店を出ると
暗い街に捕らわれた心地がして
家からこんなにも離れたことを
後悔した
帰ろう
幹線道路沿いを
ずっとずっと真っ直ぐ
それで家に着く
熱気と湿っ気が肌に迫って
節々から染み込む
ペダルを踏みしめ
滑って腹部に緊張が走る
早く 早く 帰らなくては
平らに見えた道が
通り過ぎると 突き上がり
がくんと衝撃を与えて私を振り落とそうとする
左から迫る植え込みの
ちりぢりとした葉を払うと
つゆが首筋に降りかかった
何かに追われるように赤信号を渡る
また 後悔する
見知った地名をてきとうに文字ったような単語が
高架下の掲示板で黄橙色に光る
始めから方角を間違えたのだろうか
小雨だ
母から借りてきたシャツに
濃いシミがまだらに増えていく
袖を濡らす雨は
思いの外暖かい
目を上げると
ふっと
見慣れた床屋が前方に立ち現れた
作品データ
コメント数 : 11
P V 数 : 728.6
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2024-06-24
コメント日時 2024-06-26
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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閲覧指数:728.6
2024/11/21 23時35分27秒現在
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暗闇の恐怖、熱気の不快感、段差の衝撃。つゆが首元に落ちる驚き。赤信号を渡る後悔。不安感を演出するように、うまくかけていると思うのだけど、なにかあじけない。あえて極力書かずに挑んでいることはわかるのだけど。なにかもったいない。多分最初の店ということばだけであらわされる、おつかいかなにか。も、この登場人物のすがたかたちも。どちらもないから読み手の心に届かない残らない、そんな気がします。すべてを書く必要はないけれども。
1コメントありがとうございます なるほど、「私」目線で語っていますが「私」を見る客観的な視点が欠けているから前提としている状況が読み手に伝わらなくなってしまっているということでしょうか。対象物がなくて主体自身の側から詩を書くのは独りよがりになりがちで難しいなあと思います。
0私目線で書くとしても、たとえば買い物かごでも、チャリに乗るときにスカートが引っかかるとか、そういう小道具的なものがあると違うと思う。不安感を演出するにしても、一文だけでは深く刺さる前にすぐ通り過ぎてしまう感じがしました。たとえば、驚いたら声を出す、赤信号ならチャイムが鳴るよね。オノマトペぐらいなら、違和感なく入れられるような気がしたな
1具体的なアドバイスありがとうございます 「私」の様子を伝える方法、参考にさせていただきます。演出について、いくつか不安感の原因となる状況説明を入れることもできたのですが、入れると途端に雰囲気が崩れてしまってできませんでした。感情をそのまま書くのが好きで嘘の演出を入れるといかにもなしらけた感じになって上手くいかないので、試行錯誤していこうと思います。少なくとも五感はもっと使えたな、と思いました。
1完結している詩というよりこれから何かが始まる予感のする物語の導入のように読めました。小雨のくだりの表現が、借り物への執着を感じられて、すきです。
1コメントありがとうございます 表現が「好きだ」と言われるのは1番率直な感じがして嬉しく思います。物語の導入のようだ、と仰ってくださいましたが、日常の体験だけれど、ファンタジーの入り口のような、そんな雰囲気は意識して書きました。
0店を出ると~見慣れた床屋が前方に立ち現れた。は?、ひょっとして幻想?お店とは床屋?この尻切れトンボは結局白昼夢だったのじゃ?にしては~早く、早く、帰らなくては~何かに追われるように赤信号を渡る~また後悔する。ズルズル。動機も何もわからずに尻切れトンボは尻切れたままに、ああ、なんだよこれ、ですね。「家」昔みた映画にトワイライト.ゾーンというのがあって(テレビのシリーズ化にもなってる)おねーさんが車運転中に少年と遭遇して、どういう経緯か細かいことは忘れましたけどね、その少年の家に招待されて出てきた家族は妙に丁寧で親切に迎えてくれるのね。しかし実はこの少年は超能力者で気に入らない者(モノ)をなんでもアニメ化しちゃうという、その能力に家族たちは怯えていたのです。不機嫌なことがあると家族たちはアニメの世界へ連れていかれ、おねーさんはその少年の正体を知ると、って最後は忘れちゃったけど、まあ正常な世界に帰るんだろうな。くらいの空覚えですが、作者様のコメント曰く。嘘の演出を入れると、如何にも~ファンタジーの入り口へ~うん?嘘じゃなかったんだ。なら、いまからファンタジーの世界(幻想へ突入するのですか。何のことやらわかりませんです。 実話にせよファンタジーにせよサスペンスにせよ、兎にも角にもわたしという語り手を中心に始まる物語には、その動機があるからでしょう。~早く、早く、帰らなくては~何かに追われるように~一番肝心なテーマですよ。ここは。というコメンテーターは古いドラマを持ち出したりして糞害だよ。ということで〆たいと思います。
1コメントありがとうございます 店は何と解釈してくださっても良いですが本当は焼肉屋です。主人公の動機を省いてしまって、確かに説得力に欠ける詩になってしまいました。動機を省略したのは上手く入らなかったという理由ともう一つ、以前投稿した詩でこの前進する衝動自体を書いたものがあって、次は詩の雰囲気から読み手に伝わらせてみようという意図もありました。あと、全然害だとは思わないです。またコメントお願いします。
0その焼肉屋が要らないから書かなかったのだろうから、店ではなくて外でよかったのではないだろうか。不安感は店からでなくても外に出たことによって引き起こされたのだから。伝わるために何が必要でなにが不必要かを考えるといい。
1記述が丁寧で印象が良い。頭の良い人の書く文章であると思った。抽象にから回っているので、具体に足をつけて描写したほうが良いかもしれないし、この観念的な描写が持ち味かもしれない。分からない。
1遠出の記憶がシリアスさを纏っていると思いました。見慣れた床屋が象徴的ですね。日暮れて道遠しではないですが、自転車の上の子は、何か不安か葛藤と戦っているに違いないと思いました。
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