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案山子
君の目の前に限りなく、 道が続くと信じるのなら、 見境なく未来に希望を求め、 光が見えてきたのだと、 活路を見出してきたのだと、 君が微笑むのであれば、 僕は、この身をもって絶望を示したいのです。 それが彼なりの優しさだったと気づくのに、私はありったけの愚かさを差し出すしかなかった。彼の示した絶望はしかし生存の否定ではなく、逆に生きることそのもののことだった。 ラジオから悲鳴が聞こえた。それだって、ノイズにかき消されてなかったことにされる。彼の怜悧な指先でチューニングすると、のっぺりとした平和が出現する。騙されてはいけない。 つまり、彼は私に「生きろ」と伝えた。生きることは光を渇望することであり、暗闇の中でから笑うことであり、叶わない願いの連綿であり、眠気との闘いなのだ、と。 絶望と手を繋げば、私自身が絶望を示す案山子となる。そのことを誰よりも彼は願っていた。その彼の願いを裏切り続けることで、私は光の方向へ突っ込んでいく。 「生きろ」 うるさい。
案山子 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 980.0
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 2
作成日時 2018-09-26
コメント日時 2018-09-27
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 2 | 2 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
「絶望」と「生きること」を照らすとダンガンロンパ的な究極の価値観の世界を思い出します。 「うるさい。」がしっかり決まっていてバランスが好きです。
0かるべまさひろさん、ありがとうございます。お言葉、とても嬉しく思います。新参者ですが、なるべく楽しんで書いていきたいです。
0桐ヶ谷忍さん、ありがとうございます。作品をじっくり読んでくださり、とても嬉しいです。 作品は手を離れれば読者の方の無限の解釈に委ねられるものだと考えています。桐ヶ谷さんのご解釈もまた、ひとつの正解なのだと思います。つまびらかなご高察をいただき、背筋が伸びる思いです。 コメントをいただき、ありがとうございました。
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