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死後のダリはどのような夢を見るのか?
夕暮れの光を浴びて 青く溶けるベッドの上 横たわる全裸の嘘が ――どんな詩を書こうとしているの? と甘く囁いてくる 俺は答えた そうだな 黒猫の首に一周する ジッパーが付いていて それを開けると 閉じ込められていた ダリが飛び出すんだ オルゴールの旋律と一緒にね ――そう 嘘は、ため息がちに呟いた 冷たそうな指先で髪の毛を梳かしながら ――夢のような話ね…… 魅惑的な曲線が ベッドに這わせられ―― (電話が鳴っている 腰をくねらせ―― (取り立ての音が鳴る 少しだけずらした―― (耳を突き刺すような お尻の左右が―― (冷たい現実の音 青い光に溶ける―― (電話が止まる そして、静寂が戻る…… 俺の中で、何かが、細い何かが、揺らめいている ――ねぇ、 嘘は、微笑みながら、 その唇に、どこか震えたものを残して 俺を見つめる あなたの隣でダリが 髭を弄りながら 笑っているの? その問いは、俺の最も深いところで氷になった 現実は受け入れられない でも、嘘もまた俺を解放するものではない 嘘は、悲しそうな顔をして、 スペイン語の言葉を呟いた Voy a vivir para siempre. Los genios no mueren.* 大きくうねった嘘は―― (電話が鳴り響く 粉々に砕け―― (金を返せと鳴る音 音もなく消え去る―― (催促の音が響き 美しい嘘―― (俺は壊れ始める 自分で自分を―― (俺はおかしくなる 騙すための嘘―― (電話が止まる そして、静寂が広がる…… 連綿と、揺らめいていた、細い何かガ、何カが、顔ヲもたナい、何者かノ、両手によッテ、力一杯ニ、引キ伸ばサレ、チギラレ、タ、 俺ハ自分ガ分カラナイ 俺ハ何デデキテイテ 何ヲ求メ生キルノカ ――ダリは、 妻の墓から遠く離れた 電話ガ泣イテイル 或る美術館の中に自分の墓を造った ソノ泣キ声ガ叫ビニ変ワルト 深い闇の中でずっと 俺ハ怯エル、俺ハ耳ヲ塞グ 安らかな顔で眠っているだろう 電話ガ床ニ落下シテ 夢の中で笑っているだろう 笑イ転ゲル、笑イ続ケル 真夏の木漏れ陽の中 笑イノ渦ガ 若き日のダリは 俺ニ飛ビ移リ、俺モ笑イ始メ 妻のガラと一緒に手を繋ぎながら 頻りに、電話ガ爆笑スル、見つめ合って、何度も、俺ハ爆笑スル、キスをして、繰り返されル、繰り返されル…… *サルバドール・ダリの言葉として知られ、日本語で「私は永遠に生きる。天才は死なない。」と訳される。
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死後のダリはどのような夢を見るのか? ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 287.3
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2025-01-06
コメント日時 28 分前
項目 | 全期間(2025/01/08現在) |
---|---|
叙情性 | 0 |
前衛性 | 0 |
可読性 | 0 |
エンタメ | 0 |
技巧 | 0 |
音韻 | 0 |
構成 | 0 |
総合ポイント | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
ダリ愛が随所に見られますよねー僕の気付かない気付けない仕掛けとかあるんだろなーなんて疑いながら、(詩の表現で)実験し尽くされた中で試行錯誤されてる作者に敬意を感じずにはいられません。NO FUTUREではないことを僕は願っておるのです。斜めに構えててもそう願っておるのです。後半部のルビはやめたのかな。
1類さんだったのですね。類さんの作品は短いものが多かった印象があったので全然わかりませんでした。 あまり絵には詳しくないのですが、わたしはよい詩だと思いました。後半のルビはあった方が迫力がありましたが、おそらく表示上の課題なのでしょうね。 凝ったかたちで作品を書くことができないので、このように趣向を凝らしてかつ分かりやすく(読みやすく)するのはすごいなと思いました。拙いコメント失礼しました。
1此の度は、歌誌「帆」自由詩掲載欄へとご投稿を賜りまして、允に有り難うございます。 此処で、重要なお報せなのでございますが、 第四号始動期間に大幅な変更がございます。然るに、皆様に於かれましてもご傾聴を賜りますと嬉しく存じ上げます。 第四号用草稿に附きましては、本年夏季-初秋季より始動、着手とのご意向へ遵いまして、募集をさせて頂きたく存じ上げます (つまり、当初予定より一箇年弱程猶予を置きましての募集と為ります)。 多くの皆様のご応募を賜りまして、允喜ばしく、感謝も頻りなのでございますが、投稿を為される地点にて、 上記の事情の斟酌の程を、何卒宜しくお願い申し上げます。 御作を、拝読させて頂きました。 此方の注文、条件を反映して頂きまして、允に有り難く、復、申し訳なく存じ上げます。 再構成をなされた御作を拝読させて頂き思います事は、允に申し訳ございませんのですけれども、初稿の構成上の衝迫力が矢張、薄らいで仕舞ってあらせられ、 それでも尚、佳い詩文ではあるとは存じ上げますが、当該作品の魅力が十全に引き出せておりません様に、考えられます。 允、此方の都合にて再編集をして頂きましたのに、無碍に断ります事は心苦しくも存じ上げますが。 別の方法論、別の発想より起草をなされた新作、次回作品を若し、投稿していただけましたならば、 其方の方がより佳い、謂わばベストな作品と致しまして判断を下せます様に思われるのでございます。 因みに、前段、御問い合わせ頂きました、作品の文字数制限、項数制限等に附きましては、正式な回答は未だ下せませんけれども、 一作品一ページ換算三十字三十行都合九百文字、それらの上限項数四項程、を目安として頂けますと、嬉しく存じ上げます。飽くまで、暫定的な目安ではございますが。 そして、通常範囲でのルビの使用ならば、構成上、問題は無い、と思われます。 (但し、上記字数制限上限の制限を最大量使用なされた場合、レイアウトの美観を保つことは難しくなるとは存じますが) 上記の旨を念頭に置きまして、復のご挑戦の程の参考にして頂けますと幸いに存じ上げます。 それでは、復のご挑戦をお待ち申し上げております。 此の度は、ご応募ご投稿を賜り、允に有り難うございました。
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