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Cold Song
夕闇が頬張る曇天 無音の圧迫 うるさい 堕落しはじめた桜の花 無音の連打 うるさい 放棄された母の神殿に 散らばった音楽 うるさい 背伸びした指先が 神の逆鱗に触れる ああ、うるさい 早く夜にならないかな 百戦錬磨のカメラマンたちが 日光写真でオーロラを追う夜 闇の中で桜たちが 吸い取った命を咀嚼しては 抜け殻を吐き出す夜に その前に子どもは、 早く寝なさい、と言って 母はアタシの首を絞める この真夜中は 永劫と癒着している ねえ聞こえる? オフトゥンにくるまるアタシと フォトンの海を漂う水母の 砂時計を介さない共鳴が それは春をすり抜けて アタシから体温を奪い 無音の眠りへと誘い込む だから起こさないでね 朝が来るまでは 死んでいたいの 桜たちだけが見守っている レーメーを待ちきれぬ 淡き死に顔
Cold Song ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 923.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-03-15
コメント日時 2017-03-22
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
タイトルと最初のうるさい、の連発から不穏な空気が伝わってきます。冷たいくらいに不機嫌な少女。彼女は何に曝されているのか、と思いました。 そして少女は「早く寝なさい」と言って母親に首を絞められる。親の権威性によって締め付けられ殺されていく子供の心。 しかし少女は眠りの中で秘かに別な世界と繋がっている。 「オフトゥンにくるまるアタシと/フォトンの海を漂う水母の/砂時計を介さない共鳴が」の部分が特に好きです(ただ、韻を踏む感じ好きですが、オフトゥンはネットに慣れない人にどこまで通じるのか…とも思いました) 少女はどんな眠りを、どんな「死」を体験するのだろう。やはり死だから夢は見ないのか、それともフォトンの海を漂う水母の夢を見るのか、それともまた違うなにかか。一夜ごとに訪れるその死は、例えば大人の死とは違うんだろうか…など、色々と想像が膨らみました。 「レーメーを待ちきれぬ/淡き死に顔」で思い浮かぶ眠るように死んだ少女の顔はとても綺麗です。私はまだまだ未熟なため、作者様の意図を巧く読み取れてないことも多いと思いますが(少しずつ勉強します)色々と想像を膨らますのは楽しいです。 好きな詩でした。
0「うるさい」という言葉の力が印象的。全体として、漢字が多いので、「煩い」とか「五月蠅い」としてしまいそうなところを「うるさい」としたことで、ここでの「うるささ」が力をもって全体を貫けている。と感じました。
0クラウス・ノミという音楽家にこの詩と同名の作品があったなと余談だが思った。 「オフトゥン」は上でも言及されているようネットスラング的な布団の言い回しだ。だいたいにおいてこの語が出てくる文脈では布団は自己を心地よく堕落させてくる抗えない存在として書かれる。漢詩の典拠のよう、ネット空間(≒オタクの文脈)の中での事象を詩に取り込みリンクさせることで、リンク先の世界の豊熟さを詩にも取り付ける、という試みは私自身としてもやってみたいと以前より考えている。なかなか、クサくならずにそれを行うのが難しい。 しかし若者的な文章である詩(それの一番の例が最果タヒになるんだろうなぁとは思う)でそれを行うならまだしも、あまりその匂いがしないこの詩でいきなりの「オフトゥン」は正直予想だにしていなかった。全体と比べて語が浮いていると批判もできなくはないが、述べたよう純文学もネットも同等なテキストとして見るならば何らおかしいことではない。 現在の多層的に重なった文化と観念の様態に対して、どこかに重心を置くことを否定して、層ごとに同じ重量で非決定的に対応するということ。「資本論」と「窓際のトットちゃん」を同じ水準で、まったく同じ文体と言語で論ずべき(吉本隆明「重層的な非決定へ」) あとは、この特徴的な「オフトゥン」の使用が果たして詩に適切に作用しているかどうかが論点となるだろう。
0凄くテクニックとして上手いと頭の裏っかわでちょっと思ったりするのですが、それ以上に効果の方を先に感じたうなってしまう。気持ちがいい「うるさい」と「オフテゥン」、、、いや、これは僕好きですね。レッサーの皆さんもやっぱり気になっている感じがするし、祝儀敷さんのレスに僕は結構同調してる感じがするので、これ以上レスを書く意義もあんまりないといえばないのすが、思わず一票入れたくなる詩という事で、レスさせていただきました。
0凄くテクニックとして上手いと頭の裏っかわでちょっと思ったりするのですが、それ以上に効果の方を先に感じたうなってしまう。気持ちがいい「うるさい」と「オフテゥン」、、、いや、これは僕好きですね。レッサーの皆さんもやっぱり気になっている感じがするし、祝儀敷さんのレスに僕は結構同調してる感じがするので、これ以上レスを書く意義もあんまりないといえばないのすが、思わず一票入れたくなる詩という事で、レスさせていただきました。
0白犬さんへ 初めてネット上で「オフトゥン」という言葉を目にした時は、布団と睡眠の関係性を的確に表現した発音に痺れました。ちなみに英語の「often」は「オフン」と発音するのが一般的らしいのですが、地域や時代によっては「オフテン」や「オフトゥン」などと発音する場合もあるようです。「機動警察パトレイバー」の劇場版では、確か後藤隊長が「オフテン」と発音していたはずです。 実は最初に「フォトン」と「オフトゥン」というヲヤジギャグを思いついて、そこからいきなり「レーメーを待ちきれぬ/淡き死に顔」というフレーズが頭に浮かんで、さらに「うるさい」の連呼へ発展して最終的にこの有様です。私としては薄闇と沈黙、そして無機的な美しさを伴う死のイメージが伝わればと思っています。最終連の「レーメー」は、最初からカタカナにするつもりでした。この辺の匙加減は、自分でも凄く微妙な感じです。ニャンコ先生風に「わかるか夏目、私のこの微妙さ加減が!」と叫びたいくらい微妙でしたが、間違ってはいないと思います。読んでいただいて、どうもありがとうございました。 花緒さんへ 実際には無音なのに、頭の中が音で満ちることってありますよね。この詩の女の子は、まさにそんな精神状態なのです。カタカナと漢字のバランスに関しては、自分でも凄く微妙な(ry 読んでいただいて、どうもありがとうございました。 葛西佑也さんへ 「うるさい」に関しても、最初から平仮名以外は有り得ないと思って書いていました。この辺の匙加減は、自分でも凄く微(ry 「五月蝿い」という漢字表記も確かに五月蝿いのですが、この詩の場合は語り手が若い女の子という設定なので「うるさい」にしました。読んでいただいて、どうもありがとうございました。 祝儀敷さんへ タイトルがクラウス・ノミの曲名だということに気付いてもらって嬉しいです。詩のパーツが頭に浮かび、それを組み立てている時に頭の中でいきなりあの曲が流れ初めたので、そのまま詩のタイトルに使うことにしました。 「オフトゥン」という言葉に関してですが、前述の通り最初に「フォトン」と「オフトゥン」からスタートしているので、これを抜きに書くわけにはいきませんでした。語り手の設定は若い女の子なので、私としては不自然ではない、たぶん不自然じゃないと思う、不自然ではないんじゃないかな、ま ちょっと覚悟はしておこうという感じでした。読んでいただいて、どうもありがとうございました。 hyakkinnさんへ 大切なことなので2回おっしゃっていただいたようですが(やめれ)、実は理屈ではなく感覚的に「気持ちがいい」と思っていただけるのがいちばん嬉しかったりします。それが、自分でこだわった部分なら尚更であります。読んでいただいて、どうもありがとうございました。
0イメージと言葉のつりあいのとれた作品だと感じました。言葉にたいして適量のイメージ・効果があるような印象です。 短い言葉でカチッときまっている表現に魅力をかんじます。特に 堕落しはじめた桜の花 無音の連打 うるさい この連にかよう緊張感。作品全体をつうじてみても、各々のフレーズは弛緩しすぎず、むりに張りつめず表現されていて、巧みだと感じます。
0みいとかろさんへ 私の詩は基本的に、頭の中に浮かんだものを無加工で書き留めたものが多いです。完成品がドサッと丸ごと落ちてくる場合もあれば、いくつかのフレーズが浮かんだ後にそれを組み替える場合もありますが、どちらにせよ作業は書き始める前に終わっています。そのため、どれだけ集中できるかが重要なわけですが、今回は何とか上手くいったようです。読んでいただいて、どうもありがとうございました。
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