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花を道連れ
真っ黒、真っ黒。 真珠の首飾りだけが嫌に真っ白で、それ以外はみんな真っ黒。 だのに花はいつでもあざやかで、目に染みる場違いな赤やら黄色やらは、輝くように咲いている。 そのとき、ほんの出来心がふと、言葉になりかけた。 ねえ、私が死んだら、悲しい? それはひどくばかばかしい問いだ。私の理性がそう言って鼻で笑った。 でも、同時にそれは、ひどく甘美な問いに思えた。 なんて、人間って、醜くて、かわいそうで、どうしようもない。 お葬式の場で、棺に花を手向けながら、その死を、その離別の悲しみを、心も体もちぎれてばらばらになるような痛みを味わいながら、それなのに己の死を悲しむ人を探している。私は、私の死を悲しんでくれる人を探している。こんな悲しい思いをさせたくないと願いながら、私のために心がばらばらになってくれる人を求めている。吐きそうだ。この涙は、その一瞬だけ、悲しみの透明ではなく自己嫌悪で濁った。 花を手向ける。 これから燃える棺の中へ、いきいきと瑞々しい花を。私たちの悲しみのために、死出の旅へと遣わされる花を。生気のない死者の顔を囲んでただ美しく咲く花を、棺の蓋が闇に閉ざした。悼まれぬ花を見送って、濁った涙を拭いさる。 それでも、この痛みがある限り、私が死んだらこの痛みを味わうかもしれない人がいる限り、もう少し生きてみようかと思うのです。
花を道連れ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 882.0
お気に入り数: 0
投票数 : 3
ポイント数 : 0
作成日時 2024-08-22
コメント日時 2024-08-24
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
死が痛みを連鎖させて、人々の心にいいものを残す、そんなためにお葬式はあるのですね。 死を悲しむというよりは、自分もそうなると自覚して、諸行無常を体得させてくれる、 死者に花向けをするのは、生きて来た時の思いに嘘をつかないためにも、非常に大事です。 このような真面目な詩を読めて、良かったです。
0死を弔うお葬式の雰囲気と、生命力に溢れた花の優雅さの対比が鮮やかなコントラストを醸し出していますね★ まるで、絵画を観ているよう( ꈍᴗꈍ) 死という重いテーマに向き合う真剣な作者の気持ちが伝わってきます!
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