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春の夜
オレは刃渡り15センチのナイフをぶら下げて常にこれを持て余している キミはたぶんこれに見合うサイズの傷跡を持っていて今日は手持ち無沙汰 だからこれらをぴったり合わせればまことにいい塩梅なのは太古の昔から決まっているのだが こっちはやっぱりナイフだし そっちはやっぱり傷跡なので 時間差で心臓にまで届く痛みを感じるのはオレではなくキミのほう さればこそオレはとぼけた顔でぶら下げたナイフを今日も持て余し キミを傷跡のない完全な人間であるかのようにまぶしく見つめて 「剣術も達人になるほど滅多に刀を抜かなくなるものだ」と かなり見当違いなことを考えたりもしながら キミを駅の改札まで送っていく
春の夜 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1120.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-05-28
コメント日時 2018-06-09
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
つい昨日、友人に会っていて、「前はナイフを出して歩いているような感じだったけど、今はナイフをしまえるようになったよね。能ある鷹は爪を隠す」みたいなことを言われて、 「いや、爪は実力みたいなことだけど、ナイフはただの凶器だからね」と返しました。 そんなことがタイムリーだったので浮かびました。 あたまの中は目の前の出来事に対して、わりと「見当違い」なことあるので親しみを覚えました。
0〉かるべ様 コメントありがとうございます。 15センチはちょっと盛ったので、リアルな作風の僕としては反省することしきりです。 でも14.5センチと書くわけにもいかず。 「見当違い」の浮遊感は、五月の夜の浮かれた浮遊感が表現できてよかったなと思います。
0おはようございます。早く寝てしまうと起きるのも早いってことがあるみたいです。まいったなあ。 15センチは完璧な銃刀法違反ですね。逮捕されてほしい。つか、ちょっとうらやましい。まあ、実際そんなもんぶら下げていたら歩きにくいこと、ひとしおですが。 しかし、持て余しているからといって薮から棒に振り回さないのが《オレ》の倫理的な部分でね、ナイフにせよ刀にせよ危険なものをもった場合、ものが理性を覆うことはあって、自制心がゆるんでしまうこともある。きちんと相手の《痛み》を思いやる優しさみたいなもので抑えて、《とぼけた顔で》、敢えて持て余したままでいるなんてのは、いささかキザな気がしないでもないくらいの男前。 というか、使い手というのは、ちょっと使うだけでも相手を容易に傷つける技術とモノを持っていることに自覚的なので、滅多に抜かない。それが、いくらか抜きたい衝動を抑えるための正当化であっても。だからやっぱり内面的には《持て余す》ところが残ってしまうのだろうけど。 《ナイフ》と《傷》にしたところがよいですね。 ああ、そういえば、「るろうに剣心」のなんちゃら編で、人斬り時代の剣心が、巴という女性に出会うのだけど、桂小五郎はこっそり思うんです。「いまのあいつには鞘が必要だ」みたいに。 この作品では、《ナイフ》と《傷》だからね、そこがいい。 フロイト先生なら、どう言うかわからないけど笑
0〉藤さま、コメントありがとうございます。 これ、読み返すと恥ずかしい詩ですね! 「鍋蓋ガード」の塚原卜伝なんか、刀を抜かないですからね。抜かせるまでが大変。 ナイフと傷跡という着想を得て成立、てゆうか実体験ですねこれは。 キザですいません。
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