梵鳥 - B-REVIEW
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PICK UP - REVIEW

ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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梵鳥    

風が撫でる葦原の先に 影が落ちる
 夜明けの燈を孕んだ
 鳥の瞳は
 まだ濁っていない 羽音は
 梵鐘の余韻に似て
 打ち寄せる波間に滲む
 彼方で鴉が啼く
 誰の名を呼ぶ声か 一羽、また一羽
 輪廻から離れたく
 水面をかすめて飛ぶ
 空には既に色がなかった
 ただ青の気配が
 漂うばかり 亡者の翳が長く伸びる
 埋火のように残る
 記憶の温度は
 掌に掬われた灰の中で
 なおも燃えている 読経の響く堂の軒下
 羽を休める雀が
 一つの塵を啄む
 彼らは知っているのか
 生と死のあわいが
 こんなにも脆く ほろほろ、  ほろほろと、
無音にほどけることを—————— 風が吹く
 塔の相輪に絡まり
 葉を巻き上げる
 砂が、灰が、経文が
 流れるまま
 鳥々は飛ぶ
 僧侶の袈裟の色の
 その、ずっと奥



梵鳥 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 17
P V 数 : 1563.4
お気に入り数: 1
投票数   : 4
ポイント数 : 0

作成日時 2025-02-01
コメント日時 2025-02-12
#現代詩 #縦書き
項目全期間(2025/04/23現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合ポイント00
 平均値  中央値 
叙情性00
前衛性00
可読性00
 エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合00
閲覧指数:1563.4
2025/04/23 16時20分08秒現在
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    作品に書かれた推薦文

梵鳥 コメントセクション

コメント数(17)
メルモsアラガイs
メルモsアラガイs
作品へ
(2025-02-01)

供養する僧侶たち、その法要する様を眺める鳥とは鳳凰でしょうか。(わたしにはあり得ない夜の烏が浮かんくる堕梵天です、笑) あちらでも拝見しました。既に詩情の域には到達されておられる書き手だと思われます。わたしら高齢者の部類に入る人間から見れば、その森羅万象に置かれた仏教感も一行一行ひしひしと伝わってくる秀逸な作りですが、どうでしょうね。このスタイルを維持されていくのか。若い層の詩人たちを含めて現代詩という観点で眺めれば、刺激的には弱いかな、とも感じられてきますが…。

1
青十字
作品へ
(2025-02-01)

https://note.com/userunknown/n/n2fe5972db097

1
高橋髙橋
高橋髙橋
作品へ
(2025-02-01)

落ち着いたトーンで、慣れた手つきで行分けされたそれぞれの行が過不足なく、そこにある。〈その、ずっと奥〉の景色まで連れて行ってほしく思いました。(戦後モダニズムっぽい空気感があってたのしいです、〈僧侶〉(吉岡実)に引っ張られているかもしれませんが)

1
おまるたろう
おまるたろう
作品へ
(2025-02-01)

古風な佇まいとは裏腹に、 しっかり「現代詩」している。 連想の質は、小説や散文に近く、軽やかで読みやすい。 リーダビリティの高さが、むしろ今っぽいのかもしれない。 プロの小説家が、書き割りのように、 ポンポンとリズムよく綴る文章。 技巧的でありながら、どこか型にはまっている。 そんな呼吸を感じた。 たとえば岡本啓のような。 中沢先生と呼ばせて下さい!

1
三明十種
作品へ
(2025-02-01)

諸行はムジョーーーーーーーー生きて滅んでほろほろ滅んでまた生きての繰り繰り返しなのですかねー今から階下におりて仏壇拝んできまっさ!

1
中沢
メルモsアラガイsさんへ
(2025-02-01)

お読みくださり、またコメントいただきありがとうございます。 秀逸な作りとは嬉しいご感想です。現状は私が書きたいように書いているにとどまっておりますので、 おっしゃるとおり、より読んでいただくためには読み手を意識ないといけないと感じています。 とはいえ、何か焦ってしまっては書けなくなってしまいそうなので、一旦はこのまま好きにやってみようと考えております。笑

0
中沢
高橋髙橋さんへ
(2025-02-01)

お読みくださりありがとうございます。 不勉強ながら吉岡実という方を存じ上げなかったのですが、興味深いので書籍にあたってみようと思っております。コメントいただきありがとうございます。

0
秋乃 夕陽
秋乃 夕陽
作品へ
(2025-02-01)

これは理屈抜きで良いですね。 情景がまるで映像で流れるように鮮明に思い浮かべられる。 素晴らしい詩ですね。

1
中沢
おまるたろうさんへ
(2025-02-01)

お読みくださり、コメントいただきありがとうございます。 恥ずかしながら岡本啓という方を存じ上げなかったのですが、これを機に詩集を読んでみます。 評価いただき嬉しく思います。 先生なんて、畏れ多いですね。笑

1
中沢
秋乃 夕陽さんへ
(2025-02-01)

お読みくださりありがとうございます。 私自身、詩を読んで「良い」と感じるものは、理屈ではなく直観・情緒で受け止めることが多いですので、 嬉しいご感想です。ありがとうございます。

1
秋乃 夕陽
秋乃 夕陽
中沢さんへ
(2025-02-01)

中沢さん、そうですよね。 本当に良いものは理屈なんかいらない、 ぢ自分の直感を信じるのみだと思います。

1
黒髪
作品へ
(2025-02-07)

音がかっこいいと思います。落ち着いた景色には雰囲気があり、読む喜びがまず起きます。 意味内容については、叙景によって、生死を表そうとしているように思われますが、 寺の背景に、鳥がよく飛び、ダイナミックでありつつも落ち着いた、日本画のような印象を受けます。

1
深神鏡
深神鏡
作品へ
(2025-02-08)

作品から漂う侘び寂びのようなこの世の無常感と言いますか、詩の最後の雀とほろほろという表現がなんとも言えない和の余韻があって全体的な雰囲気も統一感があって水墨画の絵が浮かぶようなそんな詩でとても風情があってかっこいいなと感じました。

1
中沢
黒髪さんへ
(2025-02-08)

お読みいただきありがとうございます。 詩を書く際に読み心地を意識することはよくあるので、音がかっこいいよ言っていただき嬉しく思います。 また、日本画のようなイメージを持っていただきありがとうございます。

1
中沢
深神鏡さんへ
(2025-02-08)

お読みくださりありがとうございます。 水墨画は、実はこの詩を書き終えた後に振り返った時に私自身感じたところでしたので、とても的確なイメージを持っていただき嬉しく思います。ありがとうございます。

0
完備
完備
作品へ
(2025-02-10)

作者の意図を掴み切れないが、「習作」に見えるなあ。「フレーバーテキスト Lv.100」みたいな作品にも見える。

1
中沢
完備さんへ
(2025-02-12)

コメントくださりありがとうございます。 習作であると意識して投稿したわけではないですが、客観的にそのように見えるのも頷ける程度の完成度であると思います。気長に作っていくとします。お読みくださりありがとうございました。

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投稿作品数: 2