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或る星の話
凍る右脳 沈黙の左脳 眼前に広がるは知らない街の蜃気楼 心臓だけが現実を激しく捲くし立て 見えざる手がこの首を締め上げる 左右で違う黒い靴 息苦しい熱帯夜 片栗粉を溶かしたような風に煽られ じりじりと熱を帯び火照る身体 握った手すりが掌の温度で溶け出しそう 合皮の捲れた腕時計 たらりと背中を伝う汗でぐっしょりと濡れた服 不愉快に冷えた布は 空想に逃げそうになる意識を 無理矢理地上へ引き摺り下ろす 泥の付いた帆布の鞄 こんな夜中にも蝉は奇声をあげているが なんだか今日は 硝子のコップを上から被せたような 輪郭のぼやけた 変わり映えのしない夏の音 虫の息のライター 天を仰いで吐き出した副流煙は 束の間 天の川になって暗闇に溶けた こんなに心許ない足場じゃ織姫は渡れない 水に流した愛の言葉が見果てぬ夢で終わらぬよう 何度も何度も 夜空に川を流した 青く錆びた真鍮の指輪 黒い画板めがけて吹き付ける水しぶきは川面を這う蒸気霧 染み込みそうで染み込まず ただ揺らめいて 無情に水面をなぞるだけ 唇が震える 川は淙々と流れる 肺の酸素が尽きて真空に藻掻く姿を 蛙が遠くで けらけらと笑っている 静かに弾けた鳳仙花 苦い煙が目に染みる 刹那 彗星が落ちる この頬の細流も 天の川と呼んでいいだろうか
或る星の話 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 561.4
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2024-08-12
コメント日時 2024-08-13
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
音の感覚が優れていると思いました スラスラ読めたな まあ、内容はちょっと普通に感じたな 言葉と言葉の繋がりが弱い感じ 儚さの表現なら やはり弱さと感じてしまうので何か方法が必要かも知れません うーん言葉の密度みたいなものが もっとあればと思いました
1天才だ... わたしは、砂柳さんの作品を読めるだけで嬉しい。
1前回もとても褒めてくださったので、コメントは苦手なのですが、返信させて頂きます。 まだまだ稚拙な文ですが、詩を書く行為は心の身だしなみを整える行為だと思って書いています。人に読んで貰った上に喜んで貰えるなんて、本当に幸せです。ありがとうございます。
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