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びっくりするほどのデブ
向こうから びっくりするほどのデブが歩いてきた。 3秒前に ナゲットとポテトとバーガーを 1トン食べたと言わんばかりの、 二車線潰しそうなくらいのデブ。 彼の1回のクソは 便器をつまらせ 便座からぽこぽこと 健康診断にひっかかりそうなクソが溢れるだろう 「おまえ、びっくりするくらいデブだな」 おれは言った 「デブじゃねぇ、CMボブだ」 やつは原人の雄叫びみたいな声で名乗った。 「ちなみにCMはコマーシャルの略じゃねぇ、Coffee Manの略だ」 「おまえ、ラッパーかなにかか? そんならCMデブのほうが強そうでいいんじゃねぇか? ていうかもうMCデブでいいんじゃねえか⁉︎」 とおれ。 「は?」 デブはぶちぎれ、ふてくされた。 なんとも情けない。 おれは二発くらいパンチが飛んでくると予想していた。 しかし、おれはふてくされたデブをちょっぴりかわいいとおもいはじめていた。 おれは人差し指と親指でデブをつまむと そんままアパートまで持ち帰り デブをマグカップにぶちこみ レンジで温めた。 レンジ、 マグカップ、 デブ、 おれな好きなカタカナばかりだった。 大方の人間の予想通り、レンジの丸皿の上でデブはくるくるまわり、20秒くらいでバボンと爆発した。 マグは割れ、 デブは電子レンジじゅうに飛び散っていた。 夜だった。 おれは使う気を無くしたレンジを窓から投げ捨てた。 五階だ。 レンジは五階分の高さを落下し、舗道にぶつかる。 すると死にかけのレンジからチンッ! と音(断末魔なのだろう)が鳴り、それを合図にあたり一帯が停電した。 満月でさえ、光を失っていたほどだ。 完全な闇が街を覆い、 おれはすこしだけ悪いことをした気分になった。
びっくりするほどのデブ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 973.4
お気に入り数: 2
投票数 : 3
ポイント数 : 0
作成日時 2024-05-01
コメント日時 2024-05-07
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
デブ専でした。
1デブ=巨漢ラッパーって安直な考えが冴えてる
1>向こうから びっくりするほどのデブが歩いてきた。 なのに人差し指と親指でつまんでしまった「俺」はどんだけデカいのかと思いました。 不思議の国のアリスの様ですね。 最後の一行はどうでしょう、取って付けた様な感じでした。
1出だしから笑う。お笑いしたい人は必至に読めばいい。面白い。それだけでは不満足でしょうか。面白くないと考えるお人に批評をお願いしたい。
1紅茶猫さんの解釈でおもったのですが、 >俺はふてくされたデブが可愛いと思った このふてくされたことで小さくなったのだとしたら >おれはすこしだけ悪いことをした気分になった。 このラストもまた俺を小さくするのではないかということ。そうするとこのあとに さらにでかいなにかがくると、一種ループみたいな形にもなり、意味深でよめるのではないかなと想像した。が、やめどころがなくなり、まあ完璧な蛇足です。兎角もとが清々しいナンセンス!オモロイとおもいました。この方のほかの作品もよみたいっすね。
1面白いです。世界がゴムみたいに縮んだり伸びたり輪郭を変えたりする感覚がいいですね。 こっちよりデカいデブかと思ったらそんなデブを指で掴んで電子レンジに入れる、ちっちゃいなってなります笑 電子レンジを窓から投げ捨てただけで月まで停電するなんて、神様かーって思ってしまいます
1コメントどうもです
0コメントありがとうございます。 たぶんビギーあたりを想像して書いたかとおもいます。
0コメントありがとうございます。 さいごは多分あきちゃってちゃちゃっと終わらせた感じです。
0コメントありがとうございます。 個人的には知能指数が低くてゴギゲンな詩を書いていきたいのですが、そうすると出しどころがないのでこの場で供養しました。
1コメントありがとうございます。 お、ループってのがまたラッパーと重なってていいですね。 思いもよらぬ視点からのありがたい解釈です。
0コメントどうもです おそらくボブとレンジの化学反応が世界のシステムを書き換えたのだとおもいます。
0何だかギャグアニメのような面白さがあって、思わずクスッときました(笑)
1デブとうんこというベタなネタも久しぶりに読むとやはり面白いです。 デブいじり。デブに乾杯!
1コメントどうもです 単純にうれしいです
1コメントありがとうございます デブって言葉は語感もいいですしなによりフォルムがかっちょええです
1カッコいいス!『パルプ・フィクション』みたい。
1他の方が触れていないところでいくと、「カタカナ」の問題でしょうか。 カタカナはデフォルメの力が強いですよね。濁音や半濁音が頻繁に入ってきて音楽的になって、「デブ」という有害な存在も「かわい」くなっていく。「レンジ」も無理やりこの解釈に盛り込むと、対象をやわらかく溶かす道具(これまたデフォルメする道具)として、この「おれ」に重宝されてたりしたのかもしれません。 面白いのは、最後の4行で全くカタカナが出てこなくなること。洋食を詰め込んだカタカナの宝庫だった「デブ」が飛び散り、「レンジ」も使い物にならなくなった。 最後に闇が完全に街を覆うことというのは、デフォルメができない世界になるということを直感しました。違うかもしれませんが、物が何も見えなくなること=対象との適切な距離を置けない=デフォルメができないこと のようなことでしょうか。 難しいですが、面白い詩です。
1ありがとうございます 踊ります!
1おもしろいご指摘ありがとうございます。 カタカナを多用することで自分なりにデフォルメしたパルプマガジン感を構築しているつもりです。 そして闇が覆うというのは、 そういうものを書く不毛さ(お先真っ暗感とでもいいましょうか)を深層心理のどこかで感じていることの現れかもしれません。
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