梅雨の空にも雲が高くかかっている
我々は一株のあぢさゐの許に来て
次期に咲く花々のために
すでに咲き終えた花々を伐っている
最後の色合いに色変わりした怒れる花々を
罪人の我々は
罰の幻を見ながらもそれを振り払って
伐ってゆく
夏の風が吹いてきて
我々のありとしもなき体軀を冷ます
ゴミ袋に次々と入れられる首だけの花々は
抵抗するにもそのための手足や口を持たず
未来のことを考える能力もない
考えるのは我々の役割である
一度花をつけた枝にはもう花をつけさせない
我々は次期に再び美しい花を見たいのだ
我々は確かに罪人で
罰の幻は見慣れている
でもこの小さな悲しい行いの後で
誰かが罰せられることはないだろう
ほら下の方に新芽が出ている
夏の風が吹いてきて吹き過ぎる
空の雲は高いまま
剪定され終えたあぢさゐは
まるい緑の茂みとなってきれいである
作品データ
コメント数 : 4
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作成日時 2024-07-12
コメント日時 2024-07-14
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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2024/11/21 22時51分06秒現在
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一粒の麦もし死なずば......というあれかな? そういえばそうだと小さな気づきがなくもないけど だからなにという感じもなくもないかな。
0コメントありがとうございます。確かに、だからなに? という思いになりますね。本当は最初、写生文を作りたかったんですよ。
0植物の手入れは、ある種の人間的な感情を惹起して、繊細な手触りが、心を擽るものなのかもしれません。剪定作業の見据える将来時制は、植物を美しくするのかもしれません。
0美しいコメントをありがとうございます。植物、ここではあぢさゐ、これは自然のままに生きているのだとずっと思っていました。私にとっての常識でした。ところが先日、「花が咲き終えたから剪定しなければならない」と言う人がありました。私の常識は変更されました。この驚きを書きとめました。自然というものに向き合う人間の行動と感情は破壊的であることも多いけれど、剪定は、どうなのだろう。
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