて、生まれて欲しいと、願われて、そんな祝福を、空に両手いっぱいで捧げて、愛されて生まれてきたあなた 飛行機を待ちながら、 歩くイヤホンの透明感に、 泣くのは我慢しちゃうね 大泣きしている、隣の席の若い青年は、 声を殺している。 キャビンアテンダントの優しい、ちり紙を受けて、鼻をかむのを 横から盗み見ているあなたを見ている彼 愛されて生まれてきたあなた 誤解されながら、生きるのは、つらかったよね 知ってるよ 知らないよ 知ってるよ 私はあなたがいなくちゃ私でないよ それがなんでも I have the strong soul you love. We may be so sorry. 今から雲を潜って地球に戻ります。そしたら一緒にみんなで手を繋いで掲げて歩行しよう。撮影禁止エリアでいい。（こっそりもっそり）そんなに拡散しなくても、私は私でいられますよ。心に残していこう。 一つの重い。一つの重い。さっきまで浮いていたんだから、一つの重いのなんて、当たり前だよね。じきに馴れるんだから、今は筋力を、三人で合わせて、一つ。 祝日が終わったら、また普通の日になる。 その駅の人通りが浮き世に変わりゆく文化の日の夜に、恋を灯す私たちはもう家族ではいられないかもしれない けど、あなたが生きている時間は、風のなかで続いてる しっかりと、つかまって 席がゆれているあいだ、 みんなゆれます。 命の長い旅の輪廻が集まって、大風になるのです 彼が大事に育てた生命の源となる精子の樹も持ってかれました これから何を糧に生きていけばいいのか見失い続けたこのただ続く生と呼ばれる自意識 Good bye. Good bye. また会えて、 あなた「RM 안녕. 素敵なメッセージをありがとう！」 僕が、レコードを収集し始めたのは、中学生の頃で、かぶれてたのだ。 友達をつくるのをダサいと思って コーヒーを飲み明かしたのだ。 中途半端な論理でまた、純な者を遠ざけた。こうやって死ぬまで人生は続くのだ。 さまざまなイベントを、半端に経験し、奥底までに浴び、たどり着くものもなく、 仮に研究が実を結んでも、僕の精神上の課題が解消されたりすることはないのだ。 好奇心と飽和の両方が、闇のように取り憑いてくる。僕は自縄自縛の四文字をリビングに飾ることにした。 （デリダを引用することをかっこいいと思っている若い青年を横目にした） 『クォンタム・ファミリーズ』の冒頭で述べられていた「三十五歳問題」は僕の時代にも残っている。部屋を出ると鱗雲。 鱗雲が一つ、鱗雲が一つ。 —―墜ちてる！！！ ――墜ちないで！！！ 落ちないで、落ちないで、落ちないで、おねがい。 おねがいはかなわない。 あなたは、小さく青年と意気投合して、なにができるだろう。 本当はあなただけじゃなくて、私もなにができるだろうと考えたことがあるんだよ。 私は、どんなに誰が敵として目前に落ちてこようと、あなたを、生まれてくるあなたを、愛してる。風に消えた世界の命たちを、私が再生する一助になることもなく、入れ替わる人員や交流関係のなかで私も風に流されてゆきます。 それでも、あなたは、愛を、目一杯、耳一杯、手一杯、足一杯、CPU一杯、 あなたを愛してる。あなたも、あなたたらしめる。私、あなたが成立用件だったように、あなたは、あなたに愛を費やしていいんだ。あなたは、空を飛べる。風は、吹きます。 花びら吹雪のなか、見えなくなっていく。 見たことのない部族の、どんどこ叩くお祭りの文化の日。本場仕込みの迫力を、僕はピアノに乗せる。この三和音を、持ち前の特性で、誰かに止められるまで、永遠に叩き続けるよ。あなたが、この永遠に一緒に囚われて大泣きすることに、救われながら、叩き続けるよ。 あなたが、いれば毎日が僕の世界初だ。 消えるときは、一緒がいいけど、 難しいから、思い出す日はまた路上のピアニストになるよ。空港で、ピアノを弾いている。いつか、放送される日は、親に紹介したいな。 おねがいは、かなわない。 ON AIR TV says： たくましい大胸筋は、毎日毎日この三和音を叩き続けて鍛え上げました。眠りに落ちそうな日は、毎日誰かの命日であることを思い出して耐えました。 そいつはクレイジーだね。少しはこう……普通のこと、友達と遊ぶとかなかったの？ こんな僕に友達がいたら、そいつこそクレイジーだね。 Audience：(laugh) : ) TV says once again： 他にそのクレイジーな三和音で身に付いたことはないの？ 全国の自閉スペクトラムの友達の希望になるようなことはさ。 世の中はそういう欺瞞ばかりで、健常者として生きているくせにクレイジーな奴ばかりだと学んだよ。 Audience：(disappeared) : ( Ok, google. TV off. お母さん、彼が私のあなたです。 お父さん、彼が私のあなたです。 お父さん、彼が私のあなたです。 素敵な人を、連れてきてくれて今日はまさにお祝いだね。 変わり映えしない特別な食卓と神様に、みんなで乾杯をするとき、 風が吹きます。カーテンがゆれます。 席もゆれて、みんなでゆらゆらして、 まるで、音楽に乗っているかのようです。 私が摘んできた、花の物量は、私たちを覆い隠すほどだったので、 お祝いにふさわしく、みんなで花籠から、散らしながら、歩こう。 今日は眩しいレインボープライドだ。秘密の私たち。 あなたは、今からでも愛されて生まれてくるんじゃないかと思えるほど、この魂を花に乗せて散らしていこう。 今夜はあなたに会えてよかった。 破滅する瞬間、私は港に流した花びらを目前にデジャヴした。永遠には生きれない。私のポンプが、他の者のと換わったら、それもまた私の亜種なのかもしれない。あなたが、私を私にする。 私は間もなく地球に降り立ちます。あと鱗雲を一つ、あと鱗雲を一つ。 重力はどれくらいなのか、脚力はどれくらいなのか、投げられる石がどれくらいなのか、不明なことばかりで、吹く風にも怯えてしまいます。 あなたが、いれば毎日が私の世界初だ。 機体の窓を伝う水の粒たちが、名残惜しく散っていきます。またどこかで、他の粒たちとくっつけることをねがって手を振るよ。おねがいはかなわないけど、おねがいをするよ。変わり映えのしない神様にではなく、僕は僕におねがいをしているんだ。永遠にかなわないおねがいも、長い長い旅に出るのなら、この大胸筋もまだピアノを叩き続けるんだろう。苦しくても苦しくても終わるまで。 下から光は差し込んできた。 私たちを動かし続ける電気の息づかいが聞こえます。 大きな地球の上に着陸します。 あなたは、泣いているのかな。横目で見てみるけど、タイミング良くアイマスクを外して、窓を見るあなた。 窓に反射して、私と目が合った。 それは目ではないのかもしれない。 もっと深い奥底まで浴びているのかもしれない。 私たちは色々なことから目を背けたのかもしれない。 それでも。
眩しい光 ポイントセクション
作品データ
Ｐ Ｖ 数 ： 1130.0
お気に入り数： 0
投票数 ： 0
ポイント数 ： 0
作成日時 2018-10-06
コメント日時 2018-10-08
| 項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
これにあるもの、これに込められているものが私にはわかった。何が込められているのかを言葉にするほどには読めていない一読しただけなんだけれども、わかった。わかった気がしただけではなく、本当にわかったと感じた。とてもとりとめもない散文だし、技巧的な何かがあるわけでもないと思う。眩しい光はたしかにあった。
0三浦天才詩人果実 様 コメントをありがとうございます。 「わかった」はとても涙を呼ぶ言葉です。 ビーレビテンのイベントに向かう東京への飛行機のなか、詩を書かないといけない生体リズムが来たので、二時間のとりとめのなさをそのままにして、書きました。 ありがとうございます。
0新生 溢れ出す涙を、そのままにあふれさせることができる その幸せが 空からゆっくり、降りてくる 輝かしい朝 あなたがいて そこに居てくれて はじめて私は私であることを ゆるされたのだ その事を何よりも大切なあなたが誰よりも深く 静けさのなかに放って それをいま ふたりで並んで見ているということ これが えいえん なのだ 現れては消え とらえようとしては逃れ いつも隠れていて 時折 からかうように目の前に立つ 一瞬の至福 青いベールに包まれた大地が 僕らを迎える もうすぐ
0まりも 様 コメント、というより、詩を、ありがとうございます。 テーマや言葉がこの「眩しい光」と親しいところにあって、ひらがなの「 えいえん 」にかるべの言い表したかった永遠の、あぁこれだ…という気持ちでしょうか。日本語の意味としての無限の時間というニュアンスとは正反対の刹那をえいえんと私たちが表現できる、この感じが、今うれしいです。 本当にありがとうございます。
0新しい生命が生まれるまでの過程を詩にしたのだろうかと思いました。新しい命を授かるまでには思春期もあっただろう、恋人を父母に紹介したこともあっただろう。頻繁に地球へ向かっているかのような描写、地球へ着陸するかのような描写が印象的ですが、 お母さん、彼が私のあなたです。 お父さん、彼が私のあなたです。 お父さん、彼が私のあなたです。 こう言う三行はユーモラスだと思うし、詩の中のテレビやそのオーディエンス、グーグルなどは日々のありふれた光景としてこの詩にアクセントをつけていると思いました。
0エイクピア 様 コメントをありがとうございます。 うれしいです。 ビーレビに投稿しはじめた頃、長めの詩で、花緒さんから展開のようなものがあった方がより読める、といったようなコメントをいただいておりました。今回、長くなると気が付いた段階で、それを意識して、普段はやらないような（それでいて実験的ではない範囲に構成したかったので）テレビなどのアクセントを組み込んでみました。 3000字近くなっていたので、その点でいい具合になっていたならとても安心します。 毎年一冊詩集をつくるをライフワークにしておりまして、来年は「子を持つ」をキーワードにしていまして、それで近頃は「親」と「子」のような背景にじっくり取り組んでいるので、命が生まれる過程と感じていただけるのは作者的には意外な思いもあり、楽しいです。個人的には生む過程みたいな気持ちなのですが、そもそも親と子が曖昧に入れ替わるので、コメントで気付きを得られます。 ありがとうございます。
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