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ひとは働いてしんでいく
乾燥した音符のような骨が 坂道をゆっくりとくだっていく 畑は鮮やかで 太陽は短い人生を歌う 木こりは杣道で眠る 春の日のやさしい労働 工場は色とりどりの煙をあげる 子どもが鞭打たれている コーヒーを飲むのは悲しいからだ 本を読むのも、やはり悲しいからだ 畢竟、この寂しい人生のそばで うさぎが気持ちよさそうにいる 石鹸は醜い脂の塊 働きすぎて臭い脂肪がついた 鞭を振るのも楽じゃない 鞭を振るのも楽じゃないのさ 震える身体は痩せこけて 取れなくなった垢が痒い 夜の寒さで眠れない 小さな身体は眠れないまま 逃げ出した 生きるために逃げ出した 逃げた先にはなにもなかった 潤いは夢の霞 乾燥した音符のような骨が 坂道をゆっくりとくだっていく 農夫は朗らかに歌い ひとはしんでいく
ひとは働いてしんでいく ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 725.1
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2024-05-03
コメント日時 2024-05-10
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
自分に重ねて読むと、親から逃げて新たな世界を探したけれど、結局そこまで期待していたものはないのかも知れない。みんなそんなに変わんないよと言うことなら納得です。
1コメントありがとうございます。 作者としては、逃げなきゃいけない人の隣でのんびりしてる人もいて、逃げた先がいいとも限らなくて、というのが人の世ですね、という感じです。とはいえ、作者は作品を発表した瞬間に死ぬものなので、あまりお気になさらず
1お風呂に入って、垢を落としましょう。そうするだけの資格は、働くことで得られたのですから。 明日への活力をつけるため、すやすやと眠れたらいいですね。人は、生きているから働ける。
1>コーヒーを飲むのは悲しいからだ >本を読むのも、やはり悲しいからだ >畢竟、この寂しい人生のそばで >うさぎが気持ちよさそうにいる たとえば、上の連句など。 全体的に、女性的で古風な詩だなと思ったのですよね。 >逃げ出した >生きるために逃げ出した >逃げた先にはなにもなかった >潤いは夢の霞 「人生はいくらでもやりなおせる」ってよくいうけど、 実際に道からそれてしまったら、 いやはや、生はかじゃねーべ、 って。 そういっている声もわたしからすると、 女性の声に聴こえる。 >乾燥した音符のような骨が >坂道をゆっくりとくだっていく >農夫は朗らかに歌い >ひとはしんでいく あなたは谷川雁さんですか?といいたくなるが、 谷川雁はとうの昔に死んでるので。 「匿名」(ノー・ネイム)というのも、 ここではとりわけ意味があると思う。
1コメントありがとうございます。 『イワンの馬鹿』のような牧歌的(?)な労働が羨ましい日々です。現代の労働は加速しすぎています……
1コメントありがとうございます。 谷川雁は好きな詩人の1人なので、嬉しいです。
1最近「フォレスト・ガンプ」を観直して、「クエスチョンマークのような背骨」という表現がありました。では、「音符のような背」とは何か。 4分音符ならすきっとした背骨だけがありますが、8分音符では符棒(はた、と呼ばれるもの)がついて、曲がっている箇所もあります。人それぞれ、ひねくれてしまう音符や真っ直ぐな音符の背を持つということでしょうか。まあ、すべて乾燥した音符で、良い旋律が奏でられるとは思えない。無理やり寄せ集められた組織で合奏され、「いい演奏会でしたね」と言われ解散させられる。農夫は、どうなんでしょう、自然と触れ合う時間が多いから、人生のミューズに近い存在でしょうか……。 逃げの先に何もなかった、という所から人は改めてどう生きるのかを決断していくようにも思います。戻るべきと考えるのか、新たな場所をそこに作るのか。逃げそのものを場所ととらえるのか……。 人生をよく俯瞰できている詩で、表現が巧いからこそ、さらに鋭い言葉が欲しいと、少し思ってしまいました。
1木樵とか農夫は同じ連で括ったほうがいいでしょうね。人は働いてしんでいく。人間である以上この宿命のような重いテーマが書き散らかって読めてくるのが残念です。
1乾燥した音符のような骨、この一文がとても不思議に誘い、目を惹くとおもいました。ただ終始書かれていない時代背景的なものが不明瞭で(現在ではないな)と考えてしまって、そうするとtitleにも内容にも納得する。うまいな。と素直に頷く反面、今時代には照らし合わせられない硬さに、titleからも見え、それがとっつきづらくなっているともいえる。とても淡々と書ききっていて、いらないものを極力排除した結果なのか。それともなにか元になるものでもあるのだろうか
1アメリカ植民地時代における南部の奴隷農園、もしくは「石鹸」とあるのでアブラヤシ農園の児童労働問題を描いた作品だろうかと思いました。 最初と最後に2回出てくる「乾燥した音符のような骨」が、黒人労働歌を彷彿とさせました。 全然違ったらごめんなさい…
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