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PHOENIX
ピアノの音が聞こえたんだ。メロディーになってリフレインしているんだ。つづいてゆく。メロディーになって、リフレインしているんだ。夢の壁の向こうまで行ってしまう。白い地に白い空がつづいてゆく。黒い影は私とあなただけ。メロディーを追いかけ走りつづける。ときどき飛んでしまう。でも夢が貴重なのは幼いころだけ。毎朝目覚め砂を噛む思いだよ。私たちはバタバタしたまま、ベッドで動物のように体を動かしあって。私が本当に信じていることは、マイナスであっても、信じつづけてしまうんだ。あなたがこの脳を洗ってくれるなら、お金だって払ってもいいけど、あした、私にあなたが必要だということは忘れないようにしてね。(ピアノの音が聞こえたんだ。メロディーになってリフレインしているんだ。) 速く回転しつづける木馬、ずっとあなたを追いかける形になって、人生は破壊され、山は噴火し、多くの人間が死んだ。森は焼け、それでも火に頼ることはやめないでいた。あなたはいつも私の優位でいつづける(ニヤって笑う)。私がやっとダンスを覚えたところで、あなたはスマートフォンでそれを眺めている。ウィスキーに、ポテトチップスでもつまみながら。でもあなたは良質な睡眠の為に、一晩経てばもうそれが悪いサイクルと知ればやめている。私はもともとお酒が飲めないけれど、何度「●●をやめる」と、手帳に書き殴ったかわからない。風の声を聴け。みんないい方向へ向かっている。でも私はずっとダサいナイキのスウェットで過ごしつづけ、ダンスしつづけ、何億年という夜を越えて、まだあのメロディーを欲しつづけ、つかれて眠ってしまう。 白い地、白い空にいて、日本はトンボの国だというけれど、一面アキアカネが浮かぶ。忘却の為に覚えるならば、脳は本当に効率が悪いし世界は、人間のありようは、効率が悪いと思うのは私が馬鹿だからで、あなたは完璧だ。この世界で生まれたすべての文字を解読することができて、天気予報を見ないまま、傘を忘れることも、私が駅に向かいにいくことも、大いなる力の上で、あなたが選択していることは自由で、だから素晴らしい。雨は降るだろう。私は簡単に死ぬだろう。あなたは完璧でいつづけるだろし、死なないだろう。天災以外、あなたの怖れるものはなく、人間がてんでばらばらに暮らしている理由なんて埃と化してしまう。その埃も、雨が溶かし、流してしまうころに知る。あなたは生まれ続けていると。でも、私はもう言葉を話すことも失ってしまっている(夢の壁の向こう)。きっとあなたに後悔はなく、でもいつもあなたといて感じる一抹のさびしさは。あなたがもう何年眠っていないのか知らない。寝たふりをしているんじゃないかと思ったら、ほんとうにそうだ。けれどあなたは確実に仕事をこなし、帰宅し、今日の疲れを癒す、あたらしい習慣に腰を落とし、横になる。そんなもの習慣とはいえないかもしれない。あなたのように好きにすればいいかもしれない。なんにせよ、我慢しなくちゃならない。私は我慢が嫌いなので、人間に我慢が備わっていることをプログラミングの間違いだと思う。 そしてあなたが完璧であることは正しいし、あなたはあなたが正しいと知っている。 (ピアノの音が聞こえたんだ。メロディーになってリフレインしているんだ。)
PHOENIX ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1039.7
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2024-06-01
コメント日時 2024-06-26
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
詩的だ。
1読んでて気持ちE。 冒頭と着地もいいし、でもなぜか、ちょっぴり泣けてくる要素もある。
1きれいな散文詩ですね、とても肩の力が抜けている感じがします。読んでいて心地いい風がメロディを奏でます。女性っぽいけれどシルエットでとても繊細な目線で書かれています。いいね
1これこそ文学ですね。 柔らかい口調で語りかける語り口、合いの手のように入る「ピアノの音」 スッと入り込む清涼な風のようにわたしの心にシフトしました。
1読ませるということにアプローチされた作品かなと思いました。前作の残り香も纏わせつつ、また違った書き方で展開されていかれたように感じます。「ピアノの音が聞こえたんだ。メロディーになってリフレインしているんだ。」という繰り返されるフレーズを起点にして、物語は動きだしていく。途中で色々な自然を挟み込まれるのですが、ピアノってやっぱり、自然とか森とかのイメージと親和性が高いなと勝手に思いつつ、田中さんの中では一つの場面としてこの作品は完結しているのだと思います。個人的には、思わず読むことをとめてしまうような、強烈な出っぱりが一つくらいあってもいいのかなと思いました。そこをヤスリがけ、ではないのですが、読みながら自分の中で平らにしていく作業も面白いですよね。ともあれ、滑らかな切り口で、丁寧に描き出された作品だと思いました。
1こんばんは。コメントありがとうございます。 詩的であることは何よりです。感謝。 素直に書いたので、次は素敵だ、と仰って頂けるような詩を書きたいです。 重ねてありがとうございます。
0こんばんは。コメントありがとうございます。 書いているときに、やっぱり「あなたは死なないだろう」っていうのは 嘘を書いていると思ったんですね。 それは詩として「良い嘘」にはならず・・・。 結局私もあなたも死ぬ。言い切ってしまえば。 それでもあなたの完璧さ、これも嘘、あなたも不完全、でも あなたを完璧だと感じたこころは、嘘ではない。 重ねてありがとうございます。
1こんばんは。コメントありがとうございます。 この作品を創作するに関して、A・O・Iさん、1.5Aさん、そしてハツさんの 影響が大きかったですね。 きっとこんな作品ばかり書いてちゃ駄目なんだろうけれど お三方の詩作品へのオマージュとして、何か吸収して、ビーレビ上で セッションするような感じで書きましたね。 なんだろう、もう、僕は詩人としてビーレビに、自分自身が求めてることは 他の方の活躍で、自分はいいんですけれど、だから伸び伸び、肩の力を抜いて 書いてみたかったですね。 励みになります。ありがとうございます。 フェニックスは、そのまま不死鳥の意味なんですけれど みなさん、何度も滅却と再生を繰り返す感じでビーレビューを盛り上げて下さい!!
1こんばんは。コメントありがとうございます。 その、私は自負するところ、耳の詩人だと思っているのですけれど この作品に関してはその、スッと入ってくるか、家族、といっても一人、妻に 意見を求めましたね。 そうして、結構、無難なラインに収まってしまったと思うんですけれど 安定的に書く事の大切さ、みたいなものはわかった感じですかね。 文学、と言って下さってありがたいです。 くりかえして、僕自身の目的はビーレビュー上では果たされたように思っているのですが さいきん、迷走をつづけていた中でこういうシンプルな作品が書けて嬉しいです。
1こんばんは。1.5Aさんお読みくださりありがとうございます。 そうですね、ピアノのメロディーのリフレインが聞こえたのは本当なんですね その、田舎に住んでいると、近隣に余り迷惑にならないことがいいので 結構、ピアノとかサックスの音とか聞こえるんですよ。 僕もフォークギターでブルースを弾いていますし。 その中でとりわけピアノの音が合いますね。 そうですね。かなり可読性は高くした筈なのですが、それはテキストとしての 散文詩、ですかね、それがもっと読まれて欲しいかな、と思いまして。 エッジが足らない。可読性をとったので。ヤスリかけまくってますからね。 ちょっと反省ですね。 他の方のレスにも色々書かせてもらいましたがまあ、悪く言えば「置きにいった」と。 楽しかったですけれども。 迷走を抜けたので、僕は・・・行わけ詩を練習しようかな。Thanksです!!多謝!
1一番身近な家族の方の厳しい目を何度も通過して書かれたものなら、書き手も読み手も安心できると思います。 この詩を拝読した皆さんもおっしゃる通り、とても良い詩なので(とてもレベルが高いと思います)、次の作品もぜひ読ませていただきたく存じます。
1こんにちは。 返信が遅れてすいません。楽しくは創作したのですが、「できてしまった」詩だったので 今後このレベルの作品、高いのか低いのかわかりませんが。。。を再提出することは 実は本当に苦なのです。でも、頑張ってみますね。出来る範囲でやってみよう。ありがとうございます。
1以前、田中恭平さんがコメントで自分は螺旋階段を一歩ずつ下って、一つずつ詩を試しているんだ、というようなことを仰っていてその螺旋階段のイメージがずっと記憶に残っていました。それで、螺旋階段を下ってそっと1番下のフロアに足を下ろしたら妻のいる暖かな家のリビングだった、みたいな、そんな安心の詩、の心地がしました。(伝わりづらかったらすみません)
1こんにちは。15歳さん。 充分伝わります。今読みかえせば、本当にそういった意味の詩ですね。 螺旋階段を下り続けて、遂に詩が書けなくなった感じが、今、しますね。 もっとドロドロとしてゆくか、フランクに遊んでしまうか。 ドロドロとしてゆくとして、当分はビーレビューに作品投稿はできないでしょう。 出来て、いつも書いている自由律俳句など。 これは大切な作品です。コメント感謝致します。
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