クレヨンの冷たさと近づいた
三輪車の匂いと近づいた
かさぶたのノイズと近づいた
セロハンテープの重さと近づいた
春の その セーターを着た ぼくの
手にした 四つ葉の 摘まみ過ぎた 茎の
やらかさと近づいた
ぼくはぼくと近づいた
詰まった雨だれの氾濫
水を吸うじゃがいもの根
恵みの三食の時間
箸のような枯れた松の葉
ぼくはそれぞれと近づいて
そしてくっついては離れていった
それらはみんな ぼくより先に ぼくが手にし
ぼくに手渡されたものだった
その時はまだ知らなかった
ぼくは はみ出たぶんだけ
還せばよかった
だから ぼくのいう ぼくはいなくなってしまったんだ
すべての名がぼくによって剥がされて
また与えられていった
実際のところは当人のなにも知らない場所で
よりよい関係で
帰ってこなかったのだった
作品データ
コメント数 : 17
P V 数 : 1758.0
お気に入り数: 0
投票数 : 5
ポイント数 : 0
作成日時 2024-10-17
コメント日時 2024-11-13
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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閲覧指数:1758.0
2024/11/21 21時45分53秒現在
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>やらかさと近づいた →たぶん「やわらかさ」ですね。 「声に出すとキレがあるのがわかる」という詩群があって、 本作はまさにそれだと思います。 読んでいる最中、作者の頭の良さを想いました。
1「近づいた」と言うフレーズ。「離れていった」と言うフレーズ。「帰ってこなかったのだった」と言うフレーズ。「ぼくはいなくなってしまったんだ」と言うフレーズ。それらが相俟って不思議な雰囲気を醸し出している詩だと思いました。
1コメントありがとうございます。とても嬉しいです。 やらかさ、についてのご指摘もありがとうございます。現状、私の詩人としての葛藤ののち、このような書き方にはなってますが、この先、変更するかもしれません。
0コメントありがとうございます。とても嬉しい感想です。不思議な雰囲気を醸し出すのは、理想かもしれません。
0ささやかなものへの視点とそれを美しくとらえる書き方が印象的でした。 わたしにはここまで細部を愛おしむことができるだろうかと考えさせられました。 作者の方の人間性そのものが表れているのでしょうね。
1#定型
0コメントありがとうございます。自分としては、そういくつも書くことができない詩の一つの気がします。
0~近づいた。少年言葉で繰り返される。これがうざったいので跳ばしていたが、二度じっくりと鑑賞してみると良さがわかった。 循環。置き換えられているのは語り手の人生観。大まかに云えば僕の人生は他人に操られ自分を殺して、結局帰るるべきところにはなにひとつ帰れなかった。という自省心ですね。少年言葉が効いてるのだな。けっこう考えられていて(・∀・)イイですよ。コレ。
0コメントありがとうございます。これからも頑張りたいと思います。
0情景が美しいですね。枯れた松の葉って、二股に分かれてえんじ色で、たしかに上品な箸みたいですね
1コメントありがとうございます。情景が美しいと言って下さって嬉しいです。
0とても印象的です - だから ぼくのいう ぼくはいなくなってしまったんだ このフレーズの周辺を辿る言葉が、幼年期、(クレヨンや三輪車、等)の、どこか時間のなかで失われてゆく、溢れ落ちてゆくような感覚とも繋がって、自然のイメージに絡められて循環してゆくような、一つ一つの連にも纏まりを感じました、
1コメントありがとうございます。素敵な感想、とても嬉しいです。
1こーゆーものを手に入れては手放しを繰り返しながら、僕はこんなに遠くに来て(行って)しまったのだなーと勝手に思っちゃいましたよーめぐりめぐって元の処に戻ってくれればいいのだけどねー票入れときマッス!
1コメントありがとうございます。色々感じ取ってくださり、ありがとうございます。
0かさぶたのノイズ、に説得力を感じた。こういう言葉を見つけていきたいし、こういう詩を書きたいと思う。
1コメントありがとうございます。言葉に説得力を感じていただき、嬉しいです。
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