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イニシエーションブルー
集まる食卓に響く賑やかな歌謡ショーと 家族の笑う声がなんだか湿っぽい わたしの気持ちが揺れ動くばかりで いつから笑いあいながら話していないんだっけ くだらないことで盛り上がった セピア色のあの日は 古めかしい宝箱に その鍵は飲み込んでしまって開けることはできない 代わりに 幼少期の、知らない少年に 亜熱帯の青いバナナの木が生い茂る わたしたちの秘密基地で 未熟で無知なあの頃の ままのあの子が顔を覗かせている あ だめだ、だめだ 思い出しちゃあ 笑い声の木霊が響く度に 動悸が激しくなる 性暴力被害支援センターへの電話番号 スマホの画面を見つめ ここに救いはあるのだろうか 電話をかけた先の年増さの女性の声は どこか迷惑みを帯びていて 「私も大変な気持ちしているわよ」 大学受験も終わり どうしようもない生きづらさを抱えて泣いていた 吐き捨てられた担任の声が 耳鳴りとノイズ混じりのセメタリ- 天国に近い場所で 繰り広げられる地獄のような日々は 多分、舟の定員オーバーだから、命懸けの争奪戦をしているんだよ だってそうじゃなきゃ こんな、無意味な、ただ傷つけあうだけの命の産み落とし場なんてさ それぞれの天使が傷ついた羽を背負ったまま 飛べずに彷徨っている やさしさでできあがったその楽園は パスポートなしで誰でも通れる あの日の亜熱帯の葉の合間から覗く幼気な蜜事はきっと 神様への捧げもので わたしは堕ちてしまったのだ やさしさの楽園から
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イニシエーションブルー ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 273.5
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2024-12-31
コメント日時 2025-01-02
項目 | 全期間(2025/01/07現在) |
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叙情性 | 0 |
前衛性 | 0 |
可読性 | 0 |
エンタメ | 0 |
技巧 | 0 |
音韻 | 0 |
構成 | 0 |
総合ポイント | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
掲示板で見えていた部分&二藤さんの書いたもの……その2点で油断して開いたら、なかなかの凄まじい作品だった(小並感)。 なんかいつもと違う感じで驚いたね……
0テイムラーさん、コメントありがとうございます! 今、掲示板で確認しましたが、なるほど……最初の食卓の描写部分のみでしたね…… 確かに、いつもと違うテイストですね 現実とそれ以外の描写にフォーカスして、かつ今まであまり性的なことも書かないので、挑戦的な詩にもなっています…! その辺りに気づいていただき嬉しいです
0亜熱帯が原点なのかもしれません。或いは紅白歌合戦に対する批判が含まれている。大学受験が終わり。飛べずにさまよっているのは天使なのだろうか。それぞれの天使。秘密基地。幼少期の知らない少年。ノイズ交じりのセメタリ―。天国に近い場所。西欧の墓場なのかもしれません。キリスト教をちょっと意識させられました。
1無念だったでしょうね。
1エイクピアさん、コメントありがとうございます。 キリスト教的な考えが、私の根本にあるのかもしれません。神様によって作られた天使たちの中で、自由意志によって反抗したもの。無意識で詩を書いていますが、私なりの考えを整理するきっかけにもなりました。紅白歌合戦も、時代が移り変わり、その価値に重点を置かれはじめているのかなとも思いますね。
0コメントありがとうございます。 無念、不条理な気持ちがどこかに含まれているかなと思います。 フラッシュバック的に、記憶の断片がよぎる、という描写を詩内で表現できるよう意識しました。
0「性暴力被害支援センター」という箇所にはドキリとされられました。 これは作者の実体験なのでしょうか。 だとしたら、悲しすぎますね。
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