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孤独な誤解
一人の男がいた 男は自分が孤独であると信じて疑わなかった そして孤独のせいで自分の行動が制限されているとも思っていた だから男は友人や恋人が欲しかった しかしこれは全く滑稽な話だった 孤独が嫌で街を出ることを拒めば、人と会うことはない。 人と会わなければ友人や恋人などできようはずがない。 また、男は孤独が自分を駄目な人間にしていると思っている。 そして孤独のせいで自分に魅力がなく、友人や恋人ができないと思っている。これもまったく奇妙な話だ。 友人や恋人がいないのが孤独のせいならば、どうやって孤独から抜け出せるというのか。 原因と結果が食い違っているのだ。 ではどうすればいいのか。 まず外へ出ることが肝心だ。 一人で家にこもっていては友人も恋人もできようはずがない。 また、友人とか恋人とか親友とかランク分けするのもよくない。 そういったものは自然とあとからつけられるものであるからだ。 もっと広い視点を持つことも肝心だ。 広い意味で仲間を作ることから始めるのはどうだろう。 男に正解はわからない。わかりようはずがないのだ。 わからないから悩むのであって、悩めば解決するものでないのは明らかだ。 準備も必要だ。では何を準備するのか。身だしなみは大切だ。 身だしなみからその人物の雰囲気も出てくるだろう。 しかし男は身だしなみを整えるのも不得手である。 ファッション誌など読んでもちんぷんかんぷんであるし、何より買い物が苦手である。 出不精なのだ。 考えれば考えるほど遠ざかっていくような気がする。 孤独が人を駄目にすると考えてはいるが、あながちそうでもない気はする。一人で黙々と努力することも大事だ。 堂々巡りである。 男は一生抜け出せない孤独という言葉の螺旋に巻き込まれている気がする。 これはよくない傾向だ。 明日はどこへも行く予定がない。 それでいいのだろうか。 何かしなければいけないのではないだろうか。 その考えが男を余計にがんじがらめにする。 行動できない自分に嫌気がさす。 結果として眠りを選んでしまう。 一番の逃避だ。眠ってしまえば何も考えなくていい。なにも悩むこともない。 男はまた、外へ出ることは心身を消耗すると考えている。 これはどうだろう。 目的なく外へ出ることは全く無意味だと思っている。 それは違うのではなかろうか。 何気なく外へ散歩して、外の空気を感じ、景色を肌で感じることは意外と良いことではなかろうか。 これも男には判断がつかない。 いいことのような気がするが悪いことのような気もする。 また堂々めぐりだ。そろそろ考えるのをやめようか。 男は仕事が嫌いである。今の仕事に後ろ向きである。 これはよくない。仕事をしないと収入を得ないと生きていけない。男には何の取り柄もないと思い込んでいる。実際そうとしか思えない。何の資格も免許もない。車の免許すら取ったことがない。では、今から勉強して資格を得て収入に繋げるのはどうだろう。学校へはいって学ぶのはどうだろう。どちらも気が遠くなる話だ。 頭も大してよくないし身体も丈夫でもないし。 駄目だ、もう考えてもネガティブになるだけだ。 そもそも自分がどうなりたいかのビジョンがまるでないのだ。 その日暮らしなのだ。 さっきから堂々巡りを繰り返している。 男には根本的に何かが抜けて落ちているか欠けていると思い込んでいる。 思い込んでいると信じたいだけなのか、もうとっくに手遅れだと思ってはもう全てを諦めて生きるしかないではないか。 それができないから悩むのである。信じたいのである。男にとって信じるに足る何かを少しずつでも得るのだ。 男にはちゃんと好きなものと嫌いなものがある。得意なものと不得意なものがある。男は空っぽではない。そう、決して空っぽじゃないんだ。そう今は自分を信じるしかない。
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孤独な誤解 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 248.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2024-12-02
コメント日時 2024-12-03
項目 | 全期間(2024/12/05現在) |
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叙情性 | 0 |
前衛性 | 0 |
可読性 | 0 |
エンタメ | 0 |
技巧 | 0 |
音韻 | 0 |
構成 | 0 |
総合ポイント | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
孤独が毒であるかのように、語り手は自分を徐々に蝕んでいくその毒に気づき、何とかその毒から抜け出そうと試みます。しかし、その試みは、まさに自分自身の毒にまみれた思考によって阻まれてしまいます。一見滑稽に思えるこの状況の中に、リアリティが感じられるのは、思考が次々に続き、自己完結していく様子が描かれているからです。
0孤独だと思ってネガティブになるのは全く意味のないことだと最近、思います。だからといって一人で騒ぐ気にもなりません。孤独を愛することも必要なのかと思います。まったくもって堂々巡りですね。
0コメントに見られるその考え方を作品内に反映させるか、またはその思考を新たな作品として形にした方が、さらに読み応えがあったかもしれません。孤独を愛するというテーマを表現する方が、孤独の毒を嘆くよりは、遥かに難しいと思いますから、その挑戦を乗り越えた作品には、より深い魅力が宿ることでしょう。
0誰かを理解したいとは思う。しかしこの作品を読むとまだ理解した気になった感を拭えない。 身だしなみは仕事内容以前の基本だと思うのです。障害者の事業所にいるのですが、髪を爆発させたまま作業だけは黙々とやろうとしている人がいる。これで一般企業が雇うだろうか? わからないものを理解しようとしても無理だと言った人がいますが、実際にこういう人がいて話を聞き、思ったことを書いたのか? 独断と偏見でこういうことなのではないか? と想像を回らし書いたのか、どちらかというと後者だろうと思い、その正確性の有無はどうなんだろうと。
0類さま コメントありがとうございます。 孤独を愛するというテーマについても書いてみようかなと思います。
0万太郎さま コメントありがとうございます。 僕自身が精神障害で最近、入院もしました。弟が精神障害2級です。ですから、想像を回して書いてる部分もあれば、そうでない部分もあると思います。正確性についてはよくわかりませんね。
0自分の境遇をどうとらえているかだよねー逆転は相当ラッキーじゃねえとムリゲーじゃけど逆手に取って表現かそんな類いのもんに昇華は出来るよーな実感(僕のね)はありますねーいまのこれを土台にして別のアプローチで綴っていったらまた違う孤独が見えてくるかもしれませんよねーと思ってみたりしましたよーなかなか諦めるって難しい、諦めきれんもーん!
0三明十種さま コメントありがとうございます。 所詮どこまでいっても孤独だと思うんです。それに満足できないからいろいろ試してチャレンジするって言うんですか。それでも成功できたら一時は満たされると思います。 詩を書くのもそのための手段かもしれません。
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