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シュガー(修正版)
窓に広がる雨の街にホワイトノイズが溢れて、ガラスをつたう水滴に世界は彩りもなく反転する。 どれだけ手をかけても映えない鉛色の空にはいつか誰かがあきらめた夢がこぼれるくらいに融けていて、ぬるんだ雨に仄かにまぎれて静かに街へとふりしきる。 わたしは冷たい部屋でお湯を細くつうぅと垂らして、もうすぐ迎える夜の気持ちと同じ濃度になるように青くてなめらかな陶器にゆっくりコーヒーを淹れる。 フィルターに溜まった黒い微塵がお湯を含んでぷつぷつと泡立ち、白い器の内側で濁った液体のかさが音もなく上がって、やがて最後の一滴がマグへと落ちてぽつんと弾ける。 呼吸を殺して水溜まりがすっかり静まり返ったとき、かつてきみが見た夢はこの景色には含まれてないのかもってわたしは生まれる前からわかってたことに気がつく。 茶色の角砂糖を融かしたコーヒーを少しすすって、もしかしてわたしの夢だって同じなのかもしれないってそんな気持ちを味蕾でまぎらわせるほど強くはないけど 、きみのまとう寄る辺ない孤独に心のどこかで憧れてる。 窓へと歩いて答えのない薄墨模様にQRコードをかざしてみても期待外れの鮮やかな未来なんて映るわけないから、わたしは日焼けのない顔から眼鏡を外すと濁った河にちらちら泡立つ光をぼんやりと見つめる。
シュガー(修正版) ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 2404.0
お気に入り数: 0
投票数 : 4
ポイント数 : 0
作成日時 2024-09-03
コメント日時 2024-09-17
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
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平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
フォーマットが気になって仕方なかったので修正しました。無理やり変えた表現も直してスッキリしました。修正前のものは忘れてください(わたしはもう忘れました)。
0この静けさとコーヒーの匂いに満ちた世界観……こういうの書けるのもいいなあ……。
1触れれば壊れてしまいそうな孤独と静寂。 「つうぅと垂らして」という言い回しが、印象的でした。
1イメージがしっかりしていて、言葉も美しいと思います。現実に対している「作中話者の 強い意志」が、読む喜び、人の経験を、読者にも新しい経験として言葉によって得られる 芸術作品の中にあり、詩の間違いない良い点が感じられ、レベルの高い詩として評価します。
1ありがとうございます。コーヒーはかなり好きです。りんごも好きですが、最近は台風のせいかなかなかおいしいりんごにありつけません。
0表現のチグハグさと言うか 読めるけど意味が通らないな あまりにも。 題名も気になる 糖質ってコトなの? ホワイトノイズ 薄墨 日焼けのない顔 なんだろうな > 茶色の角砂糖を融かしたコーヒー なんでわざわざ茶色の角砂糖 安物のコーヒーなんだろうか? なんかなぁ 何か断定出来ないギリギリなんで なんも言えない感じ 何個か解釈の道はあるけど はっきり言えないというか よくよく考えると違うというか エッシャーの絵みたいな 建築不可能な構造物を見ている感じなんだよね うーん? いや、表現は美しいんだけどね よみきれないな
1紅井ケイさん、そう言っていただきありがとうございます。
0黒髪さん、ありがとうございます。そのように読んでいただき嬉しいです。
1吸収さん、コメントありがとうございます。 ホワイトノイズは単純に好きなので浮かんできたのだと思います。 他の表現もずっと待っているうちに浮かんでくるものを拾っていくのであまり説明はできないのですが、おそらくわたしが変わっているのだと思います… 茶色い角砂糖は甘すぎずにコーヒーをおいしくしてくれます。
0やっぱり波長が合う作品って言うものがあって 受信できているのに読めない 意味を理解出来ないと感じると おかしくなってしまうというか。 なんか俺が勝手に深読みと言うか 妄想を巡らせ過ぎた感じでしたね 普通に読めば其処には穏やかな時間が存在している感じですね。 もう寝ますおやすみなさい
1ありがとうございます。 受信していただけたならうれしいです。 受信っていい表現ですね。わたしも作品を書いて投稿するときは見えない空間に送信しているような気持になります。 この作品はけっこうすんなりと書けたので、余計に自分でもあまり意味がはっきりしていません。 ただ、穏やかな時間の中に、穏やかだからこその空白みたいなものが浮かんでいる気がします。 自分で読んだ感想として。
0すべての思いが水溶性で、雨やコーヒーに溶けていく。手離したくない思いほど甘く感じる、だからルーティーンのように立ち戻ってしまう。追いかけていく。 生活からの気づき。最後は、溶けずに残った街の光を眺めていますね。彼らの思いを想像している。 溶けるといっても、温度が重要ですね。「融かした」という方の言葉を使っているので。「ぬるんだ雨」に溶けていてはそれこそ味気ない。どちらかといったらコーヒーに融ける思いを持っていたいと。 最後の「河(街)」はどうなんでしょう。「日焼けのない顔」とあるので、街の温度もぬるいのでしょうか。所々「窓」が出てきて、外の世界との仕切りを置いているようにも思います。それでも窓の向こうを見つめるのは、「こんな温度には融けないぞ」と踏ん張る、自分と同じような人を探しているのかもしれません。 ヒントがいつも以上に置かれている印象を受けましたが、面白かったです。このような生活感あふれる詩は、私にはないものなので、いずれ学び得たいなと思いました。
0初期に投稿されていた作品と最近投稿された作品とを見比べると随分と上達されたというのはどこかの機会に書かせて頂いたような気もしますが、しかし元より今の状態が本来なのかもしれません、この作品に関しても上手だなと思いました。作品を読ませて頂いて感じたのは、佐々木さんの創作は上手という状態を比較的くるくると回っている傾向にあるのではないかということです。創作をする理由というのは人によって異なり、佐々木さんが創作にどのような趣を置かれているのか分かりませんが、僕がひとつ言えるのは、上手という状態を貫いていった先に傑作が待っていて、そこには人の心を掴むという現象が存在するのではないかと考えています。もちろん詩作品に限らずなのですが、同じ作者がそう何度もやすやすと傑作を生み出すことができないのは今までの読書経験上容易に想像できるものだと思います。無論、佐々木さんの作品群には僕が感じる傑作がいくつか含まれていて、そのいくつかの作品から推察したのはテーマの存在です(テーマというのは作者が読者に伝えたいことというニュアンスでとらえて下さい)。それぞれのテーマによって読後感が違ってくるように、テーマを作って文書を綴り、自分の意図した読後感に物語をコントロールしていく、指先まできれいな色の血を行き渡らせるような、機会があればそんな書き方をされてみられてもいいのではないかと思いましたが、これは僕が全部勝手に思っていることですので、佐々木さんが考える創作のスタイルとは大きく違っているかもしれません。
1熊倉さん、ありがとうございます。 熊倉さんのコメントを読んでいると、書いた自分よりも作品のことをわかっている、わかろうとしてもらっていると思います。 窓のところは自分では本当に気にしていませんが、確かに外と内を分けているんでしょうね。外のことをわかりたいと思いながら、自分は違うところにいたいという曖昧な態度。 はかない夢の思いを寄せつつも、自分はそうはなれなくて、そうではない何か憧れてるのかもしれません。
11.5Aさん、いつも丁寧なコメントありがとうございます。 そして、1.5Aさんの仰ること、わたしもそのとおりだと思っています。 この作品、見た目は先月のストリームとあまり変わらないと思いますが、ストリームは、小さいけど確かな感覚から相当時間をかけて、途中くじけそうになりながら試行錯誤して完成までもっていっています。 それに比べて、というかその反動(疲れ?)もあって、この作品はサラサラと書ける感覚を書いた感じがします、音楽でいうと間奏曲というか、息抜きの趣味というか。 ただ、書いてみて修正してもあまり納得いかなかったので、フラクタルで違う書き方をしました。そういう意味で今月は同じものを書き直す実験みたいなものだなと思っています。 来月辺りはまたしっかりしたもの(確かな感覚の延長線上にあるもの)を書きたいと思っています。 こうやってしっかり読んでいただいて率直な意見をいただけるのはありがたいです。
1例えが分かりにくいかもしれませんが、シチューってカレーにもなるんですよね。 僕は料理をしないので、それを初めて聞いたとき思わずへえーって思いました。 発想の転換?視点?みたいなものを多く持っていると、いざというときの助けになると思います。 それは実生活でも言えることだと思いますし、書くということに変換すれば、 そういったものを多く自分の中に持つためには、詩の作品に沢山触れておく、というのが一番良い方法なのではないと僕は思います。 自分が読んだ作品の中で、自分が気に入った詩の形を、自分の中に残しておく、 そうした積み重ねが、のちのち自分の中に混ざり溶け込んでくると思います。 書いている瞬間どこかで楽しいと思っている自分がいれば、それは苦も無くできることだと思います。 気負わずに、そこに壁があればたやすく飛び越えていってみせて下さい。
1おいしいシチューはおいしいカレーになりますね。間違いないです。 アドバイスありがとうございます。確かにわたしには詩を読んで感じる経験が圧倒的にすくないと思います。地道にしっかり読んでいこうと思っています
1知覚の鋭敏さが生きているって感じだね!!
1湖湖さん、ありがとうございます。 特に何もすることがないときはいろんなことを感じられるような気がします。
1>ガラスをつたう水滴に世界は彩りもなく反転する。 冒頭、のっけから、この「反転する」って語が挿入されて、きっとこれがこの作品のキック なんですけれど、なんだろう、この世界が反転する、とはどういう状態なのか ミーニング、意味性の部分で僕は弾き出されてしまって、気にせず最後まで読んだけれど 何か、気にせず、っていう自分に後ろめたさを感じてしまいました。
0田中恭平さん、ありがとうございます。確かに「反転」って出てきたとき強い言葉なのでしばらく悩んだことを思いだしました! いま読み返すと窓の外の世界が反転してるのに冷房が効いた部屋でひとりじっくりこだわってコーヒー淹れてるんですよね。 たぶんそういう世界への関わり方みたいなところ、根底に後ろめたさ(田中さんのいう意味とは違うかもしれませんが)というか心の重さみたいなものがあるじゃないかと思いました。 コメントいただいて気がつきました。ありがとうございます!
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