35年前、近所の銭湯に行く - B-REVIEW
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ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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35年前、近所の銭湯に行く    

空を見上げている時 雲を見ているのか 太陽を見ているのか 飛行機を見ているのか 月を見ているのか 本当は人は分かっている 雲を見ている時 飛行機は見えないのに 飛行機を見ながら 太陽を見つめており 雨がやって来ると手を引かれて 仕方なく帰る 車の外を流れていく すべてのものに 名前をつけようとおもった そうすればわすれないから 意味は形になっていろづき ひとはひとのりんかくした ランプのような祈りだった 世界は美しい所だと母たち 世界は恐ろしい所だと父達 街路に落ちたごみくずの中 月はどこかと繰り返す雪虫の心 降り出す前にと傘を手にし 家がどこかを知っているから神なんだと その優しさだけが人を救う権利を持っている 叔母が人間の物語を綴っては笑って 死なないでくれと言う 手仕事の安いタイルのクリームスカイブルー 滅ぶさだめなどなかったと神様はこの世界に始まりと終わりを作らない 紙の瓶蓋を開けるための針 それでも猫は死んでいくし それでも子供は殺し合うし それでも日照りは森を焼く わすれないことは果たして 正しいことだっただろうか おもいだすことは果たして 何が楽しいのか分からない水風呂 消えなければならない過ち その冷えた手のひらの温度 滴り落ちる血のよどんだ赤 それらのものを押し隠して やってきた夜に甘やかされ 傷を舐め合う時の愚かさを 子供は知っていて黙り込む いつだったか自分も生きた 人間だったのだと空を仰ぎ 飛行機を見ていたいのかと 雲や太陽に付き従いたいと やがて来る嵐を笑うのかと いちごみるくは終末の天使 生ビールで祝う今日の絶望 枝豆でさえあなたを言祝ぐ そうして忘れる 私もあなたも ひとつながりの いのちの軌跡 もときたみちを 行きつ戻りつ 車を運転してた 父ももう亡い きっと変わって きっとおなじ 月のみちかけは ただの気紛れ そっと 見えない月の 陰を見る あなたが けして虚空に気が付かないよう ふゆです と手を繋ぐ 35年前 近所の銭湯の 家族の中で ひとりぼっちで


35年前、近所の銭湯に行く ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 1
P V 数 : 420.4
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2024-12-30
コメント日時 2025-01-14
#現代詩
項目全期間(2025/04/15現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
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閲覧指数:420.4
2025/04/15 03時01分04秒現在
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    作品に書かれた推薦文

35年前、近所の銭湯に行く コメントセクション

コメント数(1)
よんじゅう
よんじゅう
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(2025-01-14)

体のどこを触っても痛いんです。 医者に言わせると指の骨折だとか。 そんな話があって 何にも触れなくなったら さびしくない? と思ったけど そもそも人ってひどくさびしい気がする

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