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塵の城
塵の中には城がある。 濛々とあがった噴煙の中に隠れている。 星の塵が海の底へと沈み、運ばれて地下深くに潜り込む。 やがて塵は溶けて集まり溶岩となり、浮上する。 塵は浮上しながら、思い思いの形になっていく。 けれども、流動性のある身体は定まらない。 動きながら、巻き込みながら、留まることができない。 少しずつ動きは緩慢になっていく。 少しずつ仲間が固まり、留まっていく。 それでも溶岩は生まれ、塵を押し上げる。 少しの間、塵は止まり、そして星が塵を舞い上げた。 大気に触れた塵は失くした身体を取り戻す。 塵は黒い噴煙となり、空に広がっていく。 誰の眼にも触れぬ空間を得た塵はそこに自らの欲望を宿すのだ。 城を、誰にも触れられぬ自らの城を、自らの身体でもってつくり上げる。 塵に塗れた天空の城だ。 塵は星から湧き上がり、城を大きくしていく。 けれども風が吹く、風が吹いていく。 塵は留まることができず、城は消えていく、塵に戻っていく。 舞い上がった塵は城の姿も忘れ、塵として降るのだ。 塵の中には城がある。 今も自らの城を夢見ている。
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塵の城 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 330.7
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2025-03-02
コメント日時 2025-03-03
項目 | 全期間(2025/04/14現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
宇宙塵または星間塵とも云うらしいのですが、宇宙が誕生したときには水素にヘリウムという二つの元素しかなかった。そのガスが集まり惑星を形成して超新星爆発を起こして様々な元素を宇宙空間に放出させた。と解説されていて、それら物質の混合から生命という不可思議な物体が生まれ、それが知能として成長するというのは不思議でたまらない。果たして生命という存在はなんであろうか。その存在自体もよくわからない。 この詩は、そんな宇宙空間に漂う塵から惑星という城が形成され、何億何百億年という刻と成長を隔ててまた基に戻る。という物理還元が生命に宿る意識体と結びつくように永劫回帰として誘因されて読めてきます。 よく書けているとはおもいますが、どうでしょうね。現代詩として読まれるにはちょっと物理的に読めて刺激的昂奮は覚えないのかな、と感じます。
1初めまして。 塵を擬人化しているのですね。 面白いと思いました。 けれど、どっからどう考えても塵は塵なんだから、お城は無理なのではないでしょうか? 天空の城ラピュタでさえ、宇宙に飛び去って行くのです。 ですが、夢を見ることができるうちは幸せなので、止めようとは思いませんが。 ありがとうございます。
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