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迷子のお知らせ
街を歩く私だけが裸で 服も下着も身につけていない 友達、家族だと認識している人の顔は見知らぬ他人 川沿いの道に生まれたての赤ん坊が10体くらい並んでいる 立て看板には書き殴った文字で「青空保育」 監視している老人が一人 ふすまをぶち抜いて長屋みたいな和室が繋がる家に 研修中みたいな若い住職がおつとめに来ている 細長い高層マンションの屋上から幟をかける体格のいい人が 雄叫びを上げるたびにそのマンションがぐらぐら揺れる あの人だいじょうぶ?と私は問う 隣にいた知らない身内は彼をチラ見するだけ 私は恥ずかしいから胸を隠す でも服を着ようとしない 壊れたラジオみたいなお経が聞こえる 細長い和室に人が詰まっている 赤ん坊が泣いていたり お菓子の食べかすが散らかったりしている 友達が眉を描くことに集中している 息苦しくなって外へ出る 胸を隠しながら歩く 服を探している 服を探している 恥ずかしいのに服が見当たらなくて 諦めつつ、友達や家族と商店街を歩く 知らない顔をした彼らは気さくだ 私は笑う 仮想現実は理想郷とは限らない 私は笑う 裸で笑う
迷子のお知らせ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1280.9
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-03-22
コメント日時 2017-04-21
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
つげ義春の「夢日記」のようであり、ネット内にある仮想の街での出来事のようでもあります。でも考えてみたら、両者にそれほど大きな違いはないのかも知れません。語り手は弘岳栗高のマンガに出てくる女の子みたいに(何で知ってるんだよ)裸で街を歩き回りますが、なぜか気にするのは胸だけです。「下は良いのか?」と気になるのは、あくまでも親切心からです。変な意味はありません信じてください。 詩のラスト近くで、ああやはり仮想現実の話なのかなと思いますが、そうであれば「裸」でいるというのはこうした場でどこまで自分を晒せば良いのかわからないという戸惑いの象徴なのかも知れません。確かにSNSなどにおいては、相手との距離感を見誤って失敗することが良くあります。現実にも仮想現実にも、それぞれに苦労はあろうのでしょうね。
0もとこさん> コメントありがとうございます。 この詩をつくったのは去年の確か晩夏だったと思います。 この頃に限らず、わたしはしょっちゅう表現について戸惑っていて、ネットとの付き合い方も上手いほうではないので、そんな戸惑いが漏れてしまっているのかもしれません。 読んで下さった方がそのような感触を得るのですから、そうなんでしょうね。 個人的にとても大きな課題です。自分との戦いです。自己表現の表現方法。 ありがとうございました。
0花緒さん> コメントありがとうございます。 インパクト不足、確かにそうですね。 戸惑いのまま、考えることを避けて書くと、インパクトからどんどん離れていくと思います。 わかりやすい、弱い、といったご感想もまさにその通り、稚拙さが浮き彫りです。 ありがとうございました。
0やはり夢の内容みたいだという印象を他の方も思ったようですね。 「ふすまをぶち抜いて長屋みたいな和室繋がる家」を軸として各場所へ、その間にある道程を無しに繋がっているところがまさに夢だ。「青空保育」という字面も。夢のなかには時々文章がでてきて割と起きてからも覚えているものだ。
0祝儀敷さん> コメントありがとうございます。 レスをくださった方々がみな、この詩を夢の内容だと捉えられたのは爽快でした。 ありがとうございました。
0自分にとって恥ずかしい行為とはどんなものがあるのでしょうか。 裸であることは恥ずかしいことです。そこで、「私は恥ずかしいから胸を隠す」のでしょう。でも、それは見る対象と見られる対象との関係性によって、同じ行為でも恥ずかしいかどうかはかわりません。僕はそうですが、家の中での様子と外での様子は全く違いますし、家の中での様子は恥ずかしいから外では見られたくないです。 タイトルの「迷子のお知らせ」というのは、言い換えれば、私と他者との関係性のリセットを表現しているように思えました。「友達、家族だと認識している人の顔は見知らぬ他人」となることで、裸であることが当初は恥ずかしかったものの、そうなった世界に対して受け入れることで、結末の「裸で笑う」ことを導くことができたのでしょう。 この作品で出てくる登場人物をいくつか挙げると、「監視している老人」「研修中みたいな若い住職」「幟をかける体格のいい人」など、何となく権威のようなものを感じさせる人がいくつか登場します。こうした人たちは、関係性を持っていなくとも何となく私との距離感を感じさせるものであり、それと同時に勝手な価値を付与することができます。逆に、私は迷子になったことで、今まで関係性を持っていた友達や家族との関係性をリセットしております。 一般的に言えば、大人は迷子になりません。そして、生まれたての赤ん坊は服を着ていません、裸です。「私」は迷子になったことで、関係性をリセットするだけでなく、幼稚性を纏ったのではないのでしょうか。その幼稚性を纏うことで、感情も理由もなく、ただ最後に残ったのが笑うという行為に繋がったのではないでしょうか。
0「友達、家族だと認識している人の顔は見知らぬ他人」この怖さ、尋常ではないですね。生まれたての赤ん坊、これは複数の自分自身であるように思いました。家族にすら、様々な仮面を(その時々のTPOにあった服や身なりも含めて)つけて接している私を、素の状態に戻したような・・・しかし、そのたくさんの「私」は、夢の中ですら監視されている。ユング的に云えば、老賢者であるはずの老人、によって・・・。 胸を隠すのは、恥ずかしいから、なのかな・・・授乳拒否、幼児である「私」を、育てる(大人にする)ことを拒否していることの現れであるようにも思われました。 いずれにせよ、「仮想現実は理想郷とは限らない」ことを十分に意識しながら、しかも、素顔でそこにいる身内や家族、友達が、見知らぬ者に見えるほどの距離感を感じながら、自分は素のままでそこにいる。そんな作者の立ち位置が見えるように思いました。
0迷子、ですか。女性特有の感覚だと思います。一応、文章は、書けていると思いますが、その、迷子になってしまった きっかけが、どこかに書いてあるとよかったかもしれません。どこへ向かいたいか、あるいはわからないか(これでしょうね)、 どこか、生きることに意味が見出せない恐怖が、感じられてくるように思います。誰かがきっと、服を着せてくれるでしょう。 そうでなければ生きている意味がない。
0なかたつさん> コメントありがとうございます。 書いた時には知りえなかったことが、レスによって輪郭を示された気がします。出てくる人物について特に深く考えず書いたと思うので、ハッとさせられました。 ありがとうございました。 まりもさん> コメントありがとうございます。 この詩は戸惑いの中で書いたものですが、身内を含めた他者との距離感についてなど無意識に不安に感じていたのかもしれないと、皆様のレスポンスにより気付かされたように思います。 ありがとうございました。 黒髪さん> コメントありがとうございます。 おそらく「わからない」のだと思います。生きることについてよく考えたりするのですが、そういった個人的なものを作品から遠ざけようとすればするほど明るみに出るのだということが、この作品を投稿しレスポンスを頂戴する中で実感しました。 ありがとうございました。
0「服を探している」アスカもいい。きっと今はそうなんだろう。「服を作り始める」アスカも読みたい。きっと羽を持った服か、翼を持った服か、空中線(アンテナ)のたった服か、自分では創れない服が造れるような気がする。
0kaizen_nagoyaさん> レスありがとうございます。 この詩をつくってから半年以上が経ちますが、まだ、自分に似合う服がわかりません。 似合わないものを着るのもまた詩でしょうか。 そのあたり、詩は開放的だと思います。 わたしがどんな服をつくり、着て、ランウェイあるいは街を歩くのか、あたたかく見守って頂けたら嬉しいです。 ありがとうございました。
0正直、あまり好みな作品でなく、夢としては理路整然とし過ぎています。 私が落ち切った三十のおっさんだからかも知れませんが 新宿歌舞伎町辺りにはこういう光景が普通に広がっているのではないでしょうか。 内容に比して、筆致が美しすぎる点も気になります。 裸が魂そのものならば、もっと胸にぶつかってこないようではいけないようにも思います。
0田中恭平さん レスありがとうございます。 まず、好みでない作品に対しコメント下さったことに感謝します。 そして、田中さんを始めレスを下さった方々がこの詩を「夢の内容」だと捉えていらっしゃることがとても面白いです。 さらに、自分では意識していないにもかかわらず、つくった当時の自分の精神状態がダラダラと漏れていることに驚いています。 ご指摘、しっかり受け止めたいと思います。 ありがとうございました。
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