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星に害された悪魔の唄
The ⅩⅤ‘s Song Harmed by ⅩⅦ えっと、ごめんなさい 私の友達が、あなたに相談するといい、って言ってたから、訪ねてきたんです 完全に時間の無駄かもしれないですし、そもそもあなたは本職ではない、だから申し訳なくて…… それでも私の話を聞いてくれますか? 私を呪ったりしませんか? 私は確かに過労気味だったかもしれません 毎日飲むエナジードリンク、毎日飲むカフェイン錠、私が人間だったらとっくに致死量なんですよ でも、私しか受け持てる職員がいなかったから 私が動いた方が一番めんどくさくないし なので、私が仕事を抱え込んでいました 私は都市伝説の製造と流布を担当していて、 独占している、といってもいいぐらいに 気にかけてくれる友達はいて、 私が最近ポテトチップスにハマってるって話を したんですね そしたら翌日、 私のデスクにじゃがバターがあったんです 美味しかったんですけど 不気味で 友達はサプライズとかしないし サプライズしようとしても お互い正直だからすぐバラしちゃうし 友達といろいろ、おしゃべりしてて 私、デパートコスメの口紅が欲しいなと口に出したんです そしたら翌日、 私のデスクにデパートコスメの化粧品類があったんです じゃがバターの件もあって 友達に聞いて 誰かに盗聴されてるかもしれないし 友達はそんなに収入ないし 私を好きな職員が勝手に贈りつけてるだけだと言われたし こうなってくると利用したくなるものです、 私は社内雑談で 給湯室の冷蔵庫が古くなっていると言いました そしたら翌日、 給湯室の白物家電が新品になっていました 私だけでしょうか 思い通りになると恐怖を味わうのは 友達に相談してみたら、 すべて聞かれてると思えと言われたし だから密室で話そうって言われたし 夜遅く、 友達と密室で恋バナをしました、 私は「土地とかをコーヒー感覚で買う権力者が好き」と言いました、 その日は友達と一緒に寝てたんです、 そしたら翌日、朝七時半、 会社のトップの首が変わっていました ああ、この人だったんだなと思いました 私はストーキングされていたみたいです あの人の視界に入るのが、怖いんです 同じ部署にいるから、顔を合わせることがあって できるだけ、ごまかしごまかし、 私は平気だって、ふるまってました 縮こまった背中に、真実が宿るだけなのに デスクも近くなって、エアコンも近い席にきて 冷房が当たって寒いし あの人の目線が怖くて それでも、強くあらねばと思って、ごまかしごまかし 転職を考えた時でした 震える私を、あの人が、 私の両脇を持って、 腕を、とおして、みっちゃく、して、 息が、かかるんです、耳に、 そして、ささやかれたんです、 「大丈夫だよ、君の頑張りをいつも見てるよ」って、 さらに続けて、あいの……愛の告白までされてました、 歯の震えは聞こえていたんでしょうか 心臓のわななきも、おそらくは、 通じなかったんです、あの人には…… 私は平気だって言ったのに 私はこの仕事が好きだったのに キャリアと身の安全を天秤にかけました 結果、 私はハサミを取り出して あの人の首筋に突き刺しました 怖かったんです それでも抱きしめてくる、彼が…… それから私は 別の部署に飛ばされたので気が楽です 友達と一緒の部署だからかな なんだか眠くなってきちゃうな 安心しちゃうな 寝ないけど ……以上です、聞いてくださってありがとうございました 私の友達 が気になることを言っていたんですけど、あなた、あの人の話を聞いたんですか? それは……災難です、あの人は自分の壺の中身を注ぎ切れるコップを探しているようなもの、つまり「愛したくて仕方がない人」。ただ、同じだけの容量がある人となら、うまくやっていけるはず……私はダメだったんですけど…… もし、今後あの人と関わることがあれば、こう言ってもらえないですか? 『悪魔は幸せになった』って……
星に害された悪魔の唄 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 606.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2025-02-09
コメント日時 2025-02-12
項目 | 全期間(2025/04/16現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
(僕は)相談するのも相談されるのも苦手な薄情な人間だなぁーと思いましたよーそうです、僕は人間もどきなのです。どこかのいつかで取り引きをしたのかもしれません、いやしたのでしょうねー
0前作『悪魔を愛した星の唄』に引き続き、コメントありがとうございます。 「相談するのも相談されるのも苦手」とのことですが、人間相手に、という意味ではないでしょうか? 詩や文章からの相談にはよく乗られてますよね(あなたの、このサイト内でのコメント量の多さを見て)。そういった点では薄情とは言えない、と私は思うのです。
0初めまして。 初読は「怖っ!」と思って、近づきたく無かったのですが、 最読すると、段々面白くなって来ました。 粘着質な「あい」も、私は大好きです。 最後の1文はドキっとしました。 大どんでん返しされたように思いました。 ありがとうございます。
0こちらこそ初めまして。この丁寧さを忘れないでくださいね。 コメントありがとうございます。 >粘着質な「あい」も、私は大好きです。 私の方からこんなこと言うのもアレなんですけど、その「大好き」はフィクションで留めた方がいいですよ……実際に経験すると怖いなんてどころじゃないし、命を失ってでも逃げたいと思ってしまうものなので(少なくとも、この作品内のような「あい」をリアルで経験するのは推奨できない、フィクションで楽しむ程度にしましょう……)
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