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幕間の子守歌
しばらく眠ってみようよ おやすみなんて言いたくないけどね 夢を脱ぎ捨てるってこと 雰囲気なんてものは敵だ 熱狂よさらば 何にもなかったところから始まった普請も 何だか形をなしてきたようだし 休憩中にちびりちびりすすってた言語のお茶かスープとやらも なくなってきたことだ そして頼むから そう急かさないでほしい だって幾つかに一つなんて 眠っている間に決まっちゃうぜ 起きた時にはもう 動けるってわけだ そう言えば 一日に占める夢の割合は三分の二くらいがちょうどいいって台詞を聞いた気がする いつだったかな どの役者だったっけ 聞いたかどうかもおぼろ気なんだけどね そうだよね 人は起きている間にはずっと夢を見ていて 寝ている間に現実を見つめているってもんだ 考えてもみてよ 世にありとある階段の段数はどうやって決まったのかを 思ってもみてよ 遠くに見えるあの小さなビニール袋に六枚スライスの食パンがきちんと入っていたのは確かなことだろう それがいつの間にかなくなって袋だけがあんな痛々しい姿で遺されている なんでこんなことになったのかな そしてまた人っていう奴は 最初は駅名を頼りに迷っていたのに いつしか風景を見ただけでそこがどこだか分かるようになっているってことを思ってみてよ みんな夢見心地になされることではないのかい でも夢には殻が着きやすいもの 夢には膜が着きやすいもの 夢には汚れが着きやすいもの 自分が本当に実現したいことは何なのか それは実に認めにくい 自分にとっても他者にとっても だからちょっとの間眠っていようってわけ 夢にこびりついた夢らしきものをふるい落とすためなんだ 理由はこういうこと ああそして大事なことなんだけど 苦悩する人間がどんな過ちや愚を犯しても 罰を加えてはならないよ 残酷であることこの上ない そんなことをしても 夢にこびりついたものがいっそう頑なになるだけだ 何のためにもならない 何を救うことにもならない そんなことは鍋の空焚きだ 我々の夢幻的独り善がりだ 異臭を漂わせるに決まっている さあ物語よ ちょっとの間お別れだ 夢を洗おうじゃないか
幕間の子守歌 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 834.1
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-06-14
コメント日時 2018-07-13
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
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音韻 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
なんとなく、ふわりとした気持ちになります。 たぶん、比喩が奇妙なものと定番なものと混じっていて、そこが不思議でした。
0コメントありがとうございます。 ずっとどなたからもコメントをいただけなかったのでうれしいです。 何か、バシッとこないものを書いてしまったという感じが自分にもあります。
0夢について、様々なことを受け取ることが出来ました。 >でも夢には殻が着きやすいもの >夢には膜が着きやすいもの >夢には汚れが着きやすいもの >自分が本当に実現したいことは何なのか >それは実に認めにくい >自分にとっても他者にとっても >だからちょっとの間眠っていようってわけ この辺りなどは、何か新しいことを言おうとされている雰囲気がして、いいと思います。 全体に、文体をなりたたせるために描いて言っているような、軽い強迫観念を感じました。 文体は、難しいです。だから、僕は、なるべく文体を作らないようにしようかな、と思ったりしています。 また一つ、詩を読むことが出来ました。ありがとうございます。
0コメントありがとうございます。 私たちの頭や心の中にある思いや考えは昼夜を問わずすべて夢で、それを現実化しようとしたり、ただ見つめたりすることで、私たちは生きています。 夢にもさまざまな種類があるもので、中に、現実から遊離してしまった夢があります。 そういう夢は、現実逃避や慰めにはちょうどいいかもしれませんが、現実を認識するという私たちの作業を誤ったものにしてしまう可能性があります。 私はそれが恐ろしいので、そういう思いを、この詩の中に書き込んだわけでした。 文体について。確かに、一種の語りかけの調子で書き起こしてしまったため、それを最後まで貫こうと腐心しました。 丁寧に読んでくださり、ありがとうございます。
0夢、とは、憧憬の対象として呼び寄せられたなにか、のことなのか・・・。 慣れていくこと、新鮮さが失われることを、夢に殻や膜がつくからだ、と展開していくところが面白い。 とすると、ここで「夢」と語られているのは、夢見る主体、そのもののことではないのか。 夢見る私、その心の目が曇らされたり、心の手に一枚、膜がかぶさっているような鈍さを感じてしまう、そのもどかしさを脱ぎ捨て痛いから、夢をみよう、と呼びかける(現実の刺激をシャットダウンして、夢見る主体の感受性を研ぎ澄ます、洗練させる)といった感覚なのかな、と思いました。
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