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秋
八月二十九日、秋のにおいがした 生温くなった空気が 肌と一体化する やわらかな湿度が 呼気と吸気との境界をなくす ひそやかな生き物たちの生気が 外界にわたしの馴染む余地を与える おだやかな温度と ぼんやりした湿度と 生気をはらんだ空気のにおいとが わたしの肉体の輪郭を曖昧にさせて ただ胸のなかに溜まった澱だけが わたしの実存をわたしに知らしめる 秋のはじまり
秋 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1144.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-09-01
コメント日時 2018-09-29
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
空気、呼気、吸気、生気、秋と「き」でリズムと言うか軽く韻を踏んでいるのでしょうか。カ行の発音って個人的には耳に残ると言うか聞こえやすい音というか目立つと思っているので、そう感じたのかもしれません。 残暑っていうかんじがよく描写されているなと思いました。
0肌にまつわる感覚、質感の変化をとらえて、そこに季節の変わり目を感じ取ろうとする、繊細な意識が素敵だと思いました。〈外界にわたしの馴染む余地〉少し硬い表現ですが、今まで居心地の悪かった、跳ね返されていたような大気に、受け入れられる感覚が戻って来た、ということでしょうか。〈実存〉という観念的で重い(意味の詰まった言葉と言えばいいでしょうか)単語が入って来ると、なんとなくそこだけ、浮いてしまうような印象もありますね。単純に、季節の変わり目を感じた、ということ以上に、人生の秋の到来をも思わせた、ということを伝えたいのかなと、思ったのですが・・・実存を感じさせた、それは、なぜなのか、なにゆえにか、そこを追求してほしいとも思いました。
0拝見しました。 その名の通り「秋」をメインテーマとしていますが、「肌と一体化」「呼気と呼気」など、どこか官能的に秋の訪れを表現されている事が面白いです。そもそも秋の風はスッキリしたと言いますか、自分は冷涼感をイメージしていましたが、「生温く」という表現は巧みであると思います。 「わたしの肉体の輪郭を曖昧に」させられて、自分の中の澱みのみがわたしをわたしたらしめる、それが主人公にとっての秋だと。バックボーンが非常に気になるところでありますね。
0出だしからして良いです。なぜ8月29日なのか謎ですが、夏もいよいよ終わるという日において、肌で自然との一体化のようなものを感じている。「肉体の輪郭さえ曖昧にされて」秋の始まりを知る。良いと思います。ただ「わたしの実存」の実存という言葉だけが気になりました。もっと詩情を喚起するに適した言葉がなかったのか。ここだけ固く「浮いて」いるように感じました。
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