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フィラデルフィアの夜に 56
フィラデルフィアの夜に、言葉があります。 夜の消える事のない喧騒の中、泣き声がいつも気づかれる事のなく空気を揺らしています。 その明らかに異様に激しい声は、外の誰かが気づく前に途切れ、外にはもれなくなっていくのが日常になっています。 今日も、その泣き声は不自然に途切れ、誰からも無視されていくのでした。 暗い、小部屋に押し込まれて。 泣き声はその立ち上がることも出来ないほど小さく、狭いその小部屋の中で反響します。 延々と大きく反響し続けた後、その小部屋は静かになります。 体を折り曲げて屈んで入れられる、その小部屋には何もなく、光さえも存在しません。 手探りしても、いつも、何も。 何かある。 手に、触れられる。 さっきまで何もなかったその場所に。 冷たく、艶やかな手触りで。 指でなぞっていく。 文字。 それが連なって続いていく。しばらくそれが連なっている。 ひとつの意味を作り上げている。 針金がいつの間にか、床に食い込んで文字を作り上げている。 「自らを整える事で最上の主を得る」 知らない言葉がそこにはある。 真っ暗な小部屋に、一筋の光が差し込んでくる。 不意に壁が少し破られ、その文字の場所を照らし始める。 やはりそうだ。 いつ誰が作り出したかわからない、指でなぞった通りの文字がそこにはある。 床に食い込むほど強烈にそこにしがみついて。 その文字が動き出す。 また別な言葉を伝えようと。 「勤め励むのを楽しめ。心を守れ。自己を難所から救い出せ」 誰も伝えない、言葉が地面を這う針金によって伝えられてます。 床の上を黒板の様に。行く事の出来ない学校の黒板の様に。 言葉が続く。 「他人がどうして主であろうか」 言葉が続く。 「賢者は自らを整えて、全ての苦しみから逃れる」 言葉が続きます。 今まで誰も言う事のない、知らない言葉が体に染み込んでいきます。 途切れることなく、針金が言葉を紡ぎ続けていきます。 大きく光が来ました。 荒々しい言葉と共に、その小部屋から引きずり出され、外へ追い出されます。 後ろを振り返りあの小部屋を見ると、あの言葉はいなくなっていました。 空気を揺らす程の泣き声は、また外に気付かれる前にあの小部屋に押し込められます。 でももうそこには一筋の光があり、言葉があります。 「目の前のナイフではなく、自らの呼吸を見なさい」 とまたしても知らない言葉があります。 「自分の内を見よ。内にこそ善の泉があり、それは絶えず湧き出るだろう」 言葉が針金を通して、伝えてきます。 「背筋を伸ばし、鼻から息を吸い、口から吐きなさい.そうして心を整えます」 誰も教えてくれない良い物をここでは教えてくれます。 昨日も今日も明日も、暴力的に押し込められていきます。 たとえそうでも。 暗い、一筋の光だけがあるこの小部屋は学び舎となったのでした
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フィラデルフィアの夜に 56 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 292.3
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2025-03-16
コメント日時 2025-03-16
項目 | 全期間(2025/04/07現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
こんばんは。 お説教、 どうもありがとうございます。
0実は小説家になろうの企画で「学校」テーマの作品を募集していたので、変化球の学校をと思い書いてみました。 引用はダンマパダから >「自らを整える事で最上の主を得る」 >「勤め励むのを楽しめ。心を守れ。自己を難所から救い出せ」 >「他人がどうして主であろうか」 >「賢者は自らを整えて、全ての苦しみから逃れる」 システママスターのウラジミア・ヴァシリエフ氏の言葉から。北川貴英先生の著作にありました。 >「目の前のナイフではなく、自らの呼吸を見なさい」 マルクス・アウレリウス自省録から。少し縮めています。 >「自分の内を見よ。内にこそ善の泉があり、それは絶えず湧き出るだろう」 >「背筋を伸ばし、鼻から息を吸い、口から吐きなさい.そうして心を整えます」 ここはシステマの呼吸法をかなり簡単に説明しています。
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