拾った言葉の廃材でロの字をつなげて、
梯子を作る職人の帽子が、
星に接吻をした時である
双子座がほろほろと羽毛に崩れて、
北へ南へ鳥になって飛び立ち始めた
その時はまだ、銀河も散歩をするのだ
と呑気に草腹を撫でていたものだ
私の腫瘍の塔が電波を受信して、
百獣の影が入れられた檻の南京錠が
震え出す
眠りが激しく私を殴った
職人の梯子の下に生えた松明を一本持ち出し、
空の舟に撃ち落とされた鳥の雨を避けながら、
私は慌てて走る
海溝から獣たちが、
バネをつかって跳ねる夜
獅子は光線 鯨のオーボエ
炎猿の径 羊の凱旋
鋏状に方舟をめざして、
私の頭上を齧り去っていく
私は飛び散る魂の反吐を回収する、
壊れたメトロノームの一人
きっと事態を予測していたであろう、
旅人のいる宿屋へと向かう
彼は世界が一枚の葉になる日を、
世界がほどけ踊る日を危惧していた
彼はすでに旅立っていた
一〇二号室の伽藍堂の壁に、
私は持って来た魂を刷り込んで泣く
ぽとぽと落ちて、白い餅のようになって、
私の足の爪についた
ベルが鳴る
君を、待っていたんだ
海と空の核融合を止めに行こう
窓の向こう、
スコールのように引き裂かれる夜空の中に、
百獣の粒が吸い込まれた
「浄夜」が始まる
作品データ
コメント数 : 15
P V 数 : 933.8
お気に入り数: 1
投票数 : 3
ポイント数 : 0
作成日時 2024-05-20
コメント日時 2024-05-22
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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閲覧指数:933.8
2024/11/21 22時29分56秒現在
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さいきんずっと吉増の詩のすごさをなぜ自分がわかれないのかと思って悲しかったですが、あなたの詩を見てすこし慰みました。ありがとう。
1相変わらず飛躍した暗喩だ 物騒な感じも見えたけど、まあわからんことにする。読み解かせたいものではないだろうし、わからないことがオモシロイのだからそういうことだ。さて、読み手はこれに対しどう興味を持てるのか、その鉤爪ぐらいは初めに欲しいもの。どこを鍵にしようとおもうが、まあラストらへんが意味として取れるのだろうから、そうすると前半を照らし合わせるかというとそんなこともなくて。作者の中で意味はあるだろうけど、読めなきゃ意味がないものだし、読み手がいなければモノとして意味がない。作者はどこまでも構築できるけど、読み手を意識するという制限を設けることによって、新たな思考が開けるかも知れません。なにか煮詰まってしまった印象を持ちます。
1内的体験を伝えようとする熊倉さんが、美しい心で美しい詩を作られ、世界の淨夜を祈られたことが、 とても私には嬉しいです。正直言って、こんなに急速に成長されるとは思っていませんでしたが、 可能性はまだどんどん増えて行きますね。現実とロマンとは、密接につながっており、人の祈った ことが本当になる、というのは、本当にならないことより、可能性がより高いと思います。 だから、良い祈りを人々は求めるでしょう。全ての死人に代わって、愛しているって言ってくれ。
1御息さん、コメントありがとうございます。 とても含みのある言葉ですが、表面的に受け取らさせていただきます。ありがとうございます。吉増さんは初期作品から読んで、足跡を丁寧に辿らないといけない詩人の一人だと思います。(誰でもそうなのでしょうが、彼は特に……) 僕はまあまあ好きです。去年の現代詩手帖12月号に載っていた「光」とか、面白かったです。
0A・O・Iさん、コメント、ありがとうございます。やはり噛みついてこられましたね。ちょっと前に「推敲」をテーマに議論したいとコメントした詩を取り止め、こちらの詩を投稿させていただきました。 「T RAIN」の時のコメントのようなA・O・Iさんより、今回みたいなのが良いと思ったからです。 読み手、読み手、読み手……今思うと、私には根本的にその考えがないですね。もちろん、自分という読み手もいないです。何も手元に素材を置かずに、手と脳だけで、読み手をしかと想像して書き上げたものでいえば、最近だと「針園(はりぞの)」くらいで、それ以外は必ず手元に自分の好きな詩たち(もしくは他の媒体作品)を並べて、それを見ながら書いているスタイルです。今は私はそういう詩人です。おそらく当分これからも。 要は過去の詩人たちとの対話を一番に意識しています。そのインタビューから得た表現や世界観を、自分なりに身に付けていこうとする段階を、そのまま見せている作風です。読み手を意識するよりも前に、創造行為に紡がれてきた文化・伝統をみつめています。故に、何が鉤爪になっているのかが分からない時があるのかもしれません。それは、要素を詰め込みすぎてフラットになって、強調したいテーマが現れない、もしくは現代に今さら持ち込んで面白いモチーフや表現なのか?それは?と思われたり。(過去作で散々議論に出たことですね……) やはりラグがありますね。この詩は半年前ほどに書いたものなので、A・O・Iさんの指摘に痛いなあそうだよなあと思っています。かといって、現在その壁に上手く立ち向かえているかは自信ありません。のちのち載せていくので、首を長くしてお待ちいただけると嬉しいです。 最後に、他の方を見ると黒髪さんは浄夜とかに着目してますね。肯定的に捉えられていますが、A・O・Iさんの「物騒な感じも見えた」という感情も分かります。ぼかしている部分です。 ただこれも、A・O・Iさんの見てきた景色、経験から言えば、その展開や表現は鉤爪としては弱く映っているのでしょう。ありきたりなんだなと。もしよろしければ、詩や詩人、もしくはこの世界を見て欲しいとリクエストがあれば、私はAIのように吸い付いていきます。淫らに交わります。そうして得たものから、知的好奇心をくすぐる一作をお届けしたい、そういうスタンスで居たいです。
0黒髪さん、コメントありがとうございます。 急速な成長、内的体験などなど、私はまだ未熟なもので、とても身に余ります。 人々の心を背負おうという決意はあります。過去、今、未来を生きる人たちの声をゆっくりと、パンクしないペースで掴んでいきたいですね。 ありがとうございます。
1ん?なんじゃあこりゃあ、でとてもコメントなんてできんわ。とか思ってたのですが、百獣の~とか、彼は世界が一枚の葉になる日を、世界がほどけ踊る日を危惧していた。とか、終わりの方には~海と空の核融合を止めに行こう。などなど気になる文句がある。そこでもう一度読んでみるわけですが、うん?こりゃ以前、やはりわけわからん読みづらいの途中で止めたハーラン.エリスンじゃないか「世界の中心で愛を叫んだけもの」じゃないか?と思えてきたわけです。僕は知らなかったけど、このタイトルはTV版エヴァンゲリオンの最終話のサブタイトルで使われたようですね。百獣の~そういえばおどろおどろしい怪物のような獣たち。狂気に奔るのか、と思えば終わりの方では求愛的な行動を促す話。なんだか創世記の箱舟が時空を超えたかのような物語。似てますよね。これは人類の狂気から排出される善と悪の意識人。それはとうとう生き物の姿をも想像上の怪物に変えてしまったわけです。この世界が齎すものは結局愛か狂気なのか。我々人類の決断はその最終局面にあるのではないだろうか、と。 熊倉さんのわけわからん作品。しかし読み取りづらくともそこには何かしらの意味がある。と思わなければならないのか。 うらやましい才能だな、と思う。
1こっちの方向性が、熊倉ミハイさんには合っているのかもなと思ったですね。個人的には、やっとオーラの属性が見えてきた。急速に成長~とコメントにあるが、(その通りと思うし)わたしなりの言い方だと、「この人はこっちなんだな」と腑に落ちたというか。自分たちより「近い」存在ではなく「遠い」存在になった方が輝くというか。
1静謐な描写に書き手の誠実さがよく表れていると思います。丁寧に構築されていくイメージはロの字を繋げて作る梯子みたいですね。 てことは、梯子職人ってそれこそ詩人のことなんじゃないかなと思えてきます。詩って梯子で私達を銀河まで案内しないといけないものなのかもしれないなあ…と。銀河までつまずかせないとなると相当な腕が必要になってくるでしょうかね。
1わたしは詩を読むときに内容はあまり重視してなくて(もうしわけない)その構造的なものに惹かれるわけです。なのでこれは内容を解くことではなくて、とくに作者がどれだけ趣向を凝らしたかを見ているというか、楽しませていただいております。これで充分目を引くのですが、知的好奇心をくすぐるものではない。内容を読み解くには鉤爪の獰猛さが見えず、多分こう読むよね、となんとなく流してしまう。ことば的センスでいえばオモシロイで終わってしまうとおもえました。それを打破するには、という意味で読み手を引き合いに出しました。 その貪欲に喰らっていく姿勢羨ましく素敵です。詩人とかあまり興味ないのでなにもおすすめできるものがなくてすいません。ネット上で人間観察しているのが楽しいだけの私なので、いまはこの場で噛みつくのがオモシロイですw(本人は噛み付いてる気持ちはないのですが(*_*;
1メルモさん、コメントありがとうございます。 「創世記の箱舟が時空を超えたかのような物語」 うっすらとしていた、この詩を書いた当時の想いを思い出せました。それに似たイメージです。世界を愛か狂気どちらで切り開くか、とても気になるテーマですね。 ちなみに、エヴァに関しては全くの偶然ですね(笑)あまりまじまじと観てなかったので、これを機に観てみようかな…… ありがとうございます。
0おまるたろうさん、コメントありがとうございます。 「「近い」存在ではなく「遠い」存在になった方が輝く」 なるほど……これは嬉しい反面、今は少し「近い」作品に挑戦しているので、複雑な気持ちです。どちらも得意になりたいですが、軸は「遠さ」の方に持つ方がいいかもしれないですね。ありがとうございます。
0ぺえ太さん、コメントありがとうございます。 「梯子職人ってそれこそ詩人のことなんじゃないか」 確かに、詩人のみならず、文芸全般の担い手がこの梯子職人でしょうね。でも、そういう「皆が上れるような、分かりやすい」梯子を、ゆっくりと作り上げてたら世界の異変に対応できない、と思うんですよね。だからこそ「私」は「旅人」を頼ったんだと思います。真の詩人なら、と信じたんでしょうね。それなら、最後に出てくる「君」は、何者でしょうか……。 面白い指摘、ありがとうございます。
1返信ありがとうございます。 A・O・Iさんは私よりもドライに詩を見てますね……。私は部分部分が良ければ良いと思っちゃうので、作品の俯瞰は二の次だったり。いや、本当はどっちがドライなんでしょう。そもそも、その言葉が適切じゃないかもですね……どちらを大切にしてるか、ということですかね。 読み手の意識、まだ感覚が掴めないしまだ掴む時期ではないと逃げています。白状すると、エネルギーがやはり要るので……。徐々に頑張ります。ありがとうございます。
0自分的に詩を書くときに大切にしてるのは世界観、イメージ、それを一篇の枠組みにきれいに収めることですね。あと前コメの書き方だと構造しかみてない人になっちゃうので、補足しとくー。まあここでは作品からなにが滲み出ているかを一番見てる。共感、娯楽、実験、読解。読んで感じたこと、気になるトコロを掘ってく。作者の感情 意図を想像しそれが作品に現れているのか隠されているのか。なのでコメントはおのずとズレとか違和感とかそういうものになってしまうかんじです……まあ私もずっと読み手のことなんてなんも考えないでここまできたのだけども!晴曇と花曇は気にして書いたので、まあできるように成れれば一つ手札が増えるかなぐらいの気持ちでした。まあでも結局かけそうだなと思えたので、遊んじゃった形が くもゐくものゐ なので。なんも目指してねえので結局楽しく書ければソレで良らしいです私は
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