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百均の選評六月
みなさんこんにちは百均です。 今月はなんか上手いことスイッチが入りやる気があるので、熱量入れて書くスタイルにしようかなと思います。長い駄文になりますが、僕の取り柄は結局の所熱意しかなく、それ抜いていきてもしょうもねぇなという結論にいたり垂れ流していこうぜ愛をという感じになりました。 また、基本的にここで拾い上げる作品は多分読みやすさとかに重きを置いています。注目作についてはツイキャスなどで読解を通じて良さを引き出して生きたいと思っております。アプローチはあればあるほどいいよね。 ●大賞推薦 柴田蛇行「菅田将暉くんへのファンレター」 https://www.breview.org/keijiban/?id=1855 これに関しては個人的な事情が掛け算してきてしまい、とてもじゃないが他人事としてよめませんでした。ファンレターであってラブレターではありません。菅田将暉さんについては誰だかわかりませんが(米津玄師と仲良い、くらいです)彼氏のいない同僚が彼氏がいないので菅田将暉を追っかけてるという事を口走っていたのが脳裏によぎり、なんとなく、「なんで菅田将暉なのか」という事について納得してしまいそうになります。真偽の程は分かりませんが、菅田将暉が好きな方の話も伺ってみたい所です。 菅田将暉は関西出身なのかということも初めて知りました。ラジオもやってるみたいです。聞いたことがないので彼がどのような人なのかはわかりませんが、菅田将暉と並ぶようにADHDの元カレが出てきます。菅田将暉は元カレと対比されたり代わりとしての立場に、ある意味一方的におかれます。というよりは多分媒体としておかれます。それは映画を捏造して作中にぶちこみ、菅田将暉にADHDのロールを背負わせてしまうくらいに。 自分の彼氏が菅田将暉だったら良かったのかというとそうではありません。菅田将暉は彼氏ではなく、語り手にとってはあくまでもファンです。この場合のファンというのは多義的だと思います。読みこぼしを前提で話しますが、作中におけるファンになる定義は、側にいるだけで安心感を覚えること、その人物の行動に共感することによって自分の中にある規律にゴーサインを出してくれること、それから自分には出来ない事をやってのける事。 この作品は元カレの話が沢山出てきますが、ラブレターではなくファンレターです。そして、菅田将暉は彼氏ではありません。一つの象徴であり。元カレと語り手を結ぶ存在であり、もしくはそこに読者も混ぜ込むような存在だとおもいます。それは僕の同僚が菅田将暉を好きな理由に近いかもしれません。同じかどうかは聞いてみないとわからないけど。 わたしもADHDになりたかった。そうしたら、あなたのアレコレもすぐわかって、上手くコミュニケーションを取れたのかもしれない。色々大変なこともあるのかもしれないけれど、あなたのことが分かるのであれば、きっとそっちの方が全然良かったのだ。だけどそんなことを言ったってもう仕方がなくて、わたしはわたしという看板を背負ってまた明日から生きていかなくちゃいけない。わたしは映画の中の女優みたいに、あなたと結婚するような器の広い女にはなれなかったし、人類が掲げるスローガンさえ守れなかった。 看板を背負うというのは、例えば僕は今びーれびゅーの運営をしているという看板があるので、その看板を持っているという所から生じるみられ方をしています。それからその看板を持てる数というのを本作では器の広さで表現しています。そして他人の看板を一緒に背負いながら歩く事の難しさや、人間には基本的に何かしらの看板があってそれらを拾うことはできても拾った所から捨てずに持ち続けていく事の難しさを感じます。 役者というのは役側によって人間の器が入れ替わりますが、入れ替われる人間というのはやはり少ないのでないかとおもいます。松山ケンイチに誰もが慣れるなら役者などいりません。自分という看板以外を背負うというのはどのような形であれ大変なはずだから。だからこそ自分の看板の中にADHDがあれば良かったと思ってしまう。そしたら一緒に並びながら、あなたと歩けたかもしれないのに。と、私は菅田将暉でもなければ、菅田将暉と映画の中で結婚した女優にはなれないから。 こっからは個人的な話ですが、僕も診断は受けてないけどADHDの気があります。それに加えて姉が、難病で僕よりも確実に辛い人生を送ってきたのですが、その姉の人生と僕の人生を比較した時に、してしまった時になんども僕が姉の病気を持っていたらと考えました。醜い思考だとおもいますが、姉に打ち明けても姉は全て許してしまうので、ますますやりきれなくなります。 僕にとっての元彼と菅田将暉は姉に近いです。僕は多分元カレの立ち位置に近い。と同時に語り手にの立場にも近い。べつに僕はADHDの診断受けたわけじゃないし、姉の人生との対比を生きて来たことを考えると語り手の属性もいくつかもっているのです。 という所から本作を読んで行った時、選ぶしかなかったというのが実情です。 また、涙の比喩としてのぐじゃぐじゃに絡まったヘッドホンが好きでした。後は最後のオチの向こう側がなんとなく見てみたいというのがぼくの欲望です。以上雑感です。 ●優良 タイジュ「記憶の渦」 https://www.breview.org/keijiban/?id=1893 自分の感覚を言葉にするのは難しい。それが意識や無意識の領域に入れば入るほど、僕はそこら辺の分野について、べつに勉強してきたわけじゃないが、自分を脅かすものというのは常に側にあってそれらによって揺れ動く心を如何に捉えるかというのは、考えないと生きてこれなかったという側面がある。そういう、側面があるからこそ言葉というのは色々厄介な存在であると同時に付き合い方を間違えなければ、大切な人生の良きパートナーになれるのではないかとおもいます。 とか適当な事を枕においておりますが、何が言いたいのかと申しますと、正直白旗だってことです。好き嫌いというよりはこんなん書けんわ。的なノリが強いかもしれないし、自分の中のごちゃごちゃになった感覚をここまで整理して書けたらどんなに気持ちいいんだろうなぁとか、そういう書き手のしての悔しさがまず頭に来ます。全体的な事物による置き換えによって打ち消している余計な私情というのもひたすらに上手いです。鍋に釣り糸という組み合わせだけでも凄くいい。なんというか、ものすごく話題にあってる感がぱないです。 5or6(ゴロちゃん)。「シンクロニシティ」https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=1938 感情を操作されたような感覚に陥ります。催眠かけられたような感じなんだかムカつきますが、それくらい感情を揺さぶられたという事だと思います。話の構造を分解してみるのも面白い。文章の書き方、あるいは情報開示のタイミング、最後の行訳に至るまで憎いほどに完璧です。一回ポッキリの大技を決められたようにおもいますし、僕も2回目は味わえないだろう感覚に落とされて有益な読書体験を得ることができました。勉強になった一作です。 今田千代「イマラチヨ」https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=1916 花緒さんからどうなん?ってリプもらって考えてたんですけど、二時間くらい書いてたんですが、結局全部消しました。社会から怒られるかもしれないですが、そん時はしょうがない! という結論です。表現の中くらい自由でもいいかなと思います。語り手が女になったバージョンの奴も誰か書けばいいんですよ。 という感じで、性器末とヴァイオリスカが今回読んでて面白かったなぁ。色々ぞんざいに扱われてる文脈も確かになくはないので、そこ突っ込まれたら怖いし突っ込まれても文句は言えないとおもいますが。そこらへんのリスクヘッジは既に加味されているとおもいます。ので、そこについては、僕はふれません。 ぼくの楽しみ方は、書かれているものを単純に文脈を去勢して捉えたりあるいは語り手に視点をあてていって優しみとか絵面とかをみてなるほどとか思ってます。他にも沢山、色々な感想が出てくると思うので、各人それぞれ楽しんだり拒絶すればいいのかなぁとおもいます。 正直コメント欄でみんな話してるからそれ読もう!今田さんの受け答えも含めて掲示板いい感じで回ってんなという思いで一杯です。正直僕があんまり評を書かなくても、みんな色々感じる作品だと思いますのでこんなもんでどうでしょうか。 ●推薦 宮田「今夜家に帰ったらエアコンをつけよう」 https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=1894 会うべきでない女に今夜あった 避けていた 嫌いでなく、嫌われることを恐れて 始まりがものすごくいい。僕はあんまり人のこと嫌いにならない方なんですが、嫌われるのが本当に苦手です。嫌われるの得意な人は逆に嫌うのも得意かもしれないけどどうなんだろう。と思いながら 読み始めました。 外は涼しかったけど 約束どおりエアコンをつける ここにあるのは 努力も顧みもなく それでいい なんて虚しい夜 エアコンは消す もう何も言うなかれ 乾いてて、なんともダウナーな気分にぴったりの詩だと思います。僕はこういうの好きというか「なかれ」は個人的な味付けの好みとしてはいらん癖のように感じて削ぎ落としちゃうかもしれないけど、好きです。解釈として開いていけば違った味わいも楽しめるだろうとは付け足しておきます。 彼女は泣いた 結局だ 泣いて、泣いて、泣いて 皆いなくなる だが、もう悪者になる気力もない 僕は嫌な顔をしたが、君はもっと嫌な顔で説法を どっかで聴いた話 僕がした話 それを抱いて眠っておくれ 今日は一緒だから ズルいのは知ってるよ ここなんか最高で、すごく疲れてるしうんざりしてる。嫌な顔の順番、意味合いの違いやそこに僕がしたいつかの説法がまとわりつくこと。んな話聞きたくないからもう寝ろやというけれど、それじゃねてくれないから一緒にねるから寝てくれとなだめるのを最小の手数でやってるのが、すごく読んでて心地よい。ズルいのは知ってるよに感じるズルさから滲み出る惨めさもよいですね。 前半部分の叙述はよくわかりませんでした。という感想が半分くらい超えてしまったので詳細はここには書きません。後半筆に乗って来ているような感触を読んでて感じるので、前半部分どうにかして もうちょっと読み込みたいですね。 ドナコ「雑踏」 https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=1910 シンプルでいいなぁと思いました。あんまり感想という感想もないですし、何が書いてあるのかわかる人からすればわかるのかもしれませんが、僕にはよくわかりませんでした。掲示板のレスの読んでふーんとなったので、取り上げたし再読したという感じです。breviewじゃなきゃ読まなかった。これは僕にとってでかいし、掲示板に関わっていて一番楽しい瞬間だからです。作品評そのもので取り上げたわけじゃないことからなんとなくフェアな読みじゃないかもなぁと思わなくはないですが、一作品くらいはいいかなと思い推薦作品に押します。
百均の選評六月 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1164.9
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投票数 : 0
作成日時 2018-07-12
コメント日時 2018-07-12