もんどり打って崩れた桜並木を俯瞰して懐かしい我が家へ
深爪の間に残した棘が痛み出す方角へ道を侍らかす影絵
しぼんだ金魚袋の多くに棲みつく愛が
秋風と共に花開いて生きます
そこに灯されるつがいの名は忘れられないので
きつく口を結んだまま砂糖入りの水槽に浮かべては
内部から漏れでた溜息が曇りはじめて、もうすぐに冬が現れる
今はただ実が孕むのを待ち焦がれる あたりまえの散歩道で
そこで 路頭に迷う わたしは 枯れ葉だった
ハマナスに唇を寄せて 空を回遊する記憶 毎日の途の快晴
触覚は汚れ付着している。ひとつの洗浄機とまわれめぐれども
まっさらなカイトは浮雲と夏の花火 天に昇らせた永遠へ焦がれ
穢れた珈琲の滲みと混濁してしまえれば
幾分浴衣には香りだけが程よく残るとは言い伝えです
くぐもった毒華から芳香の泡沫があらわれ
薮蚊が拵える丘陵は仄かに朱く いつまでもひりついて
その胸をかきむしり、土壌に撥ねた魚拓 上澄みを授けては
未来に番石をおとしていくのならば それもまた
むかうところにてきはいない はずだった
閉ざされたクローゼット 深層の邂逅である
慎ましやかな現金の端を栞まして くたびれた絵本に包んだ
のみこんだ嘘が希望に伝染る 陶磁の胸を膨らませれば
藁でくんだお家も小さく寄り添える 損なことすら忘れてしまう
メランコリーの飴が 甘く苦く 辿るしるべとほおばり
街灯と瞬いて かすかに沁みて、いたんだ。
軽やかに弧を描いたサンダルとジャージの裾を
虹で染めたブランコと富んで 夢見心地でイロハ坂をゆく
信号はいつだって真っ赤なままで 月明かりに反射して
バイタル線は並行している テレビドラマはつまらないけれど
きょうというおひさまは それだけで たのしくて しあわせでした
作品データ
コメント数 : 8
P V 数 : 399.1
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2024-12-18
コメント日時 00:12:00
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/12/22現在) |
叙情性 | 0 |
前衛性 | 0 |
可読性 | 0 |
エンタメ | 0 |
技巧 | 0 |
音韻 | 0 |
構成 | 0 |
総合ポイント | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
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閲覧指数:399.1
2024/12/22 14時11分01秒現在
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あおいさんの感性は美しく、平易な文体で書いても十分に魅力が引き出されると思います。語り手は、冬の寒さに影響されて夏を恋しく思っているのでしょうか。全ての詩句が一繋ぎになっている書き方は、少々勿体ないと感じます。形式と内容が調和していないようです。しかし、あおいさんはフォルマリストでもありますから、様々な形式に挑戦したいという気持ちがあったのでしょう。その挑戦は尊重しますが、連ごとに分けることで語り手の状況や思考、そして不条理な出来事の流れがより明確に伝わるのではないかと思います。 また、描きたい内容をよりシンプルにまとめる方が良いかもしれません。あえてのことでしょうが、長文を少し短くすること、ただし凝縮するのではなく抽象することがより効果的だと感じました。シンプルな文体でも、透明感のある無意味さを描くことは十分に可能だと思います。 描かれている世界観そのものは素敵です。『物語の名前は誰も知らない』というタイトルは、作品そのものの透明感を表しているように感じました。
0匿名でしたね。大変失礼いたしました。私の感想は「あおいさん」ではなく、「作者さん」としてお読みいただければ幸いです。
0あらー見逃してた読み逃してたわープリントアウトして読んだほうが良さげだけど画面で読みましたよー壊れそうで壊れそうになくて、透明感はあるよねーぼんやりとでも描きたいイメージがありーのそれに向けて書き並べていくという手法なのか、ただ一発勝負の出たものから並べて整頓していく手法なのか、手法なんてないのか、なんだかよくわからないけど、選語には意思は働くよねーなんてね、後半にいくにつれて密度がうすくなっていく気がしたけど、気のせいかしらねーでもいいものを読ませてもらいましたよーありがとうございました。
0うーん、これはいいですね。相変わらずどこがいいかは言えないのですが、美しくて切ないです。
0票を入れ忘れました
0追記。 私の感想で >長文を少し短くすること とありますが、長文ではなく行長のことと訂正させていただきます。あえてでしょうけど、全ての一文が長いので短くされた方が個人的には良かったと思います。
0散文が詩を孕むと言うのはどういう事なのかと言う事を考えさせられました。奔放な表現が抑制されると言うのはどういう事なのか。「散歩道」の孕む意味。藁で包んだなのかもしれない。メランコリーの飴は私の喉をどうするのだろうか。ブランコと富んでこの詩はどこへ向かうのだろうかと思いました。
0作者あおいです。これ20200921-22に三枚で書いたものを当時纏めたもので、4年前ですね。投稿するのに文字数制限があったのでぎゅうぎゅうでこうなったんですが、これちょっと書式遊んだのを今思い出しまして、データが残ってたので、Twitterに貼りましたからプロフからどーぞ。原文画像も置きました。ごらんくださいませ!
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