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波うつ胸へ沈む船が、
英子おばさんの胸を破って、無数のレオが現れる、 三等船室でこの上なく楽しくポルカを踊り、 憂鬱の種をめざとく見つけだして、死を迎えるロミオが、 パイロットの制服を着て、離陸の瞬間に肩の高さで両手を伸ばす、 英子おばさんのひだり手の薬指には、長年つけてきた指環のへこみがあり、それをつけてやろうと、 彼女の胸の前で、蝶々結びにされていた両手の指を、わたしが一本ずつほどくたび、新しいレオがあらわれては、病室を歩き始める、 狭い病室を歩くことに倦んだレオ(のうちひとり)は、廊下へ出て、患者たちが食事を食べるテーブルまであるき、そこにずらりと並んだ、 フォーク、フォーク、フォーク ナイフ、ナイフ、ナイフ の群れを見つけると、小さな声で隣に座った老女へ、どちらから使えばいいの、と尋ねている、 レオ、戻ってきて、おばさんが死んじゃう! これ以上のレオの流出は、命にかかわるというのに、英子おばさんの指をほどききってやることへのわたしの執念はとどまることを知らなくて、また新たなレオが、 昔の恋人を忘れられずに、ずぶ濡れであらわれて、病室をぐっしょりさせた、 (レオ、レオ、レオ!) 英子おばさんの胸は波うち、タイタニックが沈んでいくにふさわしいようなつめたい肌になる、 わたしにできることは、気を不確かにすることしかなくて、一心不乱に彼女の指をほどき続けているうちに、【終幕】 (Leonardo Wilhelm DiCaprio) と刻まれた指環が金庫の中で、唯一の現実として存在している、
波うつ胸へ沈む船が、 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1477.1
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2024-06-02
コメント日時 2024-07-03
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
正直、前作はモチーフというか題材に対して手に余っていたというか まだ書ける状態ではなかった様な感じだったけど、今回はまぁ消化はしている書けるんだけど切り口の問題と言うか 書ける題材を書くべきだしもっと言えば書けない領域を意識する意識できる事が書くことの本質に近づく道だと思うので今回の場合は見せ方よね ちょっと表現方法が今風ではない気がしたな、形式的と言うか しかしハツさんの中ではこの題材は恐らく腑に落ちているんだろうなとも思う、書けるものを書くと言うのは 空手で言う正拳突きみたいなもので結局突き詰めればこれが必殺になると言うか、その手応えは感じました
1イメージとしてすごくわかるんだけど、どうしてもレオ様がいっぱいいる姿が見えてしまうので、おもしろくなってしまってしょうがない。そういう部分に引っかかってしまって、もうしわけないが うまく心に入ってこなくなる
1吸収さん、コメントありがとうございます。正拳突きで音を置き去りにするしかないですね。(おっしゃってる内容なんとなくわかってます。これからもがんばります!いつもコメントありがとうございます!)
0A・O・Iさん、コメントありがとうございます。レオ様は何人いてもいいですからね、と思ってましたが、情景としてシュールすぎましたね。客観的なコメントありがたいです。いつも学びをありがとうございます!
0現代風にシュルを記述する、とこうなるのかと。 増殖するディカプリオがまるでキャンベルスープのラベルの様。文明諷刺も利いて居り、とても愉しく拝読をさせて頂きました。 英子おばさん(存在感)。
1鷹枕可さん、コメントありがとうございます。愉しく読んでくださったとのこと、ウレシイです!頂いたコメント読んでフフフとなりました。コメントありがとうございました!
1描写や比喩、説明的な記述を極力少なめていくことで、“読む”から“見る”というスイッチに切り替わり、頭の中で映像化されていくような感じがありました。それは、書き手と読み手の距離を縮める描き方というよりも、映画館でスクリーンを眺めているような、観客とスクリーンとの間に、一定の距離が挟まれた状態に似ていると思いました。前衛作品を鑑賞した後の気持に似ているかもしれません。最近読ませて頂いた作品とはまた作風が違っていますね、あるいは試験的に書かれた作品かもしれない、とそんなことがふと頭をよぎりました。
1>英子おばさんの胸を破って、無数のレオが現れる、 この絵面はどちらかというとタイタニックというよりエイリアン。ゼッケンです、ハツさん、こんにちは。 >新しいレオがあらわれては、病室を歩き始める、 大勢のレオ。マルコビッチの穴っぽい。 レオ映画のオマージュにハツさんの映画体験もそれとなく混じってるのかな、と想像するのも楽しい。 で、英子おばさんの臨終の際にレオナルド ディカプリオが大量発生するというシュールな場面設定は、英子おばさんだったらそれを不謹慎とは言わないというハツさんの確信が感じられて、素敵な関係だったんだなと思う。架空の人物(もしくはハツさん自身)かもしれないけど、そう感じさせる作品で読後感が良い。こういう垢ぬけた信頼関係ってやっぱ憧れです。 >指環が金庫の中で、唯一の現実として存在している、 「金庫の中」の指環はタイタニックのブルーダイヤに当たるんでしょうけど、「唯一の現実」というワードに最後の「、」がいつまでも終わらない感出してるので、インセプションなんだろうな、「一心不乱に彼女の指をほどき続けている」のが夢だったらいいのにな、という喪失感の深さに泣かされました。
2文面と流れ(勢い?)でとてもおもしろく読ませていただきました。ありがとうございます。
1英子おばさんのレオへの気持ちがとにかく溢れ出ている、そんな素晴らしい作品だと感じました。
1コメント頂いたみなさま、ありがとうございます。今、言葉を考えて書くという行為がとてもハードルの高いことに私自身のなかでなっていて、コメント返信が出来そうにありません。何度か試みたのですが、駄目でした。コメントは拝読しました、ありがとうございます。フリーライドで申し訳ない。
11.5Aさん、コメントありがとうございます。 >あるいは試験的に書かれた作品かもしれない、 そのような感じです。下書きを小説風に書いて、何度も書き直してこの形にしました。いつもコメントありがとうございます、励みになります。
1ゼッケンさん、コメントありがとうございます。 >>英子おばさんの胸を破って、無数のレオが現れる、 >この絵面はどちらかというとタイタニックというよりエイリアン。 笑っちゃいましたけど、たしかに……。イメージを共有できてなくてグロになっちゃってますね。推敲の時に、自分を通さずに読めるといいんですがね。無理か。 コメントが、わたしの書いた本文よりはるかにアツくて悔しい。がんばります。コメントありがとうございました。
0佐々木春さん、コメントありがとうございます。 前向きになれるコメントありがとうございます。佐々木さんの作品いつも読んでます!コメントできなくて歯がゆいのですが。コメントありがとうございました!
0田代ひなのさん、コメントありがとうございます。 >英子おばさんのレオへの気持ちがとにかく溢れ出ている、 それが書きたかったので、嬉しいです、ありがとうございます。コメントありがとうございました!
1えっディカプリオだったんだ 笑 いちおうググったらディカプリオの顔が出てきて笑ってしまった 深刻さともしかしてそれギャグなのかというシュールな感じが合わさってすごいことになってるなと 不思議な読み味 メロンに醤油でウニみたいな
1天才詩人2さん、コメントありがとうございます。プリンに醤油でウニかもです笑 いやメロンと醤油のマリアージュもありなのか?!コメントありがとうございました。
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