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蚯蚓の子
泥団子を磨き上げ 命を吹き込み 蓬莱の玉の枝に宝珠の実りを捧げる 日の目を見ない目の無い体で 暗闇を這いずり 土地を耕し 朽ちた命の亡骸でその身を肥やす 人はその子を悪魔と呼ぶ 罪人の咎を背負いし羊の子を 神の御手は乱暴に掴み上げ 幼子のような無邪気さで 引き千切り 押し潰し 捏ねくり回し 美しい毛皮を剥ぎ取ったあとの 剥き出しの肉に薄膜を被せて まるで壊れた玩具を捨てるように 冷たい大地に放り出した 向かう場所も分からぬままに 只管に突き進む愚鈍な子は 固くて冷たい土の中 墓を暴いて死体を屠る それは輪廻の一端 陽の下を自由に歩く生物が 健やかな顔をして踏みつける その足の下 穢れを貪り豊穣を吐き出す醜い獣が 音も立てずに蠢いている 誰も知らない 全ての産声の中に その盲の吐息が流れていることを 生と死を繋ぐ音引き 献身で身を滅ぼす愚かな孤児 私はそれを天使と呼ぶ
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蚯蚓の子 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 440.7
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2024-12-07
コメント日時 2024-12-09
項目 | 全期間(2024/12/22現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
まず蚯蚓の子として、しっかり書かれているんですね。んで最終連で、天使と呼ぶ、私 としての視点でひいてみることができるようになる。で、再度読むと、この話者の心境や状況を重ねてみてしまう。そうなれば背景なども想像できるのかなと。詩としての読み手への開き方が実に面白く感じましたね
1見た目グロいですけど、すくなくとも農家にとっては、土を肥えさせる、大地を健康にする、かけがえのない存在ですよね。 それを聖書的な世界観でくるんで記述するというところに、仕掛けがある(キリスト教の歴史は土着的なものの迫害の歴史でもあります...) 蚯蚓に「着目」するというところが面白いし、よく言葉が回るというか、「速度」があるなと。 毎度感心させられます。
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