愛や恋を
僕がまだ真剣に
世界の全てだと信じていた頃
地球の10m離れた所で
君はたぶん
何故月が星ではないのかを考えていて
概念と叫んでげらげら笑う
僕が本当は
人の寿命を十年延ばす妖精だってことも
君が本当は
チョコエッグのおまけが欲しくて
弁護士になったことも
全然関係ないまま
地球はひとつだとか誰かがどこかで
誰にも読めない言葉を書いて
谷川俊太郎がリレーだってたとえたけど
人の背中を蹴飛ばして崖下に突き落としても
そのスポーツはスポーツであり続けるのかと
愛や恋を
僕がまだ真剣に
世界の全てだと信じていた頃
地球の一光年先で
神様は多分
雨が降るのを待って雑誌を立ち読みしている
壊れた時計をがらんがらん
中でネジが踊る
僕等は常に真摯であるべきだよ
幸せの本来あるべき姿
僕を救おうとした手で君は
いったい誰を殺すんだろうね
誰を殺したって別にいいって言ってるのさ
誰を救おうとしたって構わないのと同じ
それが大人になるってことだ
知恵の実を食った罪で
泥水を啜っているのかもしれない
楽園なんてものがあるとすればの話
信じようがないほど愚かなことをする
だから可愛いのさ
正しい道には正しい生活
もう既にこの手を離れた運命の先で
君はラーメン啜ってる
明日の仕事の段取りを考えながら
小さく小さくなっていく
日が沈むほど
希望も夢も
馬鹿げた質問ばかり頭に思い浮かんで
振り払うことさえ出来ないのに
魚の体は泳ぎというものを忘れようとしない
愛も恋も真実さ
間違っちゃいないが
世界には狭過ぎる
そこで止まった時間を動かすために
ただひたすら呪を解いているような
結局神様なんて
チョコエッグのおまけ
僕にとっての十年
ラーメン食ってる時の水
チョコレートでも
僕自身でも
ラーメンそのものでもない
僕がまだ真剣に
死ねるかもしれないと考えていた頃
君は産まれてもなかった
見上げた先に笑っている星の光を
君は読むんだろうか
永遠の言葉として
そうであればいいなと思うだけだ
僕はただ
真剣に愛や恋を信じていたんだ
世界中の全てのものが
息を吸ったり吐いたりして
繋がって生きてるんだってね
君はいつか気が付くんだろうな
僕がいつか気が付いたみたいに
神様がこの世にいないってことに
それまでの辛抱だよ
客を待つ娼婦みたいな顔しながら
夜の街灯の下に立ってて
初めまして。 誘蛾灯に引っ掛かりました。 初読では「泣きそうだ」と感じましたが、 再読では「希望なんだ」と感じました。 有り難うございます。
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