坊やは千円札を受け取ると
大好きな漫画を買いに行った
帰りに自販機でジュースを買った
蹲る人を見るとつい
助走付きトーキックをしてみたくなる
嗚呼、幼年時の澄み切った邪悪
ありきたりなはなしには
ありきたりなオチが必要なのに
漫画はいつもいいところでおわる
階段の手すりは
絶好の滑り台
空を飛ぶように
横断歩道の白だけを選んで歩く
ワニがすむという池で
見つけたウシガエルの卵
網ですくってベランダに陳列したり
机の引き出しで孵化したカマキリたちは
行き場をなくして
散り散りに死んだ
見る角度によってキラリとひかる石ころ
を帽子付きのどんぐりと
一緒にポッケにしまう
お釣りは好きに使えよ
パンパンになった貯金箱
外国の硬貨と偽物の古銭
しんと静まった部屋
坊やはひとりきり
伸びた爪を気にしている
作品データ
コメント数 : 16
P V 数 : 2078.5
お気に入り数: 3
投票数 : 4
ポイント数 : 0
作成日時 2024-07-05
コメント日時 2024-08-20
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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閲覧指数:2078.5
2024/11/21 23時24分12秒現在
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なんかうまくいえないけれど……不思議な感じがする詩だな……。
1澄み切った邪悪という表現は、うまいし、正しいと思います。子供が邪悪側に寄せる。 大人が引き離す。子供を描く詩は、あまりないと思うので、貴重だと思いました。
1コメントありがとうございます。何かを感じてもらえただけで嬉しいです。
0上手いですな。に2~3繰り返し読むと泣けてくる。 坊やはひとりきり、伸びた爪を気にしている。ここまで読んできて、?ですよね。このオチが上手い。坊やの孤独、寂しさが徐々に露呈されていく。さり気なく最後で余韻を与える。とはこういうことでしょうね。 泣けます。上手い。
1また書き忘れた。 最後のオチは俯く坊やの姿が虚しく読み手には強烈に見えてくる。ということです。いい余韻とはこの様な仕上がりでしょう。 推薦できます賞
1コメントありがとうございます。 子供の頃を思い浮かべながら書きました。
1おもしろかったです。優しくてよい作品だと思いました。
1コメントありがとうございます。泣けてくるというコメントに嬉しくて泣けてきます。余韻を持たせたかったので上手くいってよかったです。
0子供らしさを愛する気持ちを思い出しました。良くも悪くも素朴でピュアな。
1コメントありがとうございます。優しさを感じてもらえて良かったです。
0邪悪さも衝動も澄み切ってる、そういう時期って誰にでもあるよなと、読みながら考えました。 でも執着するものとか、愛着を持つものとかが増えていくにつれて、選ぶことを覚えて、良くも悪くも、少しずつ濁り始めていくような感じ。 もしかしたら、最後に爪を気にしているのも、その過渡期が始まっていく兆しなのかも、なんて考えたりしました。 私は人の詩を読むのって正直苦手なんですが、本作は非常に読みやすかったです。 初読時によく分からなくても、二度三度と読み返してしまいました。 ありがとうございました。
1コメントありがとうございます。子供らしさは常に持っていたいものです。
1良い詩です。 メルモさんも言っているように、「爪」って何なのでしょう。手の先端。千円札を受け取るのも、漫画のページをめくるのも、おそらく卵をつまむのも、手の先端。 爪が伸びるというのは、大人になる、ということなのかもしれないなと思いました。
1コメントありがとうございます。 繰り返し読んでもらえて嬉しいです。 拾ってもらいたいなぁってところ拾って読んでもらえたので良かったです。
0コメントありがとうございます。そうですね、大人になるイメージはあったと思います。
0なんか泣きたくなってくる なぜかはわからない よきポエムじゃ…よきポエムじゃよ…
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