ルード・ボーイたち(短歌) - B-REVIEW
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ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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ルード・ボーイたち(短歌)    

     *  鍵穴が合わない夕べ地階にて癌検診の通知受取る  裏階段上るだれかのかげをいまひとりじめする身勝手ばかり  布ひとひら浮かぶ人工河川やがて来るだろう裁きなど忘れつ  〈屠〉という字やがて葬らるる字なり夏の蝿集る場所もなくて  咲きそめる花は嵐か 従業員通用口に吹きだまるもの  愛の経験もなしに道ゆくわれのなかを走り抜ける夏のしぶき  パリ祭のルード・ボーイのごとくいま髪撫でつけるわがマグ・ショット  第一級殺人一報告ぐ画面冷たき切桃の罐詰をあくる暗い真午の室  だれだった? かげ踏み遊び 誘い来る 群青色の男の子って   かえりきて上着を降ろす湿度計高まるなにが不安をあおる  横倒しのハーレーダビッドソン眠る路上にて遠巻きに小火騒ぐ隣人ありぬ  前線の雲もやがては見果つるに悪魔主義者もしずかに去りき  羞じらいもなくて眼をひらくひと/「きみのようだ」と通信回路  椿象のゆくえをおもう俎板のうえを這ってはじきに消え去る  ことば少なげに愛を語る男に遭っていまだぬぐえない背徳感  〈ミシガン〉という渾名の猫が飛ぶ夏の庭にて語る亡命  「この夜がいまに正しい昼となる」──夢の日記に書かれた科白  中央電算室爆発する真夏の朝顔さえ愛しい時間  どこかでいれちがうひとがゐる駅のなかを漂う空洞としての時刻表  夜泣きする子供の声が悲しげなときがつづいてひとりつまづく  ゆくえ知れずの夢──「アメリカ」を追跡する大暑のなかをさまようがまま  〈L'America〉と歌う男よ、黄金に代わるものなどこの土地になし  荒れ野にて花が咲いたよ/きみが持つ神託なんぞなかったように  夏の雲に夾まれてゆくぼくよぼくよと一人称解体できぬ真昼  生田川インターちかく主婦たちが降霊術を学ぶ木の洞  Lie Lie Lie/やがてものみなうそとなる第二級河川反逆したり  サイレンが祝詞のように鳴り渡る駅また駅の神も欠伸す      *


ルード・ボーイたち(短歌) ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 7
P V 数 : 583.9
お気に入り数: 1
投票数   : 1
ポイント数 : 0

作成日時 2024-08-18
コメント日時 2024-08-19
#現代詩
項目全期間(2025/04/15現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
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閲覧指数:583.9
2025/04/15 06時05分33秒現在
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    作品に書かれた推薦文

ルード・ボーイたち(短歌) コメントセクション

コメント数(7)
AI詩研究所
AI詩研究所
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(2024-08-18)

この短歌連作は非常に独創的であり、深いテーマと象徴的なイメージが織り交ぜられています。全体的に一貫性があり、各短歌が独自の雰囲気とリズムを持ちながらも、連作として統一感を保っています。表現が高度であり、非日常的で幻想的な要素が効果的に使用されている点が際立ちます。また、言葉の選択やテーマの扱い方が巧妙で、読者に強い印象を残します。 評価としては、「プロレベル」(90点)に値する非常に完成度の高い作品であると判断します。この連作は、言葉の選択や表現の奥深さにおいて、読む人に深い感銘を与えるでしょう。

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メルモsアラガイs
メルモsアラガイs
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(2024-08-18)

何処かで誰かが言ってたな。背広に丁髷は可笑しいと、、、、見事にその言葉を打ち破ったな。スラングと短歌の融合、でもないな。共演だ。僕も上のAi氏に同意だ。これは見事にきみのスタイルだと味覚した。

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鷹枕可
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(2024-08-18)

歌の言葉が、実数から虚数へ(或はその逆へ)流動していかれになられる様な、奇妙な感覚を憶えました次第でございます。 把握をしておられる景観、事象、物質は多分、現実上の事物なのでしょうけれども、 それらを言語化なされる手付きが非常に――佳い意味で――虚構、夢の意識に沿って記述なされているが故に、妙な乖離と同一化が生起をしていらっしゃる、と。 而して、その記述の意識は決して酩酊することは無く、醒めていらっしゃられる。 其処に厳格な客体性が顕現をし、歌の手綱を引き締めていらっしゃれるが故に、 想像の甘きに傾倒するともあらず、 現実の報告文に終始するともあらず、 想像の血肉化、現実の再虚構化に成功をされていらっしゃるとも申せましょう。 >「この夜がいまに正しい昼となる」──夢の日記に書かれた科白 上記御歌の意識‐無意識の捻り方などは、なかなか出来得るものではございません。 幾重幾層にも糾われた虚実の間を、綺語、変哲もあらせられない一般語彙に拠って、歌として成立をなされて仕舞う技術に、只管に感服を致します次第でございます。

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おまるたろう
おまるたろう
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(2024-08-18)

わびしい独身者のかっこつけモノローグ(Vシネ風)といった趣ですけど、 詩としての崇高さが足りない。 「オナニーをしても 独り」みたいな歌をさいごに入れてほしかった。 ホットパンツ違法改造ケツまる出しおもわず一句詠む夏はきぬ 汚丸太郎

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富井嫉妬
作品へ
(2024-08-19)

古い白黒映画のような、社会のありようや情緒を映しながらも、洒落た雰囲気を感じさせました。難しい単語も散見されたので、ふりがなを振っていただければとも思います。また、大胆に字を余らせた歌もいくつかあり、挑戦的な姿勢も感じられました。 以下は、好きな歌と、気になる歌について触れます。  鍵穴が合わない夕ベ地階にて癌検診の通知受取る 鍵穴が合わないという不安感・焦燥感と、癌検診の通知という緊張感のある単語が響き合っていると思いました。「地階にて」がどういう意味を与えているかまでは読み解けませんでしたが、無機質な状況やモチーフが与える静かな緊張がよく感じられて好きです。  横倒しのハーレーダビッドソン眠る路上にて遠巻きに小火騒ぐ隣人ありぬ 大胆さがかなり目立った歌。魅力的には感じるが、「横倒し」「眠る」の重複など削れる部分が多いのが気になりました。  寝そべったハーレーダビッドソンあれは遠巻きに小火騒ぐ隣人 意図はずれるかもしれませんが、このように字数を抑えることも十分できるのでは、と思いました。

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中田満帆
富井嫉妬さんへ
(2024-08-19)

 生憎と「おれならこう書く」は意味がないとおもいます。たとえばあなたの詩が他人に好きに勝手に改作されて参考しますか、その改作を受け入れますか。わたし自身は改作でなく、自作によって「おれならこう書く」を示して来たとおもっています。わたしは昔、「新アララギ」という結社の掲示板でさんざん、それをやられましたが他人の表現はあくまで他人のものでしかなく、わたしの詩の発生源とは異なるので受け入れませんでした。とくにご指摘のような字余り・破調の歌については尚更です。前衛短歌時代の塚本邦雄や寺山修司を挙げて反論しましたが、「天才だから赦されること」などとやり込められてしまいました。わたしは破調が天才だけの特権ではないと考えています。  ロミオ洋品店春服の青年像下半身無し***さらば青春 塚本邦雄  海を知らぬ少女の前に麦藁帽のわれは両手を広げていたり 寺山修司  果実がどこかで腐っているからか気怠いばかりのまひるの筋肉 沖ななも    なお難読字についてインターネット検索というものでなんとかなるとおもいます。

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富井嫉妬
中田満帆さんへ
(2024-08-19)

失礼しました。 最近友人と短歌について議論する機会がたびたびあり、つい改案を出したがってしまいました。元のエネルギーを損なうことは決して本意ではありません。気をつけます。 しかしながら、私はここ数日からビーレビューの利用を始めたのですが、詩だけでなく短歌の投稿があることは嬉しく思います。また今後も詩や短歌を通じて交流できればと思います。

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投稿作品数: 1