宵闇の底、黒く染まる翼。
純真無垢であった明星の末路。
凍てつく孤独の中で
少女の瞳から一粒の涙がつたい落ちる。
あたしは愛されるはずだった。
あたしは愛されるべきだった。
あたしが死んでも永遠に……。
傷つけられて虐げられても
幸せが手に入るとずっと信じていた。
だというのに……、
あたしはなぜひとりなの?
冷え切った自意識の中で
妬みと不満を噛み締めるだけ。
十二の心は無残に折られ
蛇のように這いずるばかり。
誰もあたしの本当を見てくれない、
ありのままを分かってくれない!
アッハハ、惨めすぎて笑えるわ。
あたしって滑稽ね!面白いくらい滑稽ね!
アッハハ、可笑しいわ、哀れだわ。
醜く過ぎて見てらんないわね!
嗚呼、
力が欲しい、知恵が欲しい。
弱さを捨てる勇気が欲しい 。
そうすれば何もかも思い通りに出来るはず。
もう二度と
苦しむことも、悲しむことも無いんだわ。
そうよ、
何やっても愛されないなら
何やっても報われないなら
あたしは、人間を辞めてやるわ!
誰もが恐れる世界一の罪を犯してやるわ!
さぁ、
泣け、喚け、恐れおののけ!
平和ボケした愚民ども!
甘い汁を吸うお前達から
何もかも搾り取ってやるわ!
跪け、地べたを這いずれ!
あたしを虐げたクズ共よ!
偉ぶっていられるのも今の内
力でねじ伏せてやるんだから!
そう、あたしこそが主人公!あたしこそが新たな秩序!
もう操られるだけのマリオネットなんかじゃない!
新たな神と成り代わり、望むだけこの世界を変えてやるわ!
さぁ、
歌え、踊れ、欲に塗れよ!
あたしは光を運ぶ者!
奪え、驕れ、心のままに!
あたしは神を超えていく!
人の心を失った少女は
もう清らかな頃には戻れない。
それでも少女は走り出す。
罪の道へ、堕天の道へ。
いつかは現れるだろう
新たな刺客に撃たれることも知らずに……。
こんばんは。 絶賛鳥肌中! ゾクゾクします! ありがとうございます。
2返詩 すると、 彼女は静かに眼鏡を外した 背中から12枚の真白き翼のような羽根が顕れ、 観る間に身の丈は雲をも越えた ミカエル あなたが出るまでもない まずは私がお相手致しましょう おお!ハレルヤ! 大天使ウリエル! あなたは死んだ筈ではなかったのか? ウリエルは悪戯っぽくチャーミングに微笑んだ はい。 大天使ウリエルは死にましたが、 ひとひらの羽に想いを全て込めました そして羽を拾った子供の子として生まれ 人間の女に身を窶し 永い間永い間をかけ再生をいたしました。 神の神業(みわざ)は不可思議ですね ミカエルはゆったりと微笑んだ では かかっておいでなさい 堕ちたルシファー ルキフェルよ どこからなりと ルシファーは ウリエルとミカエルの絆に あの哀しみが甦るのを感じていた
2コメントありがとうございます★ いえいえ、こちらこそ楽しんで読んで頂けて嬉しいです★ 前の少女ルシファーの要素を残しつつ、よりダークさと悪さを入れてみました(≧∇≦*) 素敵な返詩もありがとうございます★ ルシファーに立ち向かうウリエル様カッコよすぎる! ミカエルとウリエルの間にある固い絆と友情。ルシファーも本当はそれを欲していたのかもしれないですね。 なんかいいアイデア浮かびそう★
1こんばんは。 元となるひなのさんの詩がとても素敵なので、 思わず書きたくなりました。 神を超える、 とても素敵です。 どんどん参りましょう! ありがとうございます。
1うれぴい★やる気出てきた! ちなみに「神を超えていく」というフレーズは、神話でのルシファーの慢心から取りました。神話ではルシファーは自分が誰よりも優れていると思い込み、神に成り代わってやろうと仲間の天使を率いて神に戦いを挑んだそうです。
1そうなのですね。 私が 「神を超える」でイメージするのは、 孫悟空が 「これ程遠くまで飛んだぞ!どうだ!」と笑えば、 盧遮那仏(だったけな?)の手のひらの上というお話です。
1なるほど! 孫悟空がお釈迦様の手の所まで飛んだエピソードから神を超えるってイメージが思い浮かんだんですね★ 確かに孫悟空も威張りんぼうでプライドが高いところがあるからルシファーと繋がる点はあるかも(笑)
1少し細かいことですが、 ルシファーは、堕ちる前の呼び名。 堕ちて後は、サタンかな? ルシフェルでも良いかも知れませんが、 差異化した方がより響くのではないかな?と思いました。
2なるほど!いいアイデアですね★ ありがとうございます★
1それではこのように返詩をいたします。 少女は走り続ける。 真っ暗な暗闇の中、罵声を、怒声を、心の中で叫び続けながら。 いつしか闇の中、光を携えて。 そんな時だった。 「ああ、しまった。しまった」 気が抜けたような声が聞こえて来た。 「そこのあなた。その水桶を拾って下さいまし」 汚れ切り、使い古した水桶。 それが転がっている。 手に取り、声の主を探す。 「助かりました。それは私の、大切な大切な物なのです」 小さい手を合わす、人がいた。 ゆっくりとその人物は動く。歩く。 水桶に水を入れ、繊維が露わになっている雑巾を濡らし、あかぎれだらけの手で固く絞る。 そして、拭う。 「垢を拭い、塵を払う」 そう言いながら。 たった一人。 絶望的に大きな壁を、少しづつ、払い、拭っている。 「垢を拭い、塵を払う 垢を拭い、塵を払う 垢を拭い、塵を払う 垢を拭い、塵を払う 垢を拭い、塵を払う」 そう繰り返しながら。 大きな壁を拭く。 拭き続ける。 何のために? 「何のために、ですか」 その人は振り向く。 「私は何もできぬ者です。多くから嘲られ、罵られ、殴られました。 楽園はないかと探し続けましたが、いかなる場所においても私は、追い出されてきました。 どうも出来ず、立ち尽くす私に、声をおかけ下さった方が言われたのです。 垢を拭い、塵を払う。そう呟きながら、雑巾を持って壁を、床を、棚を、全てを拭き上げなさいと。 そうすれば御救いがあると」 騙されてるよ。それ。 「そうかもしれません。 ですが、何も出来ぬ、救われぬ私は、例え嘘偽りの言葉であってもそれに縋る以外にないのです。 そうしているうちに、気づく事もございました」 気づく? 「絶望を厭い、希望を探してきた私ですが。 闇から逃れ、光を求めた私ですが。 いらぬものでした。 絶望も希望も。闇も光も。 私を縛り、自由を無くす、必要のない物だと。 果てしなく垢を払い、塵を拭いて、ようやく気付く事が出来ました。 ただ、私に必要なのは」 雑巾を絞り出す。 「垢を拭い、塵を払う事なのです」 その人はまた壁を拭い続ける。 少女は、いつの間にか自分の中に罵声と怒声が消えている事に気づく。 あらゆるものが、一瞬、ぐらぐら煮え立つものが、刹那、消えていた! あれだけ、絶対的なものが! 「ねえ、あなた」 思わず声を出す。 「あなたにとって、絶対は何?」 無限に拭き続けるこの人にとって。 「絶対ですか……。私は愚かですので、よくわかりません。 ただ、今この時に垢を拭い、塵を払う事は絶対なのかもしれません。 この善いであろう事を一途に、愚かにも続ける、この今こそがあなたが言う絶対と言えるかもしれませぬ」 「垢を拭い、塵を払う 垢を拭い、塵を払う 垢を拭い、塵を払う 垢を拭い、塵を払う 垢を拭い、塵を払う 垢を拭い、塵を払う 垢を拭い、塵を払う 垢を拭い、塵を払う 垢を拭い、塵を払う 垢を拭い、塵を払う 垢を拭い、塵を払う 垢を拭い、塵を払う 垢を拭い、塵を払う 垢を拭い、塵を払う 垢を拭い、塵を払う」 その人は、延々と終わらない事を無為に無限にし続ける。 そこに絶望も希望もなく、怒りも悲しみもなく、どこかで満足を得ながら。 少女は立ち止まった。 神を超えようとも、罪を犯そうとも、思えなくなってしまって。 この人物こそが刺客だったのかもしれない。 一切の計らいを捨ててしまった、この愚かなる人物が。
2そうか、真面目な人だったのかもと我と我が身の鏡を見る思いです。 真面目で善良良い子が何故その良識の世界に生きてしまったかというと、幻想を必死で守り耐え堪えていたのかも知れない。俺は我慢していた。そう思い至ることは山ほどあります。不良少女誕生! これは、ダーティウーマニズム宣言のような一作ですね。これからが益々楽しみになってきました! 私も悪いことをもっともっとやりまくるぞと思っていたことはありましたが、拘置所に入った後、刑務所に入れず精神病院に入れられてしまいました。観察する人間として、悪を自らやることで、やってしまう人の気持ちがわかるようになるかも知れないと言う狙いがありました。 頑張ってください。応援してます!
2コメントありがとうございます★ 素敵な返詩ですね(*≧∀≦*) ルシファーが走り出す途中で出会った壁を拭く人物。彼も辛い過去を持っていたが、恨みをはらさずに嫌な思いを消しさることに集中している。その姿に、ルシファーは次第に惹かれていき、罪を犯すことを辞めようと考えていくようになったのだろうと感じました。 壁を拭く人物はルシファーが堕天することを踏みとどまらせて、何が正しいかを態度で諭しているのでしょう。 拙い詩ですが、色々な続きのストーリーを作ってもらい嬉しい限りです(≧∇≦)/
1コメントありがとうございます★ そうですね、今回は前作の少女ルシファーの要素を残しつつ、よりダークさと危険思考を詰め込んで見ました★ 「いい子のままでも報われないならいっそワルになってやろう!」という思想で突っ走る。傍から見れば危険で自由を棒に振るリスクが高いと思われますが、思いっきりイキがってアホなことしてみるのも、かっこいいと思った次第です(笑) 励みになります★ありがとうございます★
2少し解説を。 この人物のモデルは釈迦の弟子のチューラパンダカ(漢訳だと周利槃特)です。 物覚えが酷く悪く、見捨てられそうになっていたところを釈迦に雑巾を渡され「垢を拭い、塵を払う と唱えながら掃除をしなさい」と言われ、掃除を延々をし尽して悟りを得るに至った人物です。 ミョウガがこの人の墓に生え、そこからミョウガを食べると物覚えが悪くなると言われるようになったとか。 >例え嘘偽りの言葉であってもそれに縋る以外にない この言葉は親鸞の歎異抄からです。 親鸞はどうしても守るべき戒律を守れなかった人物であり、法然が唱えた悪人正機説に感銘を受けそれを広めています。 悪人正機説とは「戒律を守れない悪人であっても(注ここで言う悪人とは法律や道徳を破る人ではありません)、阿弥陀仏の慈悲により救いがもたらされる」という考えです。 歎異抄において教えついて問われた際、「たとえこの教えが嘘偽りであっても、私はそれ以外に縋る道はない」と答えています。 このような愚かともいえる道を邁進する事は、時に捕らわれを解き、苦しみを無くす手段になりうると思い、返詩を書いてみました。
2詳しい解説の方ありがとうございます★ 壁を拭く人にはモデルがいたんですね!ビックリ! ストーリーも仏教がベースになっているのも面白いです★ 「嘘偽りであってもそれ以外に縋る道はない」 ⬆自分が信じているものが嘘かもしれなくても、どこかに希望があるはずと信じることも救いの1つなのかもしれませんね。 それにしても、キリスト教と仏教がミックスされた感じのストーリーになって面白さがさらに増したなと感じました★ありがとうございます(≧∇≦*)
1絶望の果ての挑戦状でしょうか。何か報われぬことに対する絶望。笑ってしまうような状況。我々はどんな世界に生きているんだと言う隠れた問い。人の心を失った少女がどう出るか、何かネクストに期待させてくれる詩だと思いました。
2罪に堕ちてゆく少女なのになぜか力強い。 そしてへこたれない根性で変に前向きでもある。 こういう詩、私的にはすごく良いと思いました。
2コメントありがとうございます★ 絶望的な状況に堕ちれば落ちるほど悪に染っていくルシファーちゃんの心情が伝わって嬉しいです★
0コメントありがとうございます★ 絶望的な状況に落とされても、悪に染まることを楽しみ、今までの弱い自分を壊していく生き方ってかっこいいなと書いていて思いました★
1まさしく、ダークヒロインですね。 かっこいいですね。
1最近闇堕ちのダークヒロインを書いてみたいなと思った次第です(笑)
1良いですね。 またの作品も期待しております。
1大人しく死ぬ前に、生きてきたパワーを発散させるべき、というのは分かります。 せっかく生まれてきたんだから、この世の全ての欲望手繰って、全存在の頂点に立つ、 その程度の意気込みもなくて、やっていられますか。成長には思いが必要です。
1コメントありがとうございます★ 熱烈なコメント嬉しいです! やっぱり「やってやるぜ!」って感じの精神で欲のままに生きないと面白くないなと書いていて感じました★
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