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臓腑
臓腑である 私は、はたと気がついた 原因は臓腑である 骨ではない、断じて骨ではない 音の出る類のものではない 血ではない、断じて血ではない 輪郭のないものではない 私は腹を割いて 悪くなった臓腑を引き出した 臓腑はギョロとこちらを睨み 憐憫の目でおれをみた 怒り狂ったおれは 臓腑をソテーにして 小綺麗な白い陶器の皿にのせてやった 汚くない臓腑など 価値のかけらもない おれの食ったコンビニ弁当を 臭い塊にしたのはこいつだからだ 腹が減るのもやはりこいつで 働くのも、恋をするのも やはりこいつであって この特権的な支配層を 惨めなほどに小綺麗にしてやることこそが 呪われた部分に対する精一杯の報復なのである 腹の血は止まらない だらだらと流れ続け やがて川となって大地を潤し 風となって飛び回る 過剰さに復讐せよ! 思い知らせろ! ああ、言葉が切れた もう寝ないといけない ああ、ああ、ああ
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臓腑 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 326.6
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2025-03-09
コメント日時 2025-03-29
項目 | 全期間(2025/04/07現在) | 投稿後10日間 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
初めまして。 >働くのも、恋をするのも >やはりこいつであって 臓腑が恋をする。 新鮮です。 ただ、そこに続く >この特権的な支配層を この1文がどうにも硬質で、 臓腑の柔らかさを損なっているように思います。 寝なきゃいけない。とのこと。 残念です。 もっと続きが読みたかったです。 ありがとうございます。
1肉体的にも、精神的にも、「飢え」というものに私たちは生かされているのかもしれません。この詩にも出てくるように、私たちを「支配」する力。 だからといって取り除いてしまうとこの詩の終わり方のように、エネルギーの根源を除いてしまったように最期の眠りについてしまう。自身の欲望、それに対する批判的態度が身を滅ぼすほどにまでいくことをユーモラスに描いていると思います。 しかし、ふと考えると、そういう自傷行為に及んだのも全て臓腑の掌の上だったのでは、とも思うのです。それは、「憐憫の目で俺を見た」という表現から。 とてつもなく面白い詩でした。
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