別枠表示
さんかく、まる、しかく、におい
オフィスという空間は不思議なものね、 と あなたは言った。 生まれた場所も、 歩んできた道も違うものたちが、 閉鎖された空間で同じ酸素を吸う、 その場しのぎの仲間意識でもって集っている(終いにはみんな似てくるらしい)。 お給料というもののために生きているのか、 生きるためのお給料というものなのか、 私たちはきっとそんなことは知らない方がよいのだし、 気にしない方がよいのだ。 そこにはそこのルールがあるし、 人が集まればろくなことなんかありゃしない。 一方でもちろんいいことだってあるのだけれども……。 指をかむ女がいた。 不条理と共に何かを飲み込み、 言葉を発することはない。 ※さて、 そろそろタトゥイーンに行ってきます。 ※タトゥイーンは二重太陽を持つタトゥ星系の第一惑星。 ※砂漠の星です。 「火の無い所に煙は立たぬ」ということわざがあるけれども、 「火の無い所にも煙を立てる」ことがある世の中なのだ。 「煙の出所を嗅ぎ分ける」そんな嗅覚が大切なんだろう。 雑音も無き部屋で私は私の仕事をしていた。 それは単なる作業ではあったが、 生きるには十分なもので、 そうしてまた消費されていく。 私を誰も客観視することはないのだった。 縦書き http://yuyakasai.tumblr.com/post/158986725632/
さんかく、まる、しかく、におい ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 938.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-04-02
コメント日時 2017-05-05
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
初めまして。初心者です。よろしくお願いします。普通は、まる、さんかく、しかくの順だと思うのですが、敢えてさんかくを先に持ってきていらっしゃったのには、どんな理由があるのかなと考えてみました。丸は、無限角形ですから、オフィスにまばらに集まっていた人たちが、就業時間になると多数になり、就業時間が終わるとみんな帰っていき少なくなり、最後には匂いだけが残ると理解しました。「私」は、黙々と仕事をしていますが、おそらくその仕事に生きがいを持っているように思います。給料のためだけに仕事をしているわけでもなく、自分が地球上に生まれてきた使命感を感じつつも、いやいややっているわけでもなく。 私を誰も客観視することはないのだという最後は、パラドックスでしょうか。
0その昔、植木等が若かりし頃のサラリーマンは気楽な稼業だったらしいが、今は「社畜」なる言葉まで存在するほど過酷な職場環境も存在するようだ。ただ「無責任シリーズ」と同時代に書かれた大藪春彦の「蘇る金狼」は、すでにこの詩のようなサラリーマン観で描かれている。 それはともかく、前半と後半の間に挟まれるタトゥイーンに関する記述は何を意味するのか。「スターウォーズ」シリーズのファンならお馴染みであるこの無法惑星もまた、現代の会社という労働システムの比喩なのだろうか。わざわざ「砂漠の星です」と補足しているあたりに、そのヒントがあるような気もするし、ないような気もする(限界
0冒頭三連、軽めの筆致で、口語も混ぜて、気楽に導入しておいて・・・「酸素」空気じゃないの?というアクセントに刺激され、そこからいきなり「そろそろタトゥイーンに行ってきます。」に飛ぶ。そこで、「空気」ではなく「酸素」である必然性のようなものに、納得させられる。 職場という閉鎖空間で、窒息しかけた魂を救済するための場所、が、たとえばタトゥイーンであるのかもしれない、などと思いました。 「火の無い所に~」あたりから最後まで、におい、と関連してくる部分ですね・・・俗っぽい読み方ですが、題名の「さんかく」が、三角関係、の暗示でもあるように見え(それは噂であって、事実ではないかもしれないけれども)そうなると、「しかく」は死角でもあるのかな・・・職場だけに、資格、も当てはまりそうですが。 「私を誰も客観視することはないのだった。」という終行、「私」が噂の当事者にされているようにも読めて、面白かったです。
0ぶたみみさま コメントありがとうございます。さんかくは、もちろん図形の三角でもあるのですが、参画という字をあてることもできるなあと。そうすると、この世界に社会に参画するということで、一番最初に持ってきたという次第でございます。最後の部分については、みながみなお互いに客観視することなく、それぞれが自分の世界で生きているといいますか、そういうことなのだと思います。 桐ヶ谷忍さま コメントありがとうございます。「あなた」については、鋭いご指摘だなあと思いました。確かに不要であったかもしれません。私としては、この語りが作者自身によるものなのか、あなたの台詞を書き起こしたものなのか、そういう曖昧さを出したかったのですが、失敗だったのかもしれません。ありがとうございました。 もとこさま コメント誠にありがとうございます。タトゥイーンは、深い意味、ありません。笑 本当、すみませんという感じなのですが、単純に私がSWが大好きで、実はこのタトゥイーンのくだりが先にあって、あとは後で適当につけて完成させた作品なのです。 まりもさま コメントありがとうございます。さんかくは参画であり三角でもありますし、しかくはにおいの前にあることで、視覚でもあります。また死角でもあります。そういう意味の広がりをタイトルに持たせたことで、作品にも広がりがでるかなあというのが一つの野望だったのですが、ひょひょいと作ってしまったものなので、ところどころ甘くて安易な作品ですね。
0レスをちらっと読んでしまったからかもしれないんですが、タイトルに後づけを加えながら作品の広がりを堪能していく作品であると思いました。その味わい方っていうのが多分上の感想を見る限りでも各人異なる順番で、異なる認識で読んでいるというのが、ちょっとだけ面白いですね。フリーシナリオみたいな味わい方で、でも多分最後みんなが、読者が抱く感情というのはどこか繋がったものがあるのかなと思います。 この詩の味わい方というのは、だから規定するのは結構難しいかもしれないですね。組み合わせを提示する事は多分出来るとおもいますが、それはそれでちょっと無粋なあれかもしれません。個人的にはこの作品の手法が面白いと思いました。
0hyakkinnさま コメントありがとうございます。この詩に限らないことですが、なるべく読み方は固定されないようにといいますか、読者が自由に読めるように考えております。ただ、私の中で明確に描きたいものは毎回あるにはあるのですが、そこから大きく外れる解釈をなされることもあるでしょう。しかし、そのような多様な解釈が作品を高みに導くようにも感じております。
0