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小田急線
小田急線は樹海を経由する さようなら片瀬江ノ島 海辺の町には人っ子一人いない 朝を追う列車のトイレで 一人の女性が健康な子を産み ラッシーを飲み経済新聞を読む ああ、海は優しいけれども 樹海はもっと光を遮って呉れる 光と闇には鮮やかな色彩がある 月が隣の座席で満ち欠ける あなたの為に生きているのに アナウンスは夜を越えていく 車窓を滑らかに横切っていくのは あなたの死んだ心だけれど、大丈夫、 悼むことが出来るだけの時間はある 小田急線はの乗客は 基本的に多くも少なくもない お線香みたいな匂いがする 一言も口を利かない子供の為に 食パンを恵む 愛とはそういうことだから 地平線へ落ちていく太陽が 車窓からフラッシュのように 何度も焚かれる 小田急線は樹海を経由する あなたが本気で居眠りをする時 真新しい夏の陰りで世界は輝く
小田急線 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 997.3
お気に入り数: 1
投票数 : 3
ポイント数 : 0
作成日時 2024-07-02
コメント日時 2024-07-10
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
東京ですね。
0個人的には神奈川県のイメージです。実家のすぐ近くの川向こうが東京都だったのですが、東京はよく分かりません。 有難うございます。
0いいですね。二連、~朝を追う列車のトイレで一人の女性が健康な子を産み~なんとも刺激的な、というか悲惨な状況、ですが、次、~ラッシーを飲み経済新聞を読む~ああよかった。このことは語り手の想像だったのか。と一安心。何故に小田急線に乗りながらこのような思いで綴られるのか。そのことを示唆するのは~あなた。~あなたの為に生きているのに~あなたの死んだ心だけれど~。むむ、これはあなたに対する相当に根の深い恨み節。絡めて~樹海を経由する。そして月の満ち欠けなど、妊娠や出産または堕胎、に関与した死の匂いに誘われてしまう。不幸な出来事を思い浮かべてしまいますね。それが小田急線なのか?といえばわたしは想像します。つまりこの語り手はあなた、小田急線に乗る(あなた)を思い語らせているのです。これ二連などは意味内容を掴まないと過激なだけだと受け取られてしまう心配もなきにしもあらず。笑。まあいい出来の詩だとは思いますが、べつに小田急線や乗客自体に責任があるわけでもなく。この少し裏日れた気持ちを和らげる表現があってもいいのではないか。とも感じました。
0そもそも「樹海」が、自殺の名所として有名なあの樹海をイメージしています。 寝ている間に樹海を通り過ぎていく。何度も死の淵を越えながら誰もそれを知らない。 死者を乗せる終電なんて怪談もありますが、目を瞑っているだけで気付いていないか、 そこが死者の国だと知りながら美しいと感じることを認めざるを得ない。 うらびれた、そんな言葉が似合うのはむしろ南武線ですかねぇ。 電車が好きな訳ではないのですが、乗っている時間が長かったので、思い入れがあるんでしょうね。 ちょっとくたびれた感じがあるのはなんとなく分かります。
0> 地平線へ落ちていく太陽が 車窓からフラッシュのように 何度も焚かれる 情景を巧みに言葉に置き換えていらして、ここを何度も読み返しました。わたしの友人に、小田急線ユーザー(毎日片道二時間乗っていた女性)がいて、ひとり居眠りをする過去の彼女の姿が、もちろん幻なのですが、浮かんでくる気がしました。線香、樹海など死の匂いのするものと、健康な子どもや海など、対比が光っていて、それらをつなぐ小田急線という存在。とても良いものを読ませていただきました。
0心から美しいと思えるものに出会えるようになったら、 その人はもう愛に依存しなくてすむのかもしれません。 それを伝えるためには、言葉はほとんど無力に等しくて、 ただ、見えるようになる人もいると言うしかないのです。 本当はもっと何か大事なことを話すべきなのでしょうが、 私には、「夕陽が眩しい」としか書けないのが残念です。
0樹海を経由するということは富士山の事であろうかと思いました。地平線へ落ちていく太陽を何度も焚かれるフラッシュのように描写したのはいい譬えだと思いました。
0樹海であればどこでもいいので、架空の場所ですね。誰も知らないけどある場所、という。 有難うございます。
0小田急線が樹海を経由するっていう発想がよかったで。小田急線、片瀬江ノ島って音がいいですよね。あと海沿いだから夏にも馴染む。と言いながら、ふと、小田急線って全国的にどれくらい知られてるのかなと思いました。
0どこかも分からない路線の名前をタイトルにするのも、楽しいかな、と。何度度死のうと思ったか分からない人達が、乗っては降りて、それぞれの人生を歩んでいるんだと思うと、路線名が愛おしくなります。
0好きすぎて、なんでこの詩好きなんだろう?と考えてみると、私も「乗り物」と「生死」を結びつける作品を書いている身として、潜在意識的に好物だと思ったのだと。素晴らしい作品だと思います。 コメント欄にある「寝ている間に樹海を通り過ぎていく。何度も死の淵を越えながら誰もそれを知らない。」という考え、とても好きです。これのおかげでより詩の解像度が上がりました。 好きな表現は、たとえば第四連は全行刺さりますし、「車窓を滑らかに横切っていくのは/あなたの死んだ心」、「お線香みたいな匂いがする」乗客、第八連、第九連なんかはこの上ない締め方だと思います。 もっと考察をして踏み込みたいのですが、「好き」という感情が先行して詩を覆っていて、なかなかできない。言い訳すみません。 ただ、このテーマを扱うという姿勢には強く共感します。生活に溶け込むようになった技術と死生観。それに今一度向き合え、という、そこまで強い訴えじゃないかもしれませんが、私は読んでいて背筋がピンとします。
0元々乗り物でどこかへ運ばれるのが好きで、 ずっと窓から外を眺めていることが多かったです。 外に何があるのかに集中できて、楽しいです。守られている感覚があって。 熊倉ミハイさんも乗り物の詩を書かれるんですね。探してみます。(気まぐれに飛ばし読みする癖があるので) いつか満員電車も過去の出来事になる日が来るのでしょうか。 誰も線路に飛び込もうとしなくなる日が来るでしょうか。 コメント有難うございます。
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